あんだが中学2年の時だったなぁ。
胸にしこりが出来で、医者に診でもらったらがんだなんて言わっち、医大病院で手術してもらったべ?
わだしのおっかさま(母)も乳がん、おどっつぁま(父)も陰茎のがんだった。
ほんだがら、「あんだもおっかさまに似だんだない」なんて近所の人がら言わっちなぁ。面と向がって、本人にそんなごどいう人もないもんだ。
その頃、医大のホンダ外科っていったら、そりゃ~有名な先生(医師)だったのな。
手術前は片方の乳房だけって言わっちゃんだげんちょも、そんどぎになったら転移している可能性もありますがらって、両方とっちまった。
ほんでな、手術が終わって、まだ手術台にいるうぢに麻酔が切れて気が付いたのな。
そうしたら、手術に立ち会った先生だぢが話してるのが聞こえっちまったのさ。
「部長ががんだって言うから・・・、 私は違うと思ったんだけどね」
「いや、私もそう思いましたよ・・・」
わだしの麻酔がまだ効いてると思って、わだしのすぐ横の方で先生だぢがひそひそ話していだのな。
そんな話してるもんだがら、わだしはまだ眠ってるふりしでだのよ。
んだがら、今まで誰にも言ったごどはながったげんちょも、あれはがんでながったと思ってる。
あれがら転移もしなげれば、再発もしねもの。
あれはがんでねがったんだ。
ほんでなげれば、こんなに長生ぎはできねがったよ。
ひゃ~、今の時代ならたいへんだ。
医療ミスで訴えられるよ。その時、病院に何も言わなかったの?
そんなごど、しねえ。今までだあ~れにも言わねがったもの。
※『お母さん』のカテゴリは、チエちゃんのお母さんが語る思い出
お母さんの昭和めもりーずです