花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

もったいない

2022年03月29日 | 研究
これは先日行われた学会主催の発表会の様子。今年度最後の発表会です。
チームは結成以来、2年次で学会の高校生発表会に出場するのが流儀。
それはまず人前で話すことに慣れてもらうため、
そして研究を初めてまだ1年も経っていませんが、原稿などなく
自分の言葉で自由にディスカッションする楽しさを感じてもらうためです。
ところが2018年までのTEAM FLORA PHOTONICSは
毎年、チームの誰かが4年制大学に進学していました。
そんなメンバーは大学の面接練習にもなるので3年生になっても参戦。
2年間に渡って学会の発表会で鍛えてもらいました。
ところがTEAM FLORA PHOTONICSが解散し、
2020年のTreasure Huntersになってからはチームの体質がガラッと変化。
農業にあまり興味のない工業類型のメンバーが大半を占めるようになってきたからです。
工業類型は高校卒業後、現場で即戦力となるエンジニアの育成を目指しています。
したがって希望は就職か専修学校。農学系の大学進学希望者はいなくなったため
3年次で学会主催の発表会に出場する機会もなくなりました。
農業研究で成果を出しているので、なんだかもったいない話です。
さて今年度は1名ですが、農業類型の男子が農学系の大学進学を考えているとのこと。
もしかしたら久しぶりに3年次での発表があるかもしれません。
現在名農は春休みですが、今日は学年の学習会。
進学希望のフローラメンバーも参加するようです。
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秘伝のレシピが通じない

2022年03月28日 | 研究
今日は沖縄の赤土流出抑制に取り組んでいる団体や
地元の高校生との交流会が午前中開催されます。
実は先月の2月、環境班は石垣島へご招待されていたのですがコロナで断念。
先週の3連休に延期されましたが、青森県はコロナが落ち着かず
またまた延期されてしまいました。
そんなわけで今日の交流会は残念ながらオンライン。
このパワーポイントの画面は、沖縄の島尻マージという土の
三和土化について実験した結果報告の一部です。
この画面からもわかるとおり、Treasure Huntersが
100回もの試行錯誤で見つけた秘伝の配合では
固化するものの耐久性がありませんでした。
消石灰を増やしてもだめ。固化したりしなかったりと安定しません。
フローラハンターズが調べたところ、カルシウムを吸着する力が
砂質の真砂土よりもさらに少ないのです。消石灰を増やしても固化しなかったのは
これが理由だと思われます。そこで考えたのがニガリ。
そもそも三和土は土と石灰とニガリの3つを混ぜるという意味。
ニガリを入れると粘着性が増し、作業生と固化作用が向上するからです。
そこでニガリを入れてみると消石灰が20%と少なくて
もちゃんと固化したではありませんか。
また溶出したカルシウムやニガリのナトリウムは粘土の島尻マージを透過すると減少。
さらにワラを混ぜると吸着され、安全なレベルまで減りました。
一般的に三和土にワラは混ぜません。混ぜるのは漆喰です。
今回、美ら海を守るために開発したのは三和土と漆喰の間の子。
またまた面白ものを見つけました。
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お手伝い

2022年03月28日 | 研究
先日の行われた最後の学会の発表会。
1時間半という長いコアタイムの後、フローラハンターズの三和土チームは
沖縄との三和土交流会の準備を始めました。
当日はオンラインで繋がるだけではなく、テレビ局も入ってくる予定。
もたもたしては格好が悪いので、事前に必要物品を用意しているのです。
とはいっても学会のオンライン閉会式まで1時間もありません。
そこで三和土の作り方を説明するメンバーは別室でさっそくリハーサルを始めました。
こちらは三和土作りの実演を担当する男子。
相棒の女子が学会の発表中ということもあり、
一緒にチームを組んで学会に参加したJr.にお手伝いをしてもらっています。
イメージとしてはテレビ番組の「きょうの料理」。
教えてくださる先生が、調味料を手際よく加える風景をよく目にしますが
面白いことに事前にガラス皿に小分けされています。
彼らはそれをお手本にして、プラコップに土や砂などを分けているのです。
わずかな時間でしたが一緒に戦ったことで学年を超えて戦友になったようです。
さて後輩のいないフローラハンターズ。
Jr.から先日行われた研究班の希望調査に
環境班の選択肢になかったことを聞いたリーダー。
事前に教えてはいましたが、やはり寂しそうでした。
それが理由ではありませんが、環境班最後の年になる2022年も
Jr.の募集をすることに決めました。
今日はいよいよ三和土の交流会。準備万端で臨みます。
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青森県立名久井農業高等学校

2022年03月27日 | 学校
名久井農業高校は青森県の太平洋側、南部町(なんぶちょう)に位置する小さな高校です。
東京から新幹線で八戸市まで3時間。そこから青い森鉄道12分の旅で訪れることができます。
八戸圏域はアメリカ旅行誌の最高の休暇を過ごせる旅先2022として日本で唯一、
長距離自然歩道「みちのく潮風トレイル」を「絵のように美しい1000キロ」と
紹介されました。また縄文文化や南部地方の伝統工芸、食文化の素晴らしさはもちろん、
民宿に泊まることで東北の暮らしを垣間見ることができるとその魅力を伝えています。
さてこれは名久井農業高校の四季。春は広い農場が白く染まるほどの果樹の花に包まれます。
これぞ「フルーツの里」ならではの絶景。そして夏は優しい名久井岳とゆったり流れる
馬淵川を眺め、秋は緑化日本一にもなった美しいキャンパスが紅葉で赤く染まります。
さらに冬はご覧の通りの雪景色。ただし日本海側のような豪雪地帯ではないので
スキーの他に、スケートを楽しむ文化もあります。
そんなみちのく青森の里山にある小さな高校が大きな挑戦をすることになりました。
それが全国募集。2023年4月から全国の皆さんがこの美しいキャンパスで
学べるようになるのです。昨日、地元紙のトップニュースで紹介されました。
現在、各方面と連携し具体的な受入準備に向けて取り組みが始まろうとしています。
果樹や野菜、草花の栽培や加工品製造、食品開発に長けた生物生産科、
そして施設園芸を農業、商業、工業の視点から融合させて学ぶ環境システム科など
ユニークな学習と実績は定評がありますが、全国的にはまったく無名。
そんな小さな高校が、どんな学習とどんな高校生活を提供でき、
そしてどのような進路が広がっているのかを全国に知ってもらうには知恵が必要です。
ただ間違いないのはこの名久井農業高校の四季。
コロナ禍、美しいキャンパスの中でゆったりと過ごす高校時代は
きっと忘れられない3年間になること間違いなしです。
全国募集まで1年を切りました。今年はそんな名農の挑戦も紹介したいと思います。
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新旧交代

2022年03月27日 | 研究
長年使ってきたフローラのMacBookAir。
なんと東日本大震災があった2011年モデル。つまり10年もたつの古い機種です。
震災で津波被害を受けたサクラソウの救出とマクロバブルを使った除塩に
立ち上がった当時の2〜3年生の合同チーム。2年生はこの技術を
みなさんに活用してほしいという目的で、
その年のストックホルム青少年水大賞の国内予選にエントリー。
3年生は研究成果を夏に行われた日本土壌肥料学会で発表し
貴重なアドバイスをいただきました。しかし気がつくともう秋。
無我夢中で救出に取り組んだので、いつもの植物研究がほとんどできていません。
そこで今からやれるテーマを急遽掲げます。それが地元名産の妙丹柿の渋抜き。
フォトニクスという名前どおり紫外線で渋を抜く技術の開発です。
収穫は秋。ちょうどタイミングが良かったこともあり
なんども失敗を繰り返してなんとか完成。この成果を京都で開催された
科学技術のアイデアコンテストに応募したところ、決勝進出。
みんなで秋の京都に向かいました。
その結果、サクラソウ救出に頑張ったご褒美なのかグランプリを受賞。
その時いただいた副賞が今使っている古いMacなのです。
MacはCPUなど内部装置を自由に選べます。古いけれど当時の
最高スペックに近い装備だったため、10年経ってもまだ現役です。
しかしこのところ動画や画像をは使うようになってくると、ちょっと動作が遅れ気味。
そこでチームのメインのPCを、この写真の新型MacBookAirにかえることにしました。
新旧交代です。とはいっても2020年にTreasure Huntersが
同じ大会でグランプリを受賞し、その副賞としていただいたもの。
提案したものが世界グランプリを受賞した三和土を使った集水システムではなく、
園芸用レンガブロックというがとても面白いとは思いませんか。
新旧交代が静かに始まっています。
さて先日、1年生に対して課題研究で入りたい研究班の希望調査が行われました。
しかし学科の体制もかわり、その選択肢にはもう環境班の名前はありません。
メンバーの新旧交代のない環境班。最後の1年間がはじまります。
青森県のコロナ感染者は一昨日、過去最高を記録。落ち着きません。
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