(原題:The Fabulous Baker Boys )89年作品。本当にオシャレな映画である。これはお薦め品だ。
“ファビュラス・ベイカー・ボーイズ”というジャズ・ピアノのデュオを組むフランク(ボー・ブリッジス)とジャック(ジェフ・ブリッジス)のベイカー兄弟は、女性ヴォーカルを入れてグループを立て直そうとする。オーディションで彼らの心をとらえたのはスージー(ミシェル・ファイファー)という女だった。
彼女を加えた“ベイカー・ボーイズ”は大成功をおさめ、ジャックとスージーとの間にもいつしか愛が芽生えてくるが、過去に決別できないジャックのためにスージーは去ってしまい、ついに“ベイカー・ボーイズ”も解散してしまうのだった・・・・・。
まずキャラクター設定が良い。弟のジャックは独身で一匹狼のアウトロー的雰囲気をただよわせて、しかも気位が高い。女にもてる。ケンカっぱやい。しかしピアノはうまいし隣家の女の子には優しいところも見せる。対して兄のフランクはナイトクラブのしがないピアニストでも分相応にそれに甘んじている。しょせんは三流プレーヤーだと自覚している。弟はまだミュージシャンとしての夢を捨てきれないが、兄は家庭を大事にする普通の人間である。
言うまでもなく、ボー・ブリッジスとジェフ・ブリッジスは本当の兄弟である。しかし、俳優としての人気は完全に弟のジェフが上だ。そのへんのところが映画の中にも持ち込まれているのが面白い。兄のボーはあえて脇に回り、際だったところはないが、あたたかみのあるキャラクターという持ち味を出して、映画に幅を持たせている。
そしてスージーは退廃的でセクシーな女だ。プライドが高く、野心満々。フランスの煙草しか吸わない。男に平気でケンカを売る。自己中心的。気が強く、負けず嫌い。実際そばにいたら敬遠したいタイプの女性だが、映画の中ではすごく魅力的なのである。彼女は男にコビを売ったりしない。完全に自立している。そして二人の男を遠慮なくののしり、いつしか兄弟同士で過去の傷のなめあいをやっている彼らを挑発する。
スージーを演じるミシェル・ファイファーは素晴らしい。この頃は美しさが際立っていたが、演技力も相当なものだ。どんな悪女を演じても品のよさを失わない。彼女はこの作品でアカデミー賞の主演女優賞候補になっている。
雨の多い街シアトルを舞台にしているのもいい。落ち着いた色調の映像と雰囲気抜群の音楽、しゃれた会話、どこかヨーロッパ映画を連想させる。シックな大人のラブ・ストーリーである。監督は当時若冠29歳でこれがデビュー作のスティーヴ・クローヴス(後に「ハリー・ポッター」シリーズの脚本を執筆)。まさに必見の映画だ。
“ファビュラス・ベイカー・ボーイズ”というジャズ・ピアノのデュオを組むフランク(ボー・ブリッジス)とジャック(ジェフ・ブリッジス)のベイカー兄弟は、女性ヴォーカルを入れてグループを立て直そうとする。オーディションで彼らの心をとらえたのはスージー(ミシェル・ファイファー)という女だった。
彼女を加えた“ベイカー・ボーイズ”は大成功をおさめ、ジャックとスージーとの間にもいつしか愛が芽生えてくるが、過去に決別できないジャックのためにスージーは去ってしまい、ついに“ベイカー・ボーイズ”も解散してしまうのだった・・・・・。
まずキャラクター設定が良い。弟のジャックは独身で一匹狼のアウトロー的雰囲気をただよわせて、しかも気位が高い。女にもてる。ケンカっぱやい。しかしピアノはうまいし隣家の女の子には優しいところも見せる。対して兄のフランクはナイトクラブのしがないピアニストでも分相応にそれに甘んじている。しょせんは三流プレーヤーだと自覚している。弟はまだミュージシャンとしての夢を捨てきれないが、兄は家庭を大事にする普通の人間である。
言うまでもなく、ボー・ブリッジスとジェフ・ブリッジスは本当の兄弟である。しかし、俳優としての人気は完全に弟のジェフが上だ。そのへんのところが映画の中にも持ち込まれているのが面白い。兄のボーはあえて脇に回り、際だったところはないが、あたたかみのあるキャラクターという持ち味を出して、映画に幅を持たせている。
そしてスージーは退廃的でセクシーな女だ。プライドが高く、野心満々。フランスの煙草しか吸わない。男に平気でケンカを売る。自己中心的。気が強く、負けず嫌い。実際そばにいたら敬遠したいタイプの女性だが、映画の中ではすごく魅力的なのである。彼女は男にコビを売ったりしない。完全に自立している。そして二人の男を遠慮なくののしり、いつしか兄弟同士で過去の傷のなめあいをやっている彼らを挑発する。
スージーを演じるミシェル・ファイファーは素晴らしい。この頃は美しさが際立っていたが、演技力も相当なものだ。どんな悪女を演じても品のよさを失わない。彼女はこの作品でアカデミー賞の主演女優賞候補になっている。
雨の多い街シアトルを舞台にしているのもいい。落ち着いた色調の映像と雰囲気抜群の音楽、しゃれた会話、どこかヨーロッパ映画を連想させる。シックな大人のラブ・ストーリーである。監督は当時若冠29歳でこれがデビュー作のスティーヴ・クローヴス(後に「ハリー・ポッター」シリーズの脚本を執筆)。まさに必見の映画だ。