アブリル - どこにでもあり、どこにもない

岡崎平野を中心とする 植物 と カメラの対話

ジニア(百日草) - キク科のシベ

2023-07-21 16:25:23 | みんなの花図鑑
きょうからしばらく(不定期で)「キク科のシベ」を観察します。
第一回は(たぶん)一番分かりやすいジニア(百日草)のシベ。

ジニア(百日草)

キク科の花の特徴は 花弁一枚一枚が独立した花で、中心部の盛り上がったシベがまた独立したたくさんの花の集合でできていることです。
以下、画像はすべて西尾市憩の農園にて



上の画像は構造が比較的分かりやすいジニアの花です。
花弁の付け根のところに ひつじの角のような雌しべが出ていますが、この雌しべと花弁一枚をひとつの舌状花といいます。舌状花は花弁の一枚だけが肥大化した花です。シベは雌しべしかありません。
逆に、花弁に囲まれた中央部分の花を筒状花と言います。


筒状花はひとつひとつに萼と筒型の花冠とおしべ・めしべがあります。




舌状花の雌しべは花弁の枚数だけしかありません。一番早く成熟するのは舌状花の雌しべです。
筒状花は外周から中心に向かって順に咲いていきます。



筒状花は外周から中心に向かって順に咲いていきます。




舌状花のめしべは2つに大きく分かれて柱頭を展開しています。
筒状花の雌しべも2つに分かれてYの字型になるところは同じですが、先っぽがさらに細かく分かれているようです。
その辺を別の場所のジニアでもう一度観察してみます。





ジニア(百日草)

これは畑に植えてあるジニアです。
ルドベキアもそうですが、花の終期には中央の筒状花の集団はこのように高く盛り上がることがあります。




こちらは盛り上がっていないほうのジニア。
一番外側の長い雌しべが花びらのある舌状花のめしべです。(花弁一枚に付き めしべ1個)



舌状花の雌しべは花弁の付け根から雌しべだけで立ち上がりますが、
筒状花のほうは筒状の毛羽だった花冠のなかからシベを展開しています。



ここに写っているのは全部筒状花の小花です。
上のほうの赤紫蘇色をした萼の部分が筒状花の集団の中央部です。
その下に黄色い5弁にさけた花弁が咲き、花弁の中心から雌しべが伸びています。
一番下はその花弁が脱落し、雌しべだけが残った状態の小花です。




筒状花の花弁と雌しべが見えます。



上のほうがまだ花弁の付いている筒状花。
下の方が花弁の脱落した筒状花。
一番下にわずかに見えるのが舌状花のめしべ。

これまでの画像では 筒状花のおしべがありませんでした。


上の画像で中央の毛の多い花弁から顔をだしているのが花粉でこの下におしべがあります。
実は雄しべは合着して花冠の中で筒状になって筒の内側に花粉を放出しているのです。
上の画像は雄しべ筒の中を伸びてきた雌しべが花粉を筒先に押し上げたところだったのです。



花粉を押し上げるときに雌しべは受粉してしまわないか心配する必要はありません。押し上げているじょきは雌しべはまだ未成熟なのです。
成熟しためしべはこのように花柱の先を2つに開きその内側に柱頭(受粉部)を形成します。



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赤白のハス - 伊賀八幡宮

2023-07-20 16:00:00 | みんなの花図鑑
撮影日:7月18日

前回ここを訪れたのは6月30日でしたので、ほぼ20日後の再訪です。
7月いっぱい楽しめるそうです。



今回は11時ごろと、ちょっと時間が遅く、閉じかけてつぼみ状態になっている花が多かったです。




新聞記事に「ピンク色の大賀ハスが咲き誇っている」とありました。ピンクのハスは大賀ハスだったんですね(´∀`)




家康の旗印「厭離穢土 欣求浄土」ですが、一般的には「戦で穢れた乱世を平和な極楽浄土へ変えよう」と解釈されています・・・この「浄土」にハスの花がぴったりだったんでしょう、伊賀八幡宮のホームページにそのことが書いてあります。




その家康ですが、宗派は浄土宗です。
三河一向一揆の発端は、家康の家臣が守護使不入を侵害して、浄土真宗本願寺派(当時)の寺に立ち入ったことだと考えられています。



一揆が起こると岡崎城に参じていた武士の半数が一揆側に付き、家康をあと一歩のところまで追い詰め、家康をして信仰の強さを思い知らさせることになりました。



三河一向一揆の拠点となったのが、三河三ヵ寺(岡崎佐々木上宮寺、岡崎針崎勝鬘寺、安城野寺本証寺)です。
江戸時代に書かれた『三河後風土記』には上宮寺住持の檀那たちが兜に「進足は極楽浄土、退足は無間地獄」と書いてあったとあります。



じつはその「進足は極楽浄土、退足は無間地獄」をみて大樹寺の登誉上人が、家康からもらった白旗に「厭離穢土 欣求浄土」と記したと先の『三河後風土記』にはあります。
安城野寺の本證寺のお堀に咲くハスは 白い花が多いです。なので、白いハスを見ると浄土真宗のイメージにつながります。
(写真は伊賀八幡宮の白いハスです)

「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という古い諺があるそうですが、
「泥に象徴される俗世に生れても大輪の蓮華(悟り)を咲かせる蓮」という意味の中国の成句から来ているそうです。


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カワラナデシコとナデシコ - どっち?

2023-07-19 16:45:00 | みんなの花図鑑

見出し画像は矢作川堤防で撮った野生のカワラナデシコです。

きょうは いわゆるナデシコ(ダイアンサス)とこのカワラナデシコと、どっちが美しいか? を比べてみたいと思います。
そのため、以下、まず園芸種のナデシコを先に観賞していただきます。


ナデシコ










いかがでしたでしょうか?
園芸種のナデシコは総じて花弁の切れ込み具合が低く、あとの2枚のようにギザギザがまるでないものもあります。




カワラナデシコ
それでは先ほどのGIF画像をばらして・・・

野生のカワラナデシコのほうは花弁の付け根のほうまで区切れがあります。

花弁の切れ込みは園芸種よりも野生のナデシコのほうが大きいのです。

結論を先言ってしまうと、私は糸状の切れ込みのある方が、優雅で美しいと思うのです (´∀`)




カワラナデシコの全体はこんな感じです。
秋の七草(覚え方は「おおきな服は」ミナエシ バナ キョウ デシコ ジバカマ ギ)のナデシコはカワラナデシコのことを指すといいます。




園芸種でもそうですが、ダイアンサスはめしべが時として面白い恰好をしています。



雌しべ(花柱)は2本でその2つが時にじゃれ合っているのです。



これなどほんとうに組んでいます。



雄しべの観察をしながら、最後に wiki より抜粋
「カワラナデシコは草原等の開けた環境を好む種であり、(中略)昔は、草原や山地、河原等の環境は人の手により草刈や枝打ち等され、里山的な利用が行われてきた。これで、日当たりの良い開けた環境が継続してきたという背景がある。近年の人間の生活習慣の変化で、このような「人為的なかく乱」が行われなくなると、カワラナデシコに代表される人間と密接な関係のある普通種が、その自生地や個体数を減少させてしまう結果となりうる。」






カワラマツバ

ナデシコとは関係ありませんが、矢作川の堤防に カワラナデシコを撮りに行くと、必ず一緒に撮る(撮ってしまう)ので、今回も、ピントの合ってない画像ですが、アップしておきます。



カワラマツバはヤエムグラ属の野草です。



「花弁は4枚、雄しべも4本であるが、花弁数5のものも混じる。」(岡山理大植物雑学事典「カワラマツバ」)



「花冠の下に2球を接したような丸い子房がある。果実は直径1~1.5㎜。」(三河の植物観察「カワラマツバ 河原松葉」)



最後に ちょっと懐かしい「みんなの花図鑑」時代のスクリーンショットを一枚。

2016年 みん花掲示板 「カワラマツバ」で検索するとこんな検索結果が出た時代がありました (^_-)-☆(画像はそのスクリーンショットです)
いくつかの画像の隅に「名前決定済み」とラベルしてあるのがお判りでしょうか?
この掲示板で名前の分からない植物の写真をアップして名前を教えてもらったものです(^^♪



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カノコユリとヘメロカリス - 花粉協定

2023-07-18 15:30:00 | みんなの花図鑑
カノコユリ

カノコユリ(鹿の子百合)の「分布は、九州(主に薩摩半島から長崎県沿岸)や四国(愛媛県や徳島県の山間部)、台湾北部、中国・江西省」(wiki「カノコユリ」)なんだそうです!
知らなかった~~



しかも 「日本でもっとも自生密度が高いのが甑島列島」(同上)なんですって!

甑島(こしきしま)列島(wikiより)
「甑(こしき)」というのは弥生時代~古墳時代に用いられた移動式竈(いどうしきかまど)のことで、
(クリックで拡大)
志摩の海岸にある甑(こしき) に似た岩を御神体に甑島大明神として祭ったことから、島全体を甑島(こしきしま)と呼ぶようになったのだそうです。



甑島のほうでも島起こしのためにカノコユリをシンボルに使っているそうです。
ぽっちゃん計画室(薩摩川内市雇用創造協議会)は夏の甑島の至るところで鮮やかに咲き誇るかのこゆりをモチーフにワンポイントのイラストを2種、作成しました。↓




カノコユリの名はもちろん6枚の紅色(またはピンク色)の花被片の斑点模様が鹿の背の斑(まだら)模様に似ていることからですが、ユリ科独特の大きな雄しべとそこに着いた花粉量にも驚かされます。



昆虫が出現するまでは 植物は花粉を風に飛ばして雌しべに届けるしか方法がありませんでした。スギ花粉やヒノキ花粉が膨大な量を飛散するのに対し、被子植物は虫に(それも植物ごとに媒介者を特化し)花粉を運んでもらうので、無駄な花粉を大量に生産する必要はなくなりました。





ヘメロカリス

「ヘメロカリスは、ユリ科ワスレグサ属の宿根草です。原産地はアジアの極東地域。日本では、霧ヶ峰や尾瀬に咲くニッコウキスゲや、山里に咲くノカンゾウ、ヤブカンゾウ、夕暮れにほのかな香りを漂わすユウスゲなどの野生種が、その仲間として知られています。野生種も園芸種も、すべてヘメロカリス属に分類されますが、一般的にヘメロカリスというと、品種改良した園芸品種を指します。」(AGSコラム「へメリカリスの基礎知識」)



花被片は6枚。 基部で合着して細長い筒状になっています。 そのうち 裏手の3枚を萼片、手前の3枚を花弁というようです。



6が基数のようで、雄しべは6個。 そして盛んに花粉を出しています。



葯も初めは固いですが、しだいに「花粉が吹いて」きます。



自家受粉を避けるように、雌しべだけ高いところにあります。



虫媒花の進化は、昆虫の進化と共にあり、互いに関係しあって、双方に新たな種が誕生してきました。
虫媒花は、媒介者である虫が花から花へ花粉を輸送してくれるので、無駄になる花粉が少なく、効率的な受粉ができます。
これにより、花粉の生産量を抑えることができ、その代わりに媒介者の報酬である蜜などを生産するようになりました。
(長居植物園「みんなのフォトアルバム|植物と虫」より抜粋)



飼い猫に近づけてはいけないもの
ユリの花束、ユリの鉢植え、庭や空き地に生えているユリ、ユリの入っていた花瓶の水など。
どう問題なのか
ネコにとっての猛毒。
毒成分がまだわからず、対症療法(吐かせる・下剤・輸液など)しかない。
花粉、葉、つぼみなどをごく少量食べた例でも死亡例があり、
花粉は体についたものを舐めることで、ネコのイタズラ心とは関係なく口にしてしまう可能性がある。
(PE2HO Betelgeuse's Diary「猫にとっての猛毒、ユリとヘメロカリスについてのメモ」より抜粋)




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木の実クイズ 12問 - 於大公園

2023-07-17 17:34:38 | みんなの花図鑑
7月15日(土) 於大公園(東浦町)で撮った木の実をクイズにしました。

Q.1

於大公園はこの木とメタセコイアが一番有名です。

別名「沼杉」




Q.2

種子から羽根つきの玉を作りました






Q.3

この葉に傷をつけると黒くくっきりとした線が浮き出るので、葉書の代わりに使われていたとか?

モチノキ科で果実は熟すと真っ赤になります。



Q.4

モクセイ科なので、熟すとネズミモチの実を大きくしたような実になります。





Q.5



ニシキギ科で、果皮は4つに割れます。




Q.6

名前は「ヒメ」で始まります。

入学・卒業記念として学校に植えられたり、正月のしめ飾りや鏡餅飾り、神事や豊作祈願に使われたりと、古くから縁起物として好まれています。



Q.7

7問目と8問目はペアーです。


花柄(果柄)の長いほうが7問目です。



Q.8



8問目と比べ 果柄が短いです。




Q.9

つる性木本です


天智天皇「○○なるかな」
○○ が答えです


Q.10

春先、短冊形の花弁の花を咲かせます






Q.11







Q.12

最後の質問です。
「リ」ではじまります。

先のほうはまだ花です。













それでは 答えです



A.1

ラクウショウ
名前は「秋に、鳥の羽形の葉に見える短枝が、枝ごと落下することに由来。」(ラクウショウ/深谷市ホームページ)


A.2

ムクロジ
名前の由来には、ムクロジが家にあると病を知らないとして「無患子」(むくろし)と呼ばれるようになったという説、実のなる様子を「ツブナリ」と表現し、これが転訛したとする説、同科のモクゲンジを示す漢語「木樂子」が誤って使われたという説がある。(ムクロジ/深谷市ホームページ)



A.3

タラヨウ(モチノキ科)

なお、タラヨウは雌雄異株(しゆういしゅ)で、於大公園にも雌雄一本づつ植わっていました。(左:雌株 右:雄株)



A.4

ヒトツバタゴの花(4月23日)

ヒトツバタゴの実(9月)
ヒトツバタゴの名は、木の形状はタゴ (トネリコ)の木に似ているが、 タゴの複葉 に対して単葉であることから、一つの葉のタゴの意味で名付けられたと言われて います。 また、別名「ナンジャモンジャ」とも呼ばれています。(ヒトツバタゴ自生地パンフレット (PDF 1.0MB) - 犬山市)



A.5

マユミ
名前の由来・・・古くから弓の材料に使われたことによる。 古代の弓は枝をそのまま使った丸木弓から、マユミになったとの説など様々ある。(森と水の郷あきた「樹木シリーズ43 マユミ、コマユミ」)



A.6

ヒメユズリハ
ユズリハに似て、葉が小さいのでこの名がある。 ユズリハは枝先で若葉がいっせいに開くと、まるで席を譲るかのように古い葉は落葉 するためこの名がある。(ヒメユズリハ - 神戸・六甲山系の森林)



A.7


エゴノキ
エゴノキは花柄(果柄)が長いです。
名前の由来は、実の皮をなめると"えごい"ことから付いたとされています。(エゴノキ(蘞の木)|皇居外苑|国民公園 - 環境省)


A.8

ハクウンボク(つぼみ)
ハクウンボクは花柄(果柄)が短いです。
名前の由来: 白い花が連なって咲くようすを、「白雲」に見立て、「白雲木」と書く。(樹木シリーズ39 「ハクウンボク」あきた森づくり活動サポートセンター)


A.9

ムベ(花)(4月17日)
「ムベは、アケビ科の一種でゼリー状の実に素朴な甘みが特徴。 天智天皇が狩猟で奥島(現在の同市島町)を訪れ、出会った老夫婦に長生きの秘訣(ひけつ)として差し出された果肉を食べ「むべなるかな(もっともだ)」と言ったことが名前の由来とされる。」(京都新聞)


A.10

マンサク
去年の果実(種子は落ちる)と今年のつぼみ(1月19日撮影)



A.11

コブシ
名前の由来は果実の形が握り「こぶし」に似ているから、とか。


A.12

リョウブでした
リョウブ (令法) の由来
昔から若葉を食用としていたため、飢饉時の備えとして、リョウブの植栽と貯蔵を農民に命ずる官令が発せられていたと考えられます。 この『官令=令法』が名前の由来となったと言われています。(リョウブ:近畿中国森林管理局 - 林野庁)


いかがでしたか?
なじんだ樹でも 青い実だけだと 意外と難しいものです (´∀`)



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ヤブガラシ、ヨウシュヤマゴボウ、ヤイトバナ - The雑草

2023-07-16 18:20:00 | みんなの花図鑑
雑草と言われる野草にも鑑賞に堪えるものがあります。
今日は「ヤ」のつく野草を3つほど。
ブガラシ
(ヨウシュ)マゴボウ
イトバナ

ヤブガラシ

和名ヤブカラシ(ヤブガラシ)は、つるを伸ばして他の植物に絡みつき、薮を覆って木を枯らしてしまうほどの生育の旺盛さがあるのでこの名がある。(wiki 「ヤブガラシ」)別名も「ヤブタオシ」。



名前からすると「いいところなし」ですが、ブドウ科のつる性植物だけあって、花盤のうえに出す蜜の量が尋常ではないのです。



こんなふうに。


再度、こんなふうに。



若芽は食べられるそうです。



花盤は咲き始めはオレンジ色で・・・



雄しべが脱落するころはピンク色に変わります。



花盤の上に何かが落ちています。これはなんでしょう?





ヨウシュヤマゴボウ

ヤマゴボウ科。北アメリカ原産。
「ヨウシュ(洋種)とは読んで字のごとし。帰化植物であることを表す。ヤマゴボウ(山牛蒡)は我が国に古くから自生する野草で、根がゴボウに似ているのでこの名が付けられた。そのヤマゴボウに似ているところから、海外から入ってヤマゴボウという意味でヨウシュヤマゴボウ(洋種山牛蒡)の名が付けられた。」(asahi-net 「野草 名前の由来ヨウシュヤマゴボウ」)



赤や緑やいろんな色でできていますが、花弁(花被片?)は白いです。



花被片は5枚で梅の花のよう。雄しべは10個。 雌しべは10~12枚の心皮が合着してできており、緑色。



玉ねぎ型の子房部分は緑色でそのうえに 透明の柱頭が各心皮から伸びています。





受粉すると花弁(花被片?)は落ち、子房がどんどん成長します。




同じ個体ですが、成熟した果実はブルーベリーみたいに美味しそうに見えますが、有毒です。「食べると2時間ほどで腹痛や嘔吐、下痢を起こし、ついで延髄に作用し、けいれんを起こして死亡するという。」(リセマムメンバーズ「秋に熟す「ヨウシュヤマゴボウ」に注意」)



裏から見たところ。
このように萼片が茎と同じ紅色になって残っています。実は熟して落ちても紅色の萼片は枝に付いたままですので、秋まで楽しめます。このヨウシュヤマゴボウも、家庭菜園の畑に生えたものですが、草刈りせず残してあり、毎年たくさんの実をつけています。





ヤイトバナ

「ヤイトバナ」は別名で、本名?は悪名高い「ヘクソカズラ」。
ヤイトバナという名は花の中心部の形がお灸の跡に似ているから。



花冠外面はこのような細かい毛が密生していてなかなかキレイです。



花冠の内面にはおびただしい繊毛があり、蜜だけ漁る虫の侵入を防いでいます。
細い糸のようなものが花冠入り口に付いていますが、雌しべです。



雌しべは2本あり、花冠の付け根から長く伸びています。
雄しべは花冠のいちばん奥にあり全く見えません。







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水色・青色・るり色の花特集

2023-07-15 16:00:00 | みんなの花図鑑
暑いですねぇ
ちょっとでも涼しくなるため、各月の水色(青色)の花を集めてみました。


プルンバーゴ(7月の青)

プルンバーゴは属名の Plumbago をカタカナ読みしたものです。
Plumbago はギリシャ語のPlumbum(鉛)に由来し、かつてこの植物の一種が鉛中毒の解毒として効果があるとされていたことに因みます。


和名を「ルリマツリ」といいます。
「ルリ」は花の瑠璃色から、「マツリ」は「茉莉花」すなわちジャスミンに似ていることに由来します。

















ネモフィラ(4月の青)

ネモフィラとは、ギリシャ語の nemos(小さな森)と、phileo(愛する)を組み合わせた言葉です。



これは、ネモフィラの原種が明るい日向に森のように群生している様子からつけられたといわれています。
















ムラサキセンダイハギ(5月の青)

和名は、黄花を咲かせるセンダイハギ属のセンダイハギ(Thermopsis lupinoides)に花の様子が似ていて、花色が紫であることに因ります。











トレニア(6月の青)

属名の「Torenia(トレニア)」は、東インド会社の商船の司祭としてアジアに航海し、中国、インドの植物を収集したスウェーデンの牧師、植物学者オーロフ・トレーン(Olof Torén)の名前にちなみます。



和名は「花瓜草(ハナウリクサ)」です。他の畦に咲くウリクサの園芸品種という意味でしょうか?



なお、和名「ウリクサ」は果実がマクワウリに似ていることが名前の由来です。












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クイズ・トウダイグサ科でないのはどれ?

2023-07-14 18:12:05 | みんなの花図鑑
今から8種類の植物をお見せします。ほとんどが木本ですが、一部草本もあります。
8種類のうち一種類を除いてあとは全部「トウダイグサ科」です。
ではそのトウダイグサ科ではない一種類はどれでしょう?


アカメガシワ(雌花)

アカメガシワは雌雄異株です。


これは雌株に咲いた雌花で、3つ伸びている羽根は柱頭部分です。



球状部分が将来果実になる子房です。



柱頭は受粉すると赤く染まります(そうならない種類もあります)。



受粉して子房が果実になりました。




アカメガシワ(雄花)

雄しべは多数伸びていて全体として球状になっています。






雄花は咲き終わると ぽとぽと地面に落下します。





トウゴマ(唐胡麻)

トウゴマは雌雄異花同株で、上の画像で左手の淡黄色が雄花、右上側の紅い人出のような柱頭をつけているのが雌花です。



雌花部分です。






雌しべの柱頭が赤いゼラチン質のヒトデのような恰好をしているのはオニグルミなどと同じです。





ナンキンハゼ

ナンキンハゼの花は雌雄異花同株ということになっていますが、種類によってはそう見えないものもあります。


たとえば、上2枚は 安城デンパークにある ’Tiny Cascade(タイニー・カスケード)’ という園芸品種ですが、いくら見ていても雌花というものを見たことがありません。



’Snow mountain (スノー・マウンテン)’





斑入りのスノー・マウンテンですが、この木のばあいは1枚目のように雄花ばかりの穂をつけ、
その後花序の付け根部分に複数個の雌花を咲かせます。


’Metro Candle (メトロ・キャンドル)’





メトロ・キャンドルも雄花序が穂状に花をつけた根元に雌花が複数個咲きますが、3枚目の画像のように雄花が元気なのに 雌花は黒く焦げたようになってしまっています。どうしてこうなるのか?よく分かりませんが、一般には まず雄花が咲いてのち雌花が咲くのがふつうなのですが、さらにそのあともういちど雄花が咲くという種類もあるようです。


’Summer Fringe(サマー・フリンジ)’


この木は 個体差かもしれませんが、雌花の数が多いように思えます。


(種類不明)


雄花だけの穂は 咲き終わると枝元でカッターで切断したように切れ落下します。




シラキ





ナンキンハゼによく似た花を咲かせるのが、シラキです。
穂(総状花序)に最初雄花を沢山咲かせ、花序の基部(枝に近いほう)に雌花をつけるといわれています(雌花の写真がありません m(_ _)m)
ナンキンハゼと同様、穂が全部雄花ばかりのこともあるようです。




セイシボク(青紫木)

セイシボクは雌雄異株で、これは雌株に咲いた雌花です。


やはりナンキンハゼの雌花部分とよく似た感じです。
(セイシボクを見たのはこの時一度だけなので、雄株雄花の写真がありません m(_ _)m)






アオギリ

アオギリの分布は琉球、台湾、中国、インドシナの亜熱帯(まれに暖帯)で、日本の本州(伊豆半島、紀伊半島など)、四国、九州の沿海地方にあるものは半自生状態と位置付けられています。


花は雌雄異花同株で、これは雄花です。


非常にユニークな、まるで雌花の花柱と柱頭のような恰好をしています。


この雌しべの柱頭のような部分は複数の雄しべが合着して一本化したためです。複数の葯がよじれて模様を作っています。


雄しべなので、花粉を放出した後はぜんぶ落下します。



つぎに、雌花です。


雌花の先には紅色の柱頭があります。





7月下旬の青い果実です。


9月の果実です。





ユーフォルビア

これは ユーフォルビアでも’ダイアモンド・スター’という園芸種の花です。


上では花序がよく分かりませんので、よく似た(そしてよく観る)’ダイアモンド・フロスト’ を近接撮影してみました。


ユーフォルビアの仲間は「杯状花序」といって、杯(カップ)状の器官の中に 雌花(めしべ)や雄花(おしべ)が生まれてきます。はじめに生まれためしべは子房がすぐ大きくなるのであとから産まれてくる雄しべのためにコップの外にぶら下がって杯(カップ)の入り口を占有しないようにしています。

トウダイグサ科の花序がみなこの特徴ある「杯状花序」であれば分かりやすいのですが、杯状花序はトウダイグサ科の中でもトウダイグサ属とニシキソウの仲間にだけ見られるもので、そうではないトウダイグサ科も多いのです。
(まぁ、これでユーフォルビアはトウダイグサ科ということ間違いなしですね (´∀`))



↓ 最後です
キャッサバ

これは西アフリカのベナンで撮影したものです。メモ代わりに撮影したものなのでピンボケ写真ですm(_ _)m


キャッサバ芋はアフリカの国々では主食です。


キャッサバは、茎を 25cm くらいの長さに切って、地中に挿すだけで根が出て、芽も出て、おおきくなります。
(サツマイモとちょっと似ていますね)


アフリカでは臼と杵で突いて柔らかくし、塩茹でにして灰汁を抜き、ココナツミルクを入れ煮て食べます。


キャッサバのでんぷんを取り出したものがタピオカです。
ここはベナンの(たぶん)「タピオカ街道」と言って、キャッサバ粉やタピオカ粉を街道沿いで直販しているところです。
キャッサバは花の写真が無くてすみませんm(_ _)m


以上を持ちまして、全8種が出そろいました。
このうち、「トウダイグサ科に属しない植物はどれでしょうか?ひとつだけお答えくださいm(_ _)m」












ハイ、答えは

アオギリ

でした \(^o^)/

アオギリは以前は アオギリ科という独立した科に分類されていましたが、現在では なんと アオイ科に含まれています。
私は現在の遺伝子を基にする分類が分かりませんので、アオイ科の花たちとまるで違うアオギリの花がなぜ同じ科にされるのか、納得がいきません。
(そういうわけで、外見だけで分類すれば 何科になるかな? って思考実験の結果、とりあえず トウダイグサ科などどうかしら?と思い、このクイズを作りました)

(少々 疲れました (´∀`) ここまで長々とお付き合いくださりありがとうございました!)



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ヒューケラ、ハンゲショウ - 葉を愉しむ

2023-07-13 15:45:00 | みんなの花図鑑
たまには 葉の鑑賞をしてみましょう!(^^)!
と言っても2種類だけですけど。

ヒューケラ

ユキノシタ科のヒューケラは カラーリーフプランツの代表的な植物です。
和名は「ツボサンゴ」
学名は Heuchera sanguinea
属名の Heuchera は 18世紀のドイツ人医師兼植物学者だったJohann Heinrich von Heucherへの献名です。
種小名の sanguineaは 「血紅色の」の意味です。
上の画像を Google Lens で検索しますと Heuchera sanguinea (コーラルベル) などを候補に挙げてきます。
(以下同様)



Heauchera micrantha(ドルチェシリーズ)



Heuchera Coral Bells



Heuchera parviflora



Heuchera red purple




Heuchera parviflora





和名の「ツボサンゴ(壺珊瑚)は、サンゴのように細い花茎を伸ばして、壺形の花を密に咲かせる花姿に由来するとされています。










ハンゲショウ(半夏生)

本州以南、朝鮮半島、中国、フィリピンなど東アジアの亜熱帯性湿地に分布(wiki 「ハンゲショウ」)
「半夏生」というのは季節の区分で、一年を24の季節に分けたものが二十四季節、さらに各二十四季節を3分割したものが七十二候です。
二十四季節の「夏至」を上中下3つに分けて上が「乃東枯(なつかれくさかるる)」、中が「菖蒲華(あやめはなさく)」、そして下旬が「半夏生(はんげ しょうず)」です。「半夏生(はんげ しょうず)」は2023年では 7月2日~7月6日までということです。
つまりこの時期に花が咲くということです。



一方、「半化粧」という字を当てることもあり、「半化粧」のばあいは花が咲く頃に葉っぱが半ば白く色づく様子が化粧をしているように見えるところに由来します。



学名 Saururus chinensis
属名のSaururus(サウルルス)はギリシア語で「トカゲの尾」を意味し、細長い花穂に由来します。
種小名 chinensis(キネンシス)は 「中国に生息する」の意味です。




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タニワタリノキとユウギリソウ - 似た者同士?

2023-07-12 16:54:22 | みんなの花図鑑
前回は キキョウ科の「キキョウ」とアカネ科の「クチナシ」の雌雄シベの挙動がよく似ている、というお話でしたが、
今回は タニワタリノキ(アカネ科)ユウギリソウ(キキョウ科)がこれまた似ているというお話です。


タニワタリノキ

タニワタリノキは 日本(九州南部~沖縄)、中国、ベトナム、インドネシアなどに分布するアカネ科の常緑樹です。



「タニワタリノキ」とは面白い名前ですが、由来は「谷間の多湿地を好んで自生することからと言う」(GKZ植物事典)という説明が多いですが、理解力の無い私にはそういう説明だけではどうも由来がよく分かりません。



「名前の由来は谷沿いを渡るような感じで生育していることからだそうです。」という説明がありました。(NHK趣味の園芸 ドブたぬきの部屋さんのアルバム「タニワタリノキ」)
この説明には「タニ」と「ワタリ」が含まれていますのでより分かりやすいです。
要は「谷を渡る」ということがどういうことなのか理解できればいいようです。




OxfordLanguages によると【谷渡り】とは
1. 谷から谷へ渡って行くこと。
2. うぐいすなどが、谷から谷へと渡って鳴くこと。その鳴き声。
とあります。

また、日本国語大辞典には 上記の他
木の枝などが、谷のこちらから向こうへ渡ってのびていること。谷に生えわたること。
とあります。(太字引用者)

こういう定義からすると、タニワタリノキが「谷から谷へと渡って生えていること」に由来するということなんでしょうね、きっと !(^^)!




タニワタリノキの花は、夏の花火のような球形の花序が特徴ですが、今日の関心はその球を構成するたくさんの小花についてです。



一つ一つの小花は長さ2センチ弱の筒状で、細長く飛び出すのは雌しべ(花柱)。5本ある雄しべは花筒の口部にとどまり、シベの基盤となる花托(花床)には剛毛と棍棒状の小苞がある。(庭木図鑑植木ペディア「タニワタリノキ」)
要するに、花冠は細長いラッパ状なのです。
でも、雌しべは花冠の外に長く伸びていますし、雄しべだって開口部にあります。おそらく蜜は花冠の付け根にあると思われますが、蜜を採取できるのはチョウなどの昆虫に限られている気がします。
ところが上の画像のように奥の蜜まで届く舌をもっていなさそうな昆虫が訪花しています。これは何を求めてきているのでしょう?






ユウギリソウ

ユウギリソウはキキョウ科ユウギリソウ属の栽培種です。



花序は散房花序ですが、それを構成する一つひとつは やはり細長い筒状花冠の小花で構成されています。



やはり雌しべが花冠の外に飛び出しています。



考えてみれば、シソ科のモナルダ(ベルガモット)なども花冠より長く雌しべが飛び出していました。





アカネ科のヤイトバナ(ヘクソカズラ)の花などはやはり長い花冠を持ちますが、雌しべは花冠開口部に、そして雄しべは花冠の奥に隠れています。こういう構造の花なら、蜜にありつこうとする昆虫が花粉の授受に役立っていることは理解できるのですが・・・



余り細長くなるとそのうちクマバチやマルハナバチの仲間に花冠の基部を外から穴をあけ蜜だけ食べられるようになるかもしれませんよ "(-""-)"







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