ある著名な学者のエッセイに、「人生の価値は創造・経験・態度」と綴られていた。創造と経験については、多くの説明を要しないが、三つ目の「態度」に関するエピソードは示唆に富む。
要約すると、医師から「三日後に死ぬ」と宣告されたがん患者がとった態度。身寄りの無い患者の最期を看取るのは、年老いた看護婦で、三日後が誕生日にあたった。「せっかくの誕生日を自分のために祝うことも出来ない彼女が気の毒だ」と考えた患者は、自らの命を断った。
人生で一番厄介なことは、自分のことを自分で始末出来ないことで、元気な間は、周囲に迷惑をかけないように出来るが、命が尽きた後のことは自分で処理出来ない。
人生の本当の価値は、「存在すること自体」に価値を認める精神の昇華であり、感謝する態度ではなかろうか。今まで培ってきた「創造」と「経験」を、どのように日常生活の「態度」に示せるかと模索している。