当時の12人の若手を選んで取材して、人物紀行にまとめた、作者のデビュー作(単行本になったのは1973年出版ですが、その前に月刊「エコノミスト」に連載された25才の時の作品です)に収録された作品です。
書き手はむろん、対象者もまだ無名(エッセイの連載でデビューし、北海道にあの「動物王国」を作りはじめた頃)なので、生身の人間のぶつかり合いがあって、非常に爽快な一編になっています。
その後の畑正憲のムツゴロウとしての活躍はご存知の通りですが、作者の方も急速に売れっ子になります。
その後、いったん挫折して、あの「深夜特急」の放浪の旅に出ました。
帰国後は、「テロルの決算」(その記事を参照してください)のようなよりスケールの大きなノンフィクションを書いて、不動の地位を築き上げます。
しかし、個人的には、この作品のような無名時代の体当たりで対象にぶつかっていた頃の作品の方に愛着があります。