アフガニスタン東部でNGOメンバーの伊藤和也さんが遺体で発見された。戦乱の地で現地の人達のために汗をかいた31歳の青年の死。痛ましさや悲しさを通り越して、やり場のない怒りを感じる。
彼が属していた「ペシャワール会」は、9・11テロの前からアフガンで活動を展開してきており、現地に根付いていたNGOだ。彼の捜索に数百人の村人が加わった事実が強い信頼関係を物語っている。
アフガンに限らず、イラクやパキスタン、カンボジア等でも数多くのNGOが危険と隣り合わせで活動している。だが、紛争地では、そういった崇高な理念も通用しないことを改めて知らしめたともいえる。ペシャワール会代表の中村医師が昨年、一時帰国した際、テレビ番組で「みんなが行く時は、行く必要はない。そこに必要性がありながら、だれもやらない場所で我々は活動する」と語っていたのを思い出す。
個の善意も外国人という理由で受け入れられないとするならば、どういった支援の方法があるのか。アメリカの後方支援活動であれ、現地では同じ軍事活動として受け止めることが今回の事件で明白になっただけに、日本政府の国際貢献活動のあり方を問い直す必要性を感じる。伊藤さんの冥福を祈りつつ。