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時悠人chosan流処世術

●ビジョン不在の増税

2005-06-24 10:00:41 | 日記・エッセイ・コラム
 「冗談じゃない!」。サラリーマン諸氏ならずとも、いちように驚きの声をあげたに違いない。政府税調の報告書は、構造改革不在の成果物とも思えるものだった。「税金は取りやすいところから取る」という一番安直な発想だ。

 国家財政の窮状を救うための方策に対して、国民が無関心でおられる筈はないし、必要な負担は甘んじて受けよう。しかし、それ以前に為すべきことが為されていないとなると話は別だ。小泉首相は長期将来構想を国民に示したことがあっただろうか。「改革無くして成長なし」と宣言し、さっそうと登場したが、その後の政策をみていると、細かい施策は数多いが抜本的な構造改革は皆無に等しい。

 長期ビジョンの骨格をなすべきは、外交・福祉・教育・安全等といったキーワードだ。それらを通して、将来の日本国をこうしたいというものがあって、具体的な施策が各論として展開されるべきはず。
税制改革は、構想実現のために必要な財源確保施策であって根幹をなす事項でありえない。百歩譲って国家財政救済上、必要不可欠だとしても、財政を破綻させた行政責任と消費税問題を先送りにして、給与所得控除廃止や扶養者控除廃止等々の搾取策を先行実施するのは本末転倒だ。
 
 「民に出来ることは民に」と、優先順位が低い郵政民営化に執念を燃やし、国力に相応しい国際貢献をと、自衛隊海外派遣を継続し、安保常任理事国入りを目指してODA援助額を増額しようとする。
A級戦犯合祀や靖国参拝は他国の口出しする問題ではないとの一点張りで、中国や韓国と敵対外交を貫く。「果たして日本の将来に明るい夢は存在するのだろうか?」と、怒りと閉塞感で暗澹たる気分になってくる。