今はもう音楽を聴くのにネット配信が当たり前で、よほどの好き者じゃ無いと
CDなど買う人はいませんが、なぜか急にアナログ盤が脚光を浴びて
近年はいろんなアーチストが新譜を重量盤アナログレコードでリリースしてくれるようになりました。
昔と違って音楽が使い捨て聴き捨てになって、創る側も聴く側もそれが当たり前のようでは
なんとも寂しいとしか言いようがありませんが、それでも懐古趣味ではなくアナログの良さを
再認識してくれるのは嬉しいことです。

でもって、ざっと遡って70年代のはじめ。
いろんな洋楽のミュージシャンが大挙して来日し、LPが3000円前後したこの時代。
そうそう片っぱしから買うお金も無い学生や社会人が、こぞって頼りにしたのが
FMエアチェックなどという、今の若い人が聞いても〝なにそれ?〟というもの。
チューナーやレシーバーのブルーやグリーンのメーターを見ながら、息を殺しながら
カセットデッキやオープンリールに録音していたのが思い出されます。
そんな頃に私が一番聴いていたのがFM大阪の平日18:00から放送されていた
田中正美のビート・オン・プラザ。
70年代を関西で過ごしたロックファンなら、もうほとんどの人が知ってる?くらい。
何と言っても55分間の番組内で、毎日新譜のロックのLPをノーカットで丸ごと流してくれるという
貧乏学生にとっては神様のような番組でした。
FMファンや週間FMを買って、この日は何を流してくれる!と赤丸をつけて
テープを準備して待機していたものです。
ポール・マッカートニーのアルバム「McCartney 」に収録されていた、「Momma Miss America」が
イントロで流れて、DJの田中氏の紹介でだいたい3曲づつ、あいだにCMは入りますがCMの前後に
録音、停止ボタンを押すタイミングを計れるようインストの曲が流れたように思います。
当時はミュージックライフや音楽専科といった洋楽雑誌はありましたが
新譜やミュージシャンの情報などは雑誌が出るまでほとんど判らなかったので
この番組はすごく楽しみでした。
FM大阪が開局した時から始まって、田中正美氏が3代目DJだそう。
残念ながらそれ以前のDJの放送は聴いていないのでわかりません。
そういやNHKのサウンド・オブ・ポップス、もアルバム両面流してくれてましたね。
こういった番組があったおかげで、還暦を過ぎてもいまだロックファンを続けていられるわけで
やはり良い時代だったと言うべきなんでしょう。
Momma Miss America (ママ・ミス・アメリカ) / PAUL McCARTNEY