2022年のアメリカ映画「ザ・メニュー」。
太平洋岸の孤島を訪れたカップルのマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)
とタイラー(ニコラス・ホルト)。お目当ては、なかなか予約の取れない
有名シェフ、ジュリアン・スローヴィク(レイフ・ファインズ)が彼のレ
ストランで振る舞う、極上のメニューの数々。「ちょっと感動しちゃっ
て」と、目にも舌にも麗しい、料理の数々に涙するタイラーに対し、マ
ーゴが感じたふとした違和感をきっかけにレストランは徐々に不穏な雰
囲気に。何と1つ1つのメニューには想定外のサプライズが添えられてい
た。
孤島の高級レストランで振る舞われる極上のメニューに隠された秘密を
描くサスペンスであり、ブラック・コメディでもある。カリスマシェフ、
ジュリアン・スローヴィクが料理を振る舞う孤島のレストラン、「ホー
ソン」。そこに集まったゲストは皆セレブだった。料理評論家、投資家、
俳優といった面々の中、マーゴを同行して訪れたタイラーは興奮してい
た。マーゴがタバコを吸うと「料理の味がわからなくなるから止めろ」
と注意する。美食家であるタイラーはスローヴィクに心酔していた。
スローヴィクが登場し、「パンッ!」と大きく手を打つと、厨房のスタ
ッフが一斉に作業の手を止め「イエス、シェフ!」と言う。スローヴィ
クは不敵な笑みを浮かべている。コース料理の1皿目が運ばれてくると
タイラーは目に涙を浮かべ、1皿に込められたメッセージを読み、味を
解説し、禁じられている写真を撮ってしまう程のはしゃぎようで、マー
ゴは呆れてしまう。2皿目が運ばれてくる。パンにつけるジャムのよう
だが、肝心のパンがない。3皿目はタコスで、スローヴィクは自分の幼
少期の話をし、テーブルに着いている老婆を母親だと紹介するが、老婆
は無表情だった。
1人1人に配られたトルティーヤには何やら模様が施されていた。夫の
浮気現場の絵、会社の不正取引の書類のコピー、料理の写真を撮るタイ
ラーの絵まであった。「何かがおかしい」と感じたマーゴは、料理に一
切手をつけていなかった。違和感を抱いたマーゴはトイレに行きタバコ
を吸って気持ちを落ち着かせるが、そこにスローヴィクがやってくる。
女子トイレにまで入ってきたスローヴィクにマーゴは恐怖を感じる。ス
ローヴィクは「何故私の料理を食べないのか」と質問するが、マーゴは
「私は自分が食べたいものを食べる」と答える。
レイフ・ファインズの怪演ぶりがすごい。英国紳士然とした彼が不穏で
イカれたシェフを演じている様子は怖くなるほど。コース料理の1皿1
皿の紹介が物語の章仕立てになっている。何が起きているのかが把握で
きないままコースは進む(観ている側だけでなくレストランの客たちも
同様である)。そして次第に料理に恐ろしい秘密が隠されていることに
気づく、その過程はとてもおもしろい。結局客のセレブたちよりもセレ
ブではないマーゴが1番常識的だったということである。変わった映画
だが見応えがありなかなか良かった。
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太平洋岸の孤島を訪れたカップルのマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)
とタイラー(ニコラス・ホルト)。お目当ては、なかなか予約の取れない
有名シェフ、ジュリアン・スローヴィク(レイフ・ファインズ)が彼のレ
ストランで振る舞う、極上のメニューの数々。「ちょっと感動しちゃっ
て」と、目にも舌にも麗しい、料理の数々に涙するタイラーに対し、マ
ーゴが感じたふとした違和感をきっかけにレストランは徐々に不穏な雰
囲気に。何と1つ1つのメニューには想定外のサプライズが添えられてい
た。
孤島の高級レストランで振る舞われる極上のメニューに隠された秘密を
描くサスペンスであり、ブラック・コメディでもある。カリスマシェフ、
ジュリアン・スローヴィクが料理を振る舞う孤島のレストラン、「ホー
ソン」。そこに集まったゲストは皆セレブだった。料理評論家、投資家、
俳優といった面々の中、マーゴを同行して訪れたタイラーは興奮してい
た。マーゴがタバコを吸うと「料理の味がわからなくなるから止めろ」
と注意する。美食家であるタイラーはスローヴィクに心酔していた。
スローヴィクが登場し、「パンッ!」と大きく手を打つと、厨房のスタ
ッフが一斉に作業の手を止め「イエス、シェフ!」と言う。スローヴィ
クは不敵な笑みを浮かべている。コース料理の1皿目が運ばれてくると
タイラーは目に涙を浮かべ、1皿に込められたメッセージを読み、味を
解説し、禁じられている写真を撮ってしまう程のはしゃぎようで、マー
ゴは呆れてしまう。2皿目が運ばれてくる。パンにつけるジャムのよう
だが、肝心のパンがない。3皿目はタコスで、スローヴィクは自分の幼
少期の話をし、テーブルに着いている老婆を母親だと紹介するが、老婆
は無表情だった。
1人1人に配られたトルティーヤには何やら模様が施されていた。夫の
浮気現場の絵、会社の不正取引の書類のコピー、料理の写真を撮るタイ
ラーの絵まであった。「何かがおかしい」と感じたマーゴは、料理に一
切手をつけていなかった。違和感を抱いたマーゴはトイレに行きタバコ
を吸って気持ちを落ち着かせるが、そこにスローヴィクがやってくる。
女子トイレにまで入ってきたスローヴィクにマーゴは恐怖を感じる。ス
ローヴィクは「何故私の料理を食べないのか」と質問するが、マーゴは
「私は自分が食べたいものを食べる」と答える。
レイフ・ファインズの怪演ぶりがすごい。英国紳士然とした彼が不穏で
イカれたシェフを演じている様子は怖くなるほど。コース料理の1皿1
皿の紹介が物語の章仕立てになっている。何が起きているのかが把握で
きないままコースは進む(観ている側だけでなくレストランの客たちも
同様である)。そして次第に料理に恐ろしい秘密が隠されていることに
気づく、その過程はとてもおもしろい。結局客のセレブたちよりもセレ
ブではないマーゴが1番常識的だったということである。変わった映画
だが見応えがありなかなか良かった。
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