元・副会長のCinema Days

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「X-MEN:ダーク・フェニックス」

2019-07-15 06:48:05 | 映画の感想(英数)
 (原題:X-MEN:DARK PHOENIX)不遜な言い方になるが、本作の一番のセールスポイントは、このシリーズがこれで終わるということである。MARVEL関係の映画化としては早い時期(第一作は2000年製作)から手掛けられていたにも関わらず、話が複数の時間軸に分裂してまとまりの無いまま進行し、後発のマーベル・シネマティック・ユニバースに比べるとヴォルテージが低い印象を受ける本シリーズがここで“御破算”になるのは、(皮肉な意味ではなく)送り手にとっても観客に対しても結構なことだと思う。

 スペースシャトルの事故で遭難した飛行士たちを救うべく、X-MENのメンバーは宇宙空間に赴くが、そこで謎のエネルギー体に遭遇する。何とかミッションを果たして帰還しようとした瞬間、ジーン・グレイがエネルギー体からの光線を浴びてしまう。



 地上に戻ったジーンは次第に挙動がおかしくなり、他のメンバーと反目する。彼女の中のダークサイド“ダーク・フェニックス”覚醒し、強大なパワーが現出しようとしていたのだ。さらに、そのパワーを手に入れようと企む凶暴なエイリアンが飛来。X-MENは地球の危機を救うため、敵であったマグニートーとも共闘し、ジーンを保護しながらエイリアンの脅威に立ち向かう。

 活劇シーンに関しては、あまり文句は無い。舞台が宇宙にまで広がりスケール感が出てくると共に、スピードもキレ味も及第点だ。少なくとも、サイモン・キンバーグの演出は当シリーズ常連だったブライアン・シンガーよりは達者だと思う。しかしながら、筋書きの方は褒められたものではない。

 そもそも、謎のパワーを手に入れたジーンが、一体何をしたいのか分からない。彼女がX-MENに加入したのはある悲しい出来事が切っ掛けなのだが、そのことに向き合おうとしているかのように見えて、それが新たなパワーとどう関係しているのか不明である。何を聞いても“分からないから静かにして”と言うばかりで、他のメンバーも困惑するばかり。

 エイリアン連中と謎のエネルギー体との関わりも、イマイチ判然としない。そしてエイリアンの目的と生態および弱点も具体的に示されないようでは、いくらアクション場面が派手でも、カタルシスを得られない。ジーン役のソフィー・ターナーの器量がさほどでもないのも不満だ(笑)。

 ジェームズ・マカヴォイにマイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト等のレギュラーメンバーは、今回は可も無く不可も無し。敵役のジェシカ・チャステインが多少目立っていた程度だ。ラストは一応決着がついたような感じだが、本作の時代設定が80年代なので、今後何が起こるか分からないし、中途半端な幕切れであることは確かだ。ただし、冒頭にも述べたように、複雑化したストーリーラインをここで打ち切るという、一種の爽快感はある。その意味では、存在価値はあるだろう。
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