外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

未来日本の輪郭

2011-12-08 22:19:39 | 社会全般
今朝、まだ暗い時刻に自宅の玄関を出ると、小さなビニールのゴミが風に吹かれて足元に飛んできました。

「我が家の前に、ゴミを捨てるなよ」と少しムカッとして拾うと、それは携帯用カイロの包み紙。

「寒い中でも頑張って仕事に出ようという人が落としたのかな」と思うと、一転して親近感が湧いてくるのですから、人間の感情とは我ながら面白いもの。
穏やかな気持ちでゴミを拾うと、「さあ、今日も頑張ろう」と気合いを入れ直して、駅に向かったのでありました。

明日は金曜日。
一時間でも早く仕事を終えて、「TGIF」と呟きながらオフィスを後にしたいものです。

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野田佳彦首相が、昨7日、早稲田で講演し、「TPPの話をすると、米国の謀略説、一体改革では財務省悪玉説など、入口で変な議論が起こる」と話したそうです。
変な議論を招く大きな原因の一つに、思い描く日本の将来像が人それぞれという点を挙げることができます。
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私の勤務先の本社は、英国にあります。
その英国の経常収支は赤字です。
しかし、対外直接投資は日本とは比較にならないほどの高水準で、利回りも高いのです。

すなわち、経常収支の赤字を上回る直接投資と金融投資を海外から英国に呼び込み、そこから生まれた余剰資金を海外に投資することで、現代の英国は債権大国として生きているということです。

この構造は、米国にも共通します。
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一方、私たち日本人は、輸出大国として高度成長を達成したという成功体験があるために、賃上げ抑制・外注コスト削減などを通じて、何が何でも輸出を増やして経常収支を黒字にする、
そして、そこで余剰資金が生まれたならば対外投資に充てようという思考が、今も主流です。

でも、それは将来に渡って持続可能なのでしょうか。
そして、一労働者レベルでも、歓迎すべきことなのでしょうか。
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1人の労働者として賃金を得て家計を支えようとした時、その勤務先の株主に外国人が多いかどうかは、あまり関係がないと私は思うのです。
海外から多くの投資を国内に呼び込んで、社会全体での雇用総数が増えることの方が、よほど個人レベルでは有難いと考えることができないでしょうか。

TPP反対を声高に主張する勢力は、個人事業主に支えられる業種が多いというのが私の印象です。

すなわち、大雑把に言えば、TPPにまつわる議論は、サラリーマンと個人事業主の利害対立とも整理できると言えます。
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このように考えてくると、輸出と輸入という要素だけに着眼していると、TPPの是非を適切に議論することができないことになります。

日本経済が「茹で蛙」とならないために、そして成熟した債権国として生きていくためにも、英国モデルも参考にしていただきたいと、私は提案するものであります。
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