元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「私の生涯で最も美しい一週間」

2006-09-28 06:44:05 | 映画の感想(わ行)
 アジアフォーカス福岡映画祭2006出品作品。6組のカップルの、それぞれの恋の顛末を描く。

 韓国版「ラブ・アクチュアリー」と喧伝されていたが、あの作品と比べると、かなり泥臭く垢抜けない。6つのエピソードのうち2つが“難病もの”であるのは韓国映画らしい下世話さだが、展開もご都合主義の極みで、あり得ないプロットのオンパレード。しかも随所にお約束の“あざとい泣かせのシーン”が用意されている(脱力)。

 まあ、いくら話が田舎芝居でもそれを俳優の存在感で押し切るのが韓流ドラマの常套手段だが、今回のキャストはどれも魅力がない。中には顔を見るだけで気分が悪くなる奴もいる(爆)。話を一週間に限定しているせいで漫然としたストーリーが長時間垂れ流しにならないのが、長所といえばそうかもしれない。

 それでもただ一つ、映画館の初老の主人と売店のオバサンとのアヴァンチュールだけは感心するところがあった。彼は昔ながらの“街の映画館”を守り続けてきたが、時代の波には勝てず、シネコンの“フランチャイズ店”になることを要請される。彼女の方はずっと役者志望だが、もとより才能はなく、それでも映画の近くにいたいがため映画館と同じ建物に店を持っている。

 そんな二人が映画を接点に寄り添い合う過程を綴るこのエピソードは、監督ミン・ギュドンの映画に対する想い入れが前面に出てきているのだろう。劇場のスクリーンを上手く利用したクライマックスもけっこう感動的だ。逆に言えば、この話がなかったらまるで観る価値のない映画だと言える。有名スターも出ていない本作は日本公開も難しかろう。
コメント (2)
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