「展望」1967年7月号に掲載されて、この作品を表題作とする短編集に収められました。
この作品の構成は以下の通りです。
1 アメリカの民話「口まがり一家」の紹介と、家の裏の崖に光る物があり、それを作者以外の家族が見に行ったことをこの作品の本題とすること、その背景として家の近隣が団地の開発のために変貌していることなどが書かれています。
2 光る物についての次男の話。
3 長女の話
4 長男の話
5 長男の話の続きと、光る物の正体
この作品では、1で紹介した民話とその後の子どもたちの話との結び付きは弱く、どちらかというと、家族の中でのそれぞれの兄弟の位置づけや性格を説明する方が強くなっています。
それは、この作品が作者の家族小説の中では、比較的初期にあたるためだと思われます。
作者の家庭小説は、独立した短編の集まりというよりは、全体としてある一家の歴史を物語る、一種の大河小説のような趣があります。
これは、子どもたちがそれぞれ独立して家庭を持ち、そこに孫が生まれてからも続き、作者の最晩年の作品群にも引き継がれていきます。