2024(令和6)年 7月号(No.128) 了雲寺 釈幸華 |
慶聞抄(きょうもんしょう)
大水のあとに・・・
知恵と智慧
「人新世」という呼び名は、地質学の国際組織の専門家たちからは認められなかった(今年3月)けれど、雨が降ればたいてい大雨になり、この5月の猛暑をみても、私たちは今までとは違う時代に生きていることは確かです。世界の各地から氷河の後退を始め、森林火災・大型台風・河川の氾濫など異常気象の報告にいとまがありません。地球温暖化、海水温の上昇が原因である訳ですが、ことはもう生態系全般に及び、絶滅種の増加と食物生産の危機と。もう元には戻れない臨界点を越えてしまって飢餓の時代がくるのではと悲観的になります。
こんな地球規模の大問題にも関わらず、戦争です。前世紀の遺物か(遺物です)、と思ってしまうほどの、どうしようもない陳腐な様相で。しかも核兵器の使用がかつてないほどの切迫感で!
1970年の大阪万博のテーマが「人類の進歩と調和」でした。今となっては信じられないくらいの能天気。その3年後にオイルショックです。1950年代後半からの高度経済成長は終わり、今に至る問題が山積したのでした。来年の大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だそうで、懲りない人たちだなぁと思うばかりです。子どもたちの未来へのメッセージなら、目の前の課題に責任ある取り組みをしてからにしてほしいです。
改めて、考えます。「人類の進歩」とは何か、「いのち輝く」とはどういうことか。
確かに当時、月面着陸のお土産の石が最大の呼び物でした。次は火星を目指す?(地球がもうダメという時に備えて火星移住計画が進められているそうで。ちなみに、グレートジャーニーの関野吉晴さんは「地球永住計画」です。賛成!)ここでいう「進歩」は「人類の」ではなく、科学・技術の進歩であって、映画「オッペンハィマ―」で、主人公の苦悩が大統領と多くの米国民には共有されなかった。ましてや被爆者の思いは?
また、「いのち輝く」とは、現実に輝けない命があまりにも多いからテーマに選ばれたと考えてしまいます。過労死、虐待死、いじめ、貧困、差別、孤立等々、社会の現実は過酷そのもの。失敗しようものなら「自己責任」と冷たく言い放たれる世の中です。そうではなくて、一人ひとりが大切にされ、誰もが「生まれてきて・生きてて良かった」と思えるような社会であってほしい。それでこそ人類の歴史を重ねて獲得する進歩と言えるのでは?
22年11月に始まった「生成AI」と言われる技術が、まさに時代を画するものだとされていて、議論をよんでいます。人工知能自身が独りでに学習を続け、人類総体の知恵を越える「シンギュラリティ(技術的特異点)」が45年だとする説まであります。(手塚治虫さんの漫画に出てきてました、確かハルと言う名で人類を支配する・・)
私たちの仏さまが、阿弥陀仏であることの重要性を思います。
「阿弥陀」は梵語(古代インドの言葉)のアミターバ(無量光)、アミターユス(無量寿)のアミタの音訳です。無量光は無辺の空間に隈なく遍満する「摂取して捨てたまわず」という「はたらき」(壽)をあらわします。
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私たちの知恵はどこまでいっても「我」から離れられない。仏さまの智慧の光で「煩悩具足の凡夫」であることが知らされます。 合掌
ランタナと蝉の抜け殻
釈明和 の
明る~く和む今月の一言
先日は、得度の時に同部屋だったルームメイトと京都で同窓会をしてきました。
なんと19歳(学生)、19歳(学生)、25歳(会社員)と私49歳(主婦)の女性ばかりの仲良し4人組です。
我が子ほど歳が離れているので、話が合うのか??と思われますが、得度では俗世での地位や名誉の全てを捨てて、阿弥陀さまの前ではみんな平等です。
何者でもないただの人間同士の集りは、利害関係やヒエラルキーもなく、フラットな関係です。そこには年齢差も性別も関係ありません。
人はいかに普段から役割を背負って生きているのかを知りました。同じ目標を持った人間が集まると、自然と協力し団結するものですね。
この修行を共にする仲間を仏教ではサンスクリット語でサンガと呼びます。
修行するのに、
1人ではサボってしまう、
2人では喧嘩して別れる、
3人では2対1で対立する、
4人だと違いを認めつつ精進できるとのことです。
なかなか良く出来ていますよね。
私のところに、お子さんに友達が出来ず困っているとのご相談があります。
私に合う友達なんていない!とか、本当の友達はどこにいるのだろう・・・と悩むのです。
まるでお見合いをするかのように友達を見つけるのではなく、サンガを作ったらいいのではないかと思います。同じ志、目的を持った集団に入り、切磋琢磨していると自然と仲間が出来てきます。
さらに、共通の敵がいたら、盛り上がることこの上なし。
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我が家では私がピリッとすると、夫と娘が団結するのはそういうことだったのか・・・
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