プラチナ世代のマラソン旅行

時悠人chosan流処世術

★NGOメンバーの死

2008-08-28 09:51:53 | 日記・エッセイ・コラム

 アフガニスタン東部でNGOメンバーの伊藤和也さんが遺体で発見された。戦乱の地で現地の人達のために汗をかいた31歳の青年の死。痛ましさや悲しさを通り越して、やり場のない怒りを感じる。

 彼が属していた「ペシャワール会」は、9・11テロの前からアフガンで活動を展開してきており、現地に根付いていたNGOだ。彼の捜索に数百人の村人が加わった事実が強い信頼関係を物語っている。

 アフガンに限らず、イラクやパキスタン、カンボジア等でも数多くのNGOが危険と隣り合わせで活動している。だが、紛争地では、そういった崇高な理念も通用しないことを改めて知らしめたともいえる。ペシャワール会代表の中村医師が昨年、一時帰国した際、テレビ番組で「みんなが行く時は、行く必要はない。そこに必要性がありながら、だれもやらない場所で我々は活動する」と語っていたのを思い出す。

 個の善意も外国人という理由で受け入れられないとするならば、どういった支援の方法があるのか。アメリカの後方支援活動であれ、現地では同じ軍事活動として受け止めることが今回の事件で明白になっただけに、日本政府の国際貢献活動のあり方を問い直す必要性を感じる。伊藤さんの冥福を祈りつつ。


★五輪閉幕のいま

2008-08-26 09:35:19 | 日記・エッセイ・コラム

 17日間にわたった北京オリンピックが無事、閉幕した。テロや民族弾圧、或いは言論統制等の問題を抱えての開催だっただけに、「無事終わった」との印象が強い。勿論、各競技で世界最高水準の技術や勝負が展開されたし、日本選手団の活躍が感動を呼んだことも事実だ。

 メダル獲得競技や選手に焦点をあてて繰り返し放送するメディア姿勢に辟易し、殆ど中継を見なかった。が、定時ニュースのダイジェスト版でも十分、その模様は伝わってきた。なかでも、ボルトの陸上三冠王やフェルプスの水泳8冠、或いは、北島の2大会連続2冠は、強烈な印象を与えたし、男子400mリレーの銅メダルのシーンは何度見ても嬉しかった。

 ほかにも、女子ソフトの活躍や柔道・体操等、日本選手の活躍は随所にあった。メダル獲得はならなかったが、卓球やバドミントンでの頑張りは未来の可能性を感じさせた。その一方で、男子サッカーと野球の不甲斐なさは、結果だけを見て批判する気はないが、五輪選手団団長の指摘も道理だと思える。

 いずれにせよ、4年に一度のオリンピック騒動が終わった。スポーツの祭典の陰に強化費用やトレーニング方法等の多くの問題点も露呈した。ロンドン大会の次を狙う東京開催に向けて、五輪のあり方や意義を国民レベルで考える時期に思える。


★つかの間の避暑

2008-08-21 16:27:32 | 日記・エッセイ・コラム

 義父の墓参の帰路、水上温泉に足をのばした。今夏のゲリラ気象の影響を受け、利根川でラフティングを楽しむ人もまばらだったが、避暑を兼ねての逗留の身には、かえって好都合だった。014 こじんまりした純和風の小さな旅館だけに、随所にご主人と女将のこだわりが出ていて、小気味よい宿だった。湯に浸かりな013_2 がら、利根川の清流と滝を眺めていると、気が和んだ。「面白き事もない世をおもしろく 生きるよすがは おのが心ぞ」などと、ふざけた句を口ずさみながら、禁を破り、飲んだ生ビールは格別だった。017 012 「酒のない国に行きたい二日酔い また三日目には戻りたくなる」という狂歌があるが、お湯に浸かり汗をかくと、ついまた飲みたくなる。体に良いわけないと思いつつ、久し振りに羽目を外した。


★63回目の終戦記念日

2008-08-15 10:55:42 | 日記・エッセイ・コラム

 終戦から63年目の日。金沢は、朝から時おり雷が鳴り、雨が降ったりやんだりし蒸し暑い。63年前の今日の天気はどうだったのか、当時、2歳だった私には記憶にない。ましてや、国民がどんな思いで敗戦を迎えたか知る由もない。

 戦争体験者が年々減少し、風化することを危惧する声が聞こえる一方で、戦争を知らない世代が中心になって新たな世界観を構築すべきだとの意見がある。是非は別として、対中・対韓関係における「戦略的互恵関係」なる難解な言葉は、過去の不幸な関係を乗り越えて行くための政治的解決手法なのかも知れない。

 しかし、体制や組織としての関係と個人的な関係は全く別次元で作用していることも無視出来ない。数年前、釜山と慶州を訪ねたとき、現地ガイドが話してくれた言葉が忘れられない。「私は、戦争を知らない。日本文化が好きで、日本語を勉強しようとしたら、親に叱られた。内緒で日本語の本を読んているのを見たお年寄りから嫌味を言われたこともある。」と。

 私の年代で戦争の記憶がないのだから、戦争があったことすら知らない若者がいても不思議ではない。戦争経験のない世代にとっては、メディアや教育を通じて概念を学ぶ以外にないだけに、政府が真剣に取り組むべき課題だ。福田首相が靖国参拝をしないので、対外的に靖国問題は沈静化したと解説する評論家がいるが、過去に目を閉じれば、未来が見える筈もなく、実に愚かしく苦々しい思いだ。


★3金メダリストの名言に感動

2008-08-13 09:22:03 | 日記・エッセイ・コラム

 北京五輪での日本選手団の活躍振りが報じられるたびに勇気付けられる。日本よりも過酷な気象条件下で、世界のアスリートと競い合う姿はすがすがしい。昨日現在で日本が獲得した金メダル数は3個だが、そのいずれもが五輪二連覇の快挙。しかも、レース後の3選手のコメントを聞いて胸打たれた。

 100m平泳ぎの北島選手がインタビューで見せた涙は、4年前、アテネで「チョー気持ちいい!」よりもはるかに感動的だった。今までの4年間の苦労が実り、言葉に詰まった瞬間だった。素直に勝利を喜ぶ抑揚のない言葉に、やんちゃ坊主から人間としての成長を感じた。

 「お父さんはチャンピオンなのにどうして勝てないの?」と、幼い息子が口にした一言が、不振に喘ぐ内柴選手にパワーを与えた。優勝して観客席に向かって手を振る父親の姿を幼子はしっかり見届けたに違いない。インタビューでの「オヤジとしての仕事をした」は、金以上の輝きを持つ。

  女子柔道の谷本選手の連覇は、アテネから9連続1本勝ちの偉業だ。度重なるルール改正により、日本柔道古来の「一本勝ち」精神から逸脱し、ポイント稼ぎに走るジュードー家に「柔道かくあるべし」を見せつけた。「イッポン柔道」を「ニッポン柔道」と聞き違えたが、「一本柔道=日本柔道」として誇りたい。

 マラソンの野口選手が故障欠場となったが、この4年間を北京で走るためだけに練習してきた長大な時間が無に帰す無念さは想像できない。他の競技と異なり、予選が無くただ1回の本戦にピークを合わせる難しさは残酷だ。3選手だけでなく、各競技で最善を尽くす選手達に心よりエールを送りたい。