通常国会で小泉首相が、「科学的知見を踏まえ、アメリカ牛の輸入解禁に踏みきった」と胸を張った日に、危険部位が発見されたのは皮肉だった。
しかし、この問題の背景はもっと深いところにある。それは、食に対する日米文化の違いだ。食べ物の英訳はFOODで、風土に通じ、日米風土の違いとも言える。米国内では安全食品として通用するのに、日本では危険だと言われることをアメリカ人は理解出来ないだろう。在米日本人は、松井だって、イチローだって当然、彼らと同じ物を食べているからだ。
個人的には、日本人の食品に対する安全・安心欲求は異常なほど高いと思うが、これはそれぞれの人の価値観の問題だから批判する気はない。むしろ、プリオン専門調査会においてすら、時期尚早論があったものを、ブッシュ大統領の来日日程にあわせて解決を急いだ政治姿勢が問題だ。日本政府の判断誤りであることは明白で、吉野家などのアメリカ牛関連業種が蒙った損害はどうなるのだろうか。