元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ミセス・ダウト」

2007-06-13 06:16:44 | 映画の感想(ま行)

 (原題:Mrs. Doubtfire)93年作品。ロビン・ウィリアムズの“個人芸”を見る映画だ。それ以外の見所は皆無である。妻から三下り半を突き付けられた売れない俳優の主人公が、子供に会いたい一心で、女装してお手伝いさんとして元の家にもぐり込む、という設定は面白い。が、プラスアルファの工夫もなく、プロットは大甘で、“家族は仲良くしましょう”という今さらながらのテーマを不器用に差し出すのみだ。脇にサリー・フィールドとかハーヴェイ・ファイアステインなどという芸達者を配しているにもかかわらず、ほとんど見せ場がないのも不満。

 監督は「ホーム・アローン」シリーズのクリス・コロンバスだが、映画自体の質とパワーは明らかにダウンしている。もっと破天荒で観る者を唖然とさせるような結末にしてほしかった。正直言って、観て一週間もたつとストーリーさえ忘れてしまうような映画である。

 でも、観る価値はないとは言えない。ウィリアムズのパフォーマンスはこの作品でひとつのピークに達している。「トッツィー」のダスティン・ホフマンもマッ青の巧妙極まる女装、そしてその特殊メイクのプロセスを丁寧に見せているところは好感が持てた。“地”の声とスコットランド訛の“ミセス・ダウト”の声、さらにいろんな人物の声帯模写で周囲の者を煙に巻くシーン。掃除機片手に軽やかにステップを踏むかと思えば、職業安定所で“特技は?”と聞かれたときには、モノまねギャグの速射砲をお見舞いする(特に“ホットドッグのまね”には涙が出るほど笑った)。ラスト近くの、レストランの中で一人二役を演ずるシーンはけっこう盛り上げてくれる。

 しかしまあ、ウィリアムズの一人舞台だけが目につくってことは、それ以外のドラマ部分がお粗末である証拠だ。どうでもいいけど、彼とエディ・マーフィ、ビリー・クリスタル、そしてウーピー・ゴールドバーグは“四大スタンダッパー”と呼ばれていたそうである。
コメント
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