QCサークルという名の活動がはやったことがある。
品質管理を作業者自身が考えて実践するように仕向けるための小集団活動で、Web記事には「日本の国際競争力を強めたとされる」と書いてある。
証拠を示せと言われないためにか、「される」という用心表現が使われている。
国際競争力は多数の相手があることだから、一種類の活動が、影響要因の一部にはなっても、寄与率をはかり知ることなどできはしないから、それほど気を使うこともないのに。
OCサークル活動のテーマ設定に困ると、しばしば登場したのが「時間短縮」だった。
時間が短かければ品質があがるのは、化学物質やガラス細工のように時々刻々変容するモノの加工と、生ものを扱う調理、それに救急医療や切開手術ぐらいかと思っていたが、なぜか「時間短縮」がどこでもかしこでも品質向上策であるということにされていた。
時間短縮⇒業務効率向上⇒経済性向上=品質向上という無理方程式が信じられていたからだろう。
著名な会社の事業所で、パソコンの1日修理を実現したことが報じられている。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20120328/388121/
パソコンが動かなくなると、代替がなければ数日は腕組みしかなかったのが、往復を含め3日で帰ってくるという。
たしかに壊れたものは早く直ってくれるとありがたい。
「ユーザーがパソコンを使えない時間をいかに短くするか。確実に直すことができるかと。この二つが満足度を高めるための大事なポイント」と記者には語ったそうなので、二つのポイントのうち後のほうに期待をかけたいと思う。
別の会社のことなのだが、デジカメの故障で、すばやい修理をありがたいと思いながら、1年も経たないうちにまた故障に悩まされたこともある。
時間短縮と品質向上との関係は、売れ行きが顧客満足の証であるという片眼をつぶった思考様式と、どこかでつながっているような気がするのだが、いかがだろうか。