♪♪ 私の お寺ライフ ♪♪

 ブログアップして9年目に突入。相変わりませんが、私の「如是我聞」をお送りします。南無阿弥陀仏

慶聞抄2020年9月号

2020-08-20 15:55:24 | 随想
慶聞抄(きょうもんしょう)



戦争の記憶

8月15日正午のテレビニュースは、75回目の全国戦没者追悼式の中継でした。画面より短めの黙とうをしましたが、その後連れ合いと戦没者とは誰かということに話がなりました。当然、戦死者と空襲などの犠牲者やろとぶつぶつ言いながら、それぞれが、彼は自分のタブレットで、私はスマホで調べますと、第2次大戦で戦死した旧日本軍軍人・軍属、230万人と、空襲や原子爆弾投下等で死亡した一般市民約80万人、計310万人とありました。

連れ合いが、「では問題です、戦争で一番多くの戦没者を出した国は?」 私は、映画「ひまわり」のワンシーンを思い浮かべながらソ連と答えました。正解。2400(2060)万人。次は? 中国。1800(1321)万人。*( )は私が調べた別のデーターから。次からは正解を逃がしましたが、ドイツ、800(689)万人。ポーランド500(603)万人。インドネシア、400万人。その後、日本と続きます。
 
すごいなぁ・・コロナ情報で毎日死亡者数が報道されるけれど、人の死を数字で知らされることに慣れたらあかんと思いつつも、この数字の大きさには驚かされます。
 
ソ連やポーランドは勿論対ドイツ戦のものでしょう。そして中国の死者は、対日戦での犠牲者です。インドネシア(オランダ領)のも。真珠湾(パールハーバー)攻撃と同時に日本はマレー半島に上陸、対米英戦争に突入したのでした。

そこで、あらためて思います。追悼の「おことば」や首相の「式辞」に、75回目にもなるんだし、もうそろそろ自国民以外の戦争犠牲者への言及があっていいのではないかと。 

その夜、NHKスペシャルで「忘れられた戦後補償」を観ました。初めに鹿児島で米軍の空襲に遭った81歳の女性の証言。左足の膝から下がもぎ取られたけれど、手当は赤チンだけ。アルコール漬けの自分の足を見ていたそうです。その後の人生で楽しいことは一回もないと寂しげに話しておられました。
 
同盟国だったドイツとイタリアは、戦後民間の被害者にも軍人と同じように補償をしてきたのに、日本では軍出身の厚生省官僚や軍人の遺族だった政治家によって軍人軍属への補償が充実していく一方で、民間被害者の訴えは退けられてきました。ドイツの歴史学者は言います。「個人の被害に国が向き合うことは民主主義の基盤をなすもの」と。同じ番組を見た友人も、(日本の)軍人恩給の手厚さは知ってはいたが、金額の違いにビックリしたとメールしてきました。
 
身内に甘くそうでない者への冷たい仕打ち。何だろうこれは。この国の戦前戦後を貫く変わらない体質のようなものです。自由と民主主義の衣をまとってはいますが、その實無謀な戦争に国民を駆り立てた者たちの末裔が今も権力の中枢に居続けているのではないですか。

この夏の一番の収穫は、ドキュメンタリー「沖縄戦」を観たことです。副題は「知られざる悲しみの記憶」。県民だけの計算で当時の3人に1人が亡くなった、ほとんどの日本人が未だ知ることのない凄惨なその実相。おそらく体験者の証言を得るには最後の機会を、浄土真宗本願寺派が形にしてくれたことに感謝です。
                 南無阿弥陀仏



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