猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

地獄の貴婦人

2013-10-09 17:26:10 | 日記
1974年のフランス・イタリア・西ドイツ合作映画「地獄の貴婦人」。
1930年代のマルセイユ。フィロメーヌ・シュミット(ロミー・シュナイダー)はある家の家政婦
として働いていたが、雇い主が死に、途方にくれていたところを、ジョルジュ・サレ(ミシェル・
ピコリ)という弁護士と知り合い、拾われる。
サレは有名な弁護士だが、大変な悪党であった。フィロメーヌはドイツ移民で、フランス国籍を
得るために、心臓の弱い老人と結婚しようとしていた。それには障害があったのだが、サレが
悪知恵を働かせ、フィロメーヌは老人と結婚し、無事フランス国籍を取得した。
フィロメーヌの結婚式に、ドイツからフィロメーヌの妹のカトリーヌ(マーシャ・ゴンスカ)が
やってくるが、サレはカトリーヌとも関係を結ぶ。老人はやがて死んだ。
サレは余命いくばくもない男とフィロメーヌを結婚させ、男に保険金をかけ、死んだらフィロ
メーヌが保険金を受け取る、という保険金詐欺を思いつく。
サレは男の替え玉を探し、ミシェルという男に報酬を払い、替え玉になってもらって保険に加入
させた。
サレ、フィロメーヌ、カトリーヌの3人はフィロメーヌの夫が死ぬのを待ち、死ぬと保険金を受け
取り、3人で山分けにした。ところが、ミシェルが保険金の半分をよこさないと警察に話すと言い
出した。サレはミシェルとミシェルの恋人を殺すことにした。

1920年代に実際に起きた事件を元にした映画だそうだ。私はとてもおもしろかったのだが、この
映画は評価が分かれているようである。後半のグロシーン(と言っても大してグロくないのだが)に
衝撃を受けた人が多かったらしい。そのグロシーンの凄さ(重ねて言うが、大してグロくない)と、
ミシェル・ピコリとロミー・シュナイダーという2大スターの共演ということで、かなり話題には
なったらしい。
衝撃的なシーンというのは、サレがミシェルたちを殺害した後、バスタブに死体を入れ、そこに
硫酸をどぼどぼと注ぎ、ドロドロに溶けてしまった死体を、フィロメーヌとカトリーヌと3人で、
バケツに入れて庭に捨てるシーンなのだが、1974年の映画としてはかなりグロかったのかもしれ
ない。今見るとなんてことないんだけど。
更にロミー・シュナイダーは美人女優、大女優として人気があった人なので、一体どうしてこんな
悪趣味な映画に出たのだろう、と批判されたそうである。私はこの映画、DVDを買ってもいいく
らい好きなのだが。ストーリーも良く出来ていると思うし、ラストもフランス映画らしい。

ロミー・シュナイダーという人はオーストリア出身で、オーストリアやドイツで女優として活躍
した後、フランスに渡り大女優になった。とても美人なのだが、その人生はあまり幸せなものでは
なかったようだ。悲しみが多い人生だったと思う。43歳の若さで亡くなった。
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マイ・ブラザー

2013-10-05 04:35:14 | 日記
アメリカ映画「マイ・ブラザー」。
米軍大尉のサム(トビー・マグワイア)は順風満帆な人生を歩んできた。学生時代はアメフトの
スター選手として活躍し、チアリーダーだった美しいグレース(ナタリー・ポートマン)と
結婚し、2人の娘にも恵まれた。軍での人望も厚い。
一方サムの弟のトミー(ジェイク・ギレンホール)は長く定職に就いておらず、挙げ句の果てに
銀行強盗をして逮捕され、服役していた。
トミーの出所日にサムは迎えにいくが、元海兵隊員の父ハンク(サム・シェパード)は出来の
悪いトミーを厄介者扱いし、いやみを言う。サムを見習え、と。
グレースも娘たちも内心ではトミーを嫌っており、トミーは居場所がない。
トミーの出所と入れかわりにサムはアフガニスタンの戦地へ行く。そしてしばらくして、サムの
戦死の通知がグレースのもとに届く。
ショックを受け酒びたりになるトミーだったが、グレースや娘たちが嘆き悲しむ様子を見て、
やがて彼女たちの支えになろうと努力するのだった。
そんなトミーの存在はグレースや娘たちの心を癒していき、トミーもまた癒された。
すっかり娘たちがトミーと仲良くなった頃、サムが帰ってくるという知らせが。戦死は誤報
だったのだ。
帰宅したサムに、皆大喜びするが、サムはもう以前のサムではなかった。戦地での体験が元で
心に大きな傷を負い、神経質で暴力的な人間になっていた。

重たい映画だった。グレースもトミーも父親も、サムが戦地でどんな目に遭ったかを知らない
ので、サムの変わりように困惑するのだが、映画を見ているこちらはそれを知っているので、
サムの辛さが伝わってくる。偏見と思われるかもしれないが、私は中東を怖いところだと思って
いる。サムもその中東で悪夢のような経験をする。改めてやっぱり中東って怖い、と思って
しまった。
今の日本には軍隊がないけれど、昔戦争をしていた頃は兵士の人たちはあんな恐ろしい経験を
することもあったのだろうなあ。私なら耐えられない。軍人ってものすごく強い精神が必要
なんだな、と思った。そして米軍に限らず、戦っている兵士たちがまだ世界中にたくさんいる
のだと思うと、胸が痛く、悲しい。
グレースはサムに「何があったのか話して」と何度も言うが、サムにしてみれば話せることでは
ない。見ていて、話さなきゃいけないことなのか?夫婦だったら何でも打ち明けあうのがいい
ことなのか?と疑問に思った。セラピストには言えても家族には言えないことってあるのでは
ないだろうか。グレースはサムに話させようとするが、私なら聞かないと思う。でも聞かない
方がいいのかと問われたら、それは自信がない。
次第に精神が壊れていくサムを演じたトビー・マグワイアって、うまいなあと思った。
戦争がなくなるのはいつなのだろうか。

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