You Tube の動画をダウンロードしたいという人がときどき現れる。
ダウンロードしてどうするのですかと聞くと、持っていたいのだという。
それ以上は、拾い集めたものをなぜ貯めるのですかという質問と同じになるから聞かない。
Web上にばら撒かれているデータは、誰もが見られるからといって、すべての人の共有資産ではない。
見たり聞いたりまでは、そのためにアップロードしているので当たり前のことだが、そこから先が、手の込んだややこしいことになっている。
本屋の陳列棚に並んでいる印刷物と、旅行社の店頭に並んでいる印刷物との区別はつけても、いったん電波に乗せれば、その垣根はないことになりやすい。
このあたりのことを素直に述べた意見が Yahoo知恵袋 に載っている。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n1570
You Tube のようなサイトは、ダウンロードできないようになっていればよいのだが、不思議なことにそういう仕組みにはなっていない。
複製はご法度と言われていながら、複写装置が無料配布されている。
クレイヴィング・エクスプローラーというソフトがあって、それを使うとYou Tube の動画をダウンロードできてしまう。
個別の取り締まりに引っかからなければよい、できるようになっていればしてよいのだという意識変革は、すでに成し遂げられてしまっているらしい。
だめと言いながらさせる、人の弱みではなく興味につけこむ、もっとも原始的な需要促進の手段に人々は群がる。
しかし、無料礼賛のつもりが仮想独占享受料を別のところでちゃんととられている。
いまのところ動画を高品質で圧縮する技術はあっても出されないから、これが大容量記憶装置の需要拡大に寄与している。
こんなことを繰り返しながら、人倫は法に護られつつ退化していく。