(原題:Kannathil Muthamittal )2002年製作のインド映画。私は2004年のアジアフォーカス福岡映画祭で観ている。主人公は9歳の女の子で、彼女は誕生日に、実の親はスリランカに住んでいることを教えられる。内戦のため赤ん坊の頃に赤十字に保護され、インドに里子に出されたのだ。彼女は両親を探しにスリランカに行くことを決心する。
「ボンベイ」や「ザ・デュオ」で知られるマニラトナム監督は“鋭い社会派メッセージと娯楽ミュージカルの融合”という芸当が出来る世界でも数少ない作家の一人だが、この作品を観る限りヴォルテージが落ちているような印象を受ける。何より音楽シーンが弱い。欧米や日本のポップスのプロモーション・ビデオと同じなのだ。
もちろん、凡百のビデオ・クリップより数段質は高いが、インド映画らしいダイナミックな群舞等の、観客を引き込む仕掛けは皆無。たぶんミュージカル場面はほどほどにしてドラマを強調したいという作者の意向があったのだろう。しかしこの映画の本編は、難民問題というヘヴィな題材を取り上げている割には掘り下げが浅い。
スリランカ内乱の本質的な状況は表面的に言及するのみで、さっさと親娘再会のメロドラマに焦点を移してしまったのには閉口した(しかも、展開は冗長そのもの)。シビアな素材を上手く料理できないのなら、歌と踊りで圧倒させれば良かったのである。主人公の少女を演じる子役が全く可愛くないのにも参った。
「ボンベイ」や「ザ・デュオ」で知られるマニラトナム監督は“鋭い社会派メッセージと娯楽ミュージカルの融合”という芸当が出来る世界でも数少ない作家の一人だが、この作品を観る限りヴォルテージが落ちているような印象を受ける。何より音楽シーンが弱い。欧米や日本のポップスのプロモーション・ビデオと同じなのだ。
もちろん、凡百のビデオ・クリップより数段質は高いが、インド映画らしいダイナミックな群舞等の、観客を引き込む仕掛けは皆無。たぶんミュージカル場面はほどほどにしてドラマを強調したいという作者の意向があったのだろう。しかしこの映画の本編は、難民問題というヘヴィな題材を取り上げている割には掘り下げが浅い。
スリランカ内乱の本質的な状況は表面的に言及するのみで、さっさと親娘再会のメロドラマに焦点を移してしまったのには閉口した(しかも、展開は冗長そのもの)。シビアな素材を上手く料理できないのなら、歌と踊りで圧倒させれば良かったのである。主人公の少女を演じる子役が全く可愛くないのにも参った。