ペンタ朗の漫漕ブログ-Life is but a dream!

ボートを漕ぐ税理士の日日是好日

「第1の山」(長文です)

2014年12月16日 | ボート

先日の横浜ボートマラソンでの知加良ガジェットの加速度線をめぐり、議論が盛り上がりましたので、ここに記録します(長文ですので、興味のあるかただけお読みください)。

【渡利さん 2014/12/08】 

皆様、昨日は大変お疲れ様でした!
ボートの奥深さを、また実感するとともに、来年もっと頑張ろうと気持ちを新たにする良い機会となりました。

知加良さん、とてもよい比較データをありがとうございました。
また分析もしていただき、ありがとうございました!

これも、実用レベルの知加良ガジェットが3個もあるおかげです。感謝いたします。

ところで、このグラフを見るうえで、素朴な疑問があります。

緑の線(前後加速度)を見ると、キャッチからフィニッシュの間で、「マイナスからプラス、そしてゼロになるかぎ状の波形」と、それにつづく、
「ゼロからプラスになりフィニッシュに至る、台地上の波形」の2種類があります。
この、前者はいったいどのような漕艇動作により発生しているのでしょうか?

この部分について理解を深めたうえで、3艇のグラフをさらに比べてみたいと思います。

どなたか謎解きしていただけるとありがたいです。
よろしくお願いいたします。
                               渡利拝

【知加良さん 2014/12/08】

渡利さん、皆さん
> 緑の線(前後加速度)を見ると、キャッチからフィニッシュの間で、「マイナスからプラス、そしてゼロになるかぎ状の波形」と、それにつづく、
> 「ゼロからプラスになりフィニッシュに至る、台地上の波形」の2種類があります。
> この、前者はいったいどのような漕艇動作により発生しているのでしょうか?

以前(ちょうど昨年のボートマラソン後くらいに)、
大野さんからも同じ疑問(質問)を投げかけられました。

その当時は間違った理解をしていましたが、
今年の春頃、その謎が分かりました。

原因は、キャッチ後に漕手がストレッチャーを蹴ることによる
艇の戻りによるものだそうです。

エイトの艇重量はおよそ100kg、コックス体重を加えると150kg~160kg前後
これに対して漕手8人の重量は、軽量級で70kg x 8 = 560kg強
大型クルーだとさらに漕手重量は増します。
艇+コックス重量に比べ、漕手重量の合計は約3.5倍になります。

キャッチして水をつかんだ瞬間、艇はいったん加速し、
漕手全員が体重をかけてストレッチャーを押し、
その分一瞬艇が蹴り戻されることになります。
これが、第一の山の正体です。

その後、再度艇は加速しドライブ中に第二の山が出現します。

艇の種類(艇の重さや漕手の人数)、レートの違いによる蹴りの強さ、タイミン
グなどの違いにより、ドライブ時の第一の山の高さや幅が異なります。

エイトでハイレート、パワーのあるクルーでは、
第一の山のピークが高く幅も狭くなると思います。

第一の山の次の第二の山は、立ち上がりがなるべく早く、幅も広い方が
よく水をつかんで水中ブレなく押せていることになると思います。

五大学ミドルの第二の山の形は五大学2000mレース以降、
意識改革を行ってから、徐々によくなっています。
以前は山の初めがなだらかで、後半にピークがあることが多かったです。

五大学戦のOBレースのデータを観察した結果、
即席チームでは、第二の山については、上記傾向が目立ちます。
つまり、キャッチでのつかみが悪く、どうしても後半に腕+上体に頼り、
後ろ漕ぎになる傾向にあることが、過去のデータからわかっています。
若いOBクルーでも、第一の山は高くても、
第二の山は、後ろが高い三角山に近くなりがちです。

第一の山を高く・狭くするには筋力が必要ですね。
筑波漕ぎの場合は多分、高く・狭いでしょう。
第二の山がどうなるかは?ですが。

Penta Rowing ミドルに関しては、
第二の山はある程度課題克服したと思います。
次は、パワーを必要とする第一の山を課題にするより、
ロスをなくすため、フォワードでの谷を課題にすべきでしょう。(多分)

【渡利さん 2014/12/09】

知加良さん、さっそくありがとうございました。

不思議なのは、「なぜ小さい山の前に、前後加速度がマイナスからプラスに大きく変化するのか」です。
艇が加速する要素としては、
①漕手がフォワードでストレッチャーを引っ張る
②ストローク
位しかないと思うのです。

そうすると、「小さい山」の前に、前後加速度がプラスに転じるのは、
タイミング的にフォワードの出始めではないですから、
「ストレッチャーを引っ張っため」の加速ではないですよね。

すると、「ストロークによる加速」ということになりますが、
そうすると「ストロークによる加速がはじまってから、ボディマスがストレッチャーを押すことで艇の加速が減少する」
ということになります。どうもここが不思議です。

参考になるかどうかわかりませんが、
シングルスカルのローイングモーションと、加速度のグラフを重ねたビデオがありました。

http://www.rowinginmotion.com/optimize-your-rowing-stroke-with-rowing-in-motion/

の"What's a storke" というところをご覧ください。

我々のフォワードのグラフは、2番目の「まだ改善できる漕艇技術」の漕ぎに近いように思います。
ペンタクオドのフォワードは、はじめの「効率的な漕艇技術」に近いですね。


                           渡利拝

【知加良さん 2014/12/09】

渡利さん

> 不思議なのは、「なぜ小さい山の前に、前後加速度がマイナスからプラスに大きく変化するのか」です。
> 艇が加速する要素としては、
> ①漕手がフォワードでストレッチャーを引っ張る
> ②ストローク
> 位しかないと思うのです。

ドライブ中の第一の山と第2の山の谷間が発生する理由は、キャッチ後の漕手に
よるストレッチャーへの圧力による艇の蹴り戻しですが、
フィニッシュ後にできるプラスの小さい山ができるのは、以下の理由によるもの
だと思います。

ハンズアウェイ・リカバリーで漕手の重心が前に(艇の後ろ側)に移動し、
その反動で、艇+コックスの重心が前に移動する。
つまりフィニッシュ後に艇は加速する。

その後、フォワードが始まりますが、この時ラッシュフォワードになると、
重心移動に加え、ストレッチャーの引っ張り力が加わり、
山がより高く、そして、ストレッチャーに体重をかけるタイミングが早くなり、
谷(マイナス)がより早く始まるのだと思います。

レートが高くなるにつれ、ハンズアウェイ・リカバリでの重心移動の速さが速く
なるので、小さい山はできますが、キャッチへ向けての谷の始まりをなるべく遅
くすることが、フォワード中での艇速の伸びにつながります。

ラッシュフォードにならないよう、ふわっとストレッチャーに乗って、
谷の下りは、滑り台型カーブではなくジェットコースター型の下りカーブを目指す。

ふわっとストレッチャーに乗ると、谷の始まりは遅くなりますが、
ストレッチャーにかける体重は変わらないので、谷が深くなるのだと思います。

エイトとクオドでは、艇+コックスの重量と、漕手の重量が違い、
クオドの方が漕手数が少ないので、フィニッシュ後の小さい山は、
低レートでは出にくいですね。
クオドでもレートが上がってくると、ドライブ中もフォワード中も
エイトのカーブに近づいています。
先日のエイトとクオドのデータを比較してもらえばわかると思います。

知加良

【渡利さん 2014/12/10】

知加良さん、

-----Original Message-----
ドライブ中の第一の山と第2の山の谷間が発生する理由は、キャッチ後の漕手に
よるストレッチャーへの圧力による艇の蹴り戻しですが、

⇒そうすると、「蹴り戻し(つまりキャッチ、ストロークと捉えてよいと思います。)の前に、艇の加速度がマイナスからプラスに変化している」ことになりますね。

これがどうしてなのか、考えてみました。

前のメールで、
> 艇が加速する要素としては、
> ①漕手がフォワードでストレッチャーを引っ張る
> ②ストローク
> 位しかないと思うのです。

と書きましたが、
もう一つ、艇が加速する要素を発見しました。
それは、「フォワードで艇進行方向に進んでいたオールとブレードが、フォワードエンドで止まる」ことです。
このとき、ピボットを通して艇に進行方向の力が加わると思います。

オールのアウトボードとブレードの重さは大したことないですが、ごく短時間に運動量が変化するので、瞬間的な力としては大きいのではないか、
これが、フォワードエンドの艇の加速度をマイナスからプラスに変えているのではないか、と考えてみました。

                                                 渡利拝

【大野 2014/12/10】

渡利さん、知加良さん
(長くなったので、ミドルメンバー以外は宛先から外しました)

私は、第1の山と第2の山の間の谷は、ブレードがエントリーしてから、水が固定さ
れるまでの時間だと思います。
(…知加良さんの説明と趣旨はずれていないと思いますが。)

(考察)
・エルゴでの出力カーブ(純出力)は一つの山となる。カギ山はできない
・艇上でもブレードがエントリーした瞬間に完全に固定されるとすれば、エルゴと同じ一つの山になるはず
・艇上では、エントリー時のオールの角度は足蹴りの方向に対して直角ではない(ミドルで直角になる)
・ブレードエントリーの前と後では、支点が無しから有りに切り替わるので、加速度もマイナスからプラスに切り替わり、エントリー直後に加速の山ができる(第1の山)
・その後、ストレッチャーへの出力が増すにつれて、オールの角度が直角でない間はブレードの固定力が不十分で加速度は差引マイナスになる(谷)
・直角に近づくにつれ、固定力が増し、加速もプラスとなる(第2の山)

波形中で一回だけ谷から一気に山になる第1の山は、オールとブレードの運動量と考えるより、やはりブレードエントリーと考えるのが自然だと思います。

ついでに、第1の山が、でん助が高さも高くとんがっているのに対して、ミドルは低めでとんがっていないのは、でん助のほうがブレードエントリーでの水のつかみが速く揃っている、ということかもしれません。ミドルが柔らかいキャッチを意識しているのに対して、でん助のほうが「キャッチがつん」だということかもしれませんが。

大野

【渡利さん 2014/12/10】

大野さん、コメントありがとうございます。

私も、第1の山と第2の山の間の谷は、知加良さんの言う「蹴り戻し」=大野さんの「水が固定されるまでの間、ストレッチャーが押される」ことにより出来ていると解釈するのが正しいと見ました。

しかし、そうすると、「なぜ第1の山ができるのか」が謎になりました。
つまり、「ブレードエントリーでは、艇首方向への加速は起こらない」と考えたからです。そう考えた理由は以下の通りです。
①プレードが水に固定されてから、艇首方向に加速する。
②第1の山は、その前にできている。

そこで、これをどう解釈するか、と言う観点から、「オールとブレードの動き説」をひねり出した次第です。

大野さんの「支点が無しから有りに切り替わることで、艇首方向に加速する」というメカニズムが渡利はわかっていないのだと思います。

                                        渡利拝

【知加良さん 2014/12/10】

渡利さん、大野さん

色々とコメントありがとうございます。

私も第1の山と第2の山の間の谷の発生原因については、納得しているのですが、
ブレードエントリとドライブの初期のどの段階で起きるかまでは
まだ得心がありません。

ブレードエントリでオールのベントが起こる際には、
ブレードが水中で(ななめ進行方向に)横滑りを起こします。
このエントリ+オールベントの動作の初期に、
いったん艇が蹴り戻されるのではと今のところ考えています。

漕手のキャッチのタイミングが合えば合うほど、
第一の山の立ち上がりが高く(鋭く)、第一と第二の山の谷が深く(鋭く)なる
のではと想像しています。

ブレードエントリ(水中に入り水をとらえる初期)のタイミングは、
フォワードからの谷間の底のちょっと前にあります。
よく見ると分かると思いますが、ちょっとだけブレがあり、
そのあと、谷の最下点があるような波形に多くの場合なっていると思います。

波形と映像の同期が取れれば、どのタイミングで
第1の山と第2の山の間の谷が発生しているかが分かると思います。

渡利さんからYoutubeの映像のURLを紹介いただきましたが、
まだ十分見切れていないので、確認してみたいと思います。

手元のガジェットと、艇搭載ビデオカメラとの組み合わせで確認する方法も考え
ています。

計測班としては、次の課題が色々と見えてきて面白い展開になっています。

【知加良さん 2014/12/10】

皆さま

> 渡利さんからYoutubeの映像のURLを紹介いただきましたが、
> まだ十分見切れていないので、確認してみたいと思います。

http://www.rowinginmotion.com/optimize-your-rowing-stroke-with-rowing-in-motion/
上記URLの、最初にあるIntroducing Boat Accelerationの節のビデオを見てくだ
さい。
"What's a storke"のところのビデオでもほぼ同じです。

スカルでSR19~20では、第一の山がほとんど出現しないようです。
映像の終わりの方でSR20の時や解析グラフの解説の際に、
ほんの少し山になりかけているのが見えますが、
谷までは発生していないようです。
艇と漕手の重量比が小さいため、SRレートがあがり、
さらに強いドライブにならないと出現しないと思われます。

タイミング的には、ブレードインからドライブの初期の一瞬の間のようです。
"What's a storke"のところのビデオ(画像)ファイルを元に、それらしいとこ
ろをマークしてみました。
(添付省略)

SRがもっと高いか、エイトで同じような比較ビデオがあるとはっきりしそうです
が。。。。

やはり、実際に確認するしかないか。。。。

【知加良さん 2014/12/10】

皆さま、渡利さま

ついでに、フォローが不十分だった点についてもう一つ。

> 不思議なのは、「なぜ小さい山の前に、前後加速度がマイナスからプラスに大きく変化するのか」です。
> 艇が加速する要素としては、
> ①漕手がフォワードでストレッチャーを引っ張る
> ②ストローク
> 位しかないと思うのです。
>
> そうすると、「小さい山」の前に、前後加速度がプラスに転じるのは、
> タイミング的にフォワードの出始めではないですから、
> 「ストレッチャーを引っ張っため」の加速ではないですよね。

緑のグラフは艇速ではなく、加速度ですので、
キャッチ前、漕手がストレッチャーに体重を乗せることで、
マイナス方向の加速度が発生し、
ブレードインしてクラッチに進行方向のプレッシャーがかかり始めると、
艇の進行方向にプラスの加速度が発生し、グラフが上向きます。
グラフからわかるようにストロークサイクルからするとほんの一瞬です。
その後、本格的にオールベントが始まるのだと思います。

> > ブレードエントリでオールのベントが起こる際には、
> > ブレードが水中で(ななめ進行方向に)横滑りを起こします。
> > このエントリ+オールベントの動作の初期に、
> > いったん艇が蹴り戻されるのではと今のところ考えています。

のような動作が次に始まり、第一の山は終わり、第一の山と第二の山の谷間が始
まるのだと思います。

【渡利さん 2014/12/11】

うーん、悩ましいですね。
 
「緑のグラフは艇速ではなく、加速度ですので、
キャッチ前、漕手がストレッチャーに体重を乗せることで、
マイナス方向の加速度が発生し、
ブレードインしてクラッチに進行方向のプレッシャーがかかり始めると、
艇の進行方向にプラスの加速度が発生し、グラフが上向きます。」
 
この、赤字部分がよくわからないのです。
 
なぜかというと、
ブレードインしてクラッチに進行方向のプレッシャーがかかるためには、
作用反作用の法則で、漕手がストレッチャーを押さないといけないのです。
 
ストレッチャーを押すと、ブレードが固定される前は、艇が進行方向後ろに下がる力が勝るため、
艇の進行方向にはプラスの加速度は生じないと思います。
 
また、単にブレードインするだけだと、抵抗になるので減速こそすれ、加速はしないですよね。
 
ブレードインにより、艇の進行方向にプラスの加速度が生じるのは、
あくまでもブレードが固定された後、つまり第2の山の部分だと思うのですが?
 
                             渡利拝

【知加良さん 2014/12/11】

文章で説明するのは分かりにくいので、解説図を作成してみました(省略)。

> ストレッチャーを押すと、ブレードが固定される前は、艇が進行方向後ろに下がる力が勝るため、
> 艇の進行方向にはプラスの加速度は生じないと思います。
>
> また、単にブレードインするだけだと、抵抗になるので減速こそすれ、加速はしないですよね。
グラフをよく見ていただけると分かりますが、ほんの少し減速します。

> ブレードインにより、艇の進行方向にプラスの加速度が生じるのは、
> あくまでもブレードが固定された後、つまり第2の山の部分だと思うのですが?
いったんブレードは固定されるので、第一の山ができますが、
これまで説明してきたように、漕手の体重移動(+オールのスリップ)で
艇が蹴り戻され、第一の山と第二の山の間の谷間ができます。

第一の山も第二の山もブレードが水中にあり、
ブレードにも揚力が発生し、
クラッチには、推進方向の力が発生しています。
ただ、漕手の動きと、オールの角度が変わることによる、
ブレードの水中でのすべりが、
艇の加速に影響を及ぼしているということです。

スカルでは、艇の重さと漕手の重量比がそれほどないため、
低レートの場合は、山は一つになります。

【大野 2014/12/11】

知加良さん

渡利さんの言ってること、理解できる気がします。

キャッチ時の脚蹴りによるマイナス加速は、ブレードインしただけではマイナス加速の大きさは弱まりますが、まだプラス加速にはならず、ストレッチャーを押す力よりブレードの推力が大きくなった時点でプラス加速に転じる(第1の山?)。その状態(ストレッチャーも押していて、オールもベンドして、水も固定した状態)から、また加速が弱まるという要因がちょっと想像できません。

第1の山と第2の山の間の谷は何なのか?

測定機器の振動とかは考えられませんか?

ついでに、フィニッシュの所でもとんがり山がありますが、これは何でしょう?

大野

【知加良さん 2014/12/11】

大野さん、渡利さん、皆さん

> 第1の山と第2の山の間の谷は何なのか?
> 測定機器の振動とかは考えられませんか?

まとめていたら長くなりました。

参考文献情報です。
http://www.biorow.com/rbn_en_files/2004rowbiomnews.pdf
上記にボートの各計測波形と解説があります。

上記参考文献の計測波形画像の切り出しを行いました。(ボート波形.png)
エイトではなく、MX1のデータです。SRは不明。
英語ですが、各波形のフェーズごとの解説があります。(解説.png)

・D3が第一の山に相当
・D4が第一の山と第二の山の谷間および第二の山の始めに相当

D3はキャッチからの初期加速で、主にhandle forceだといっています。
D4は主にleg drive(脚によるドライブ)だといっています。

「エントリでは手(腕)で水をつかみ(D3)、直後に脚を使ったドライブに変わる(D4)。
当然、脚の方がパワーがあり、初期に手(腕)でつかんだテンションは、脚に負けていったん加速が鈍る。
腕、脚、上体が一体となって、レッグダウンする力が発揮できるようになって、再度加速する。」
と解釈しようと思いましたが、
forceカーブ(多分クラッチにかかる力)を見ると徐々に増加しています。

運動力学的には、漕手の体重と艇の重量の差も少なからず影響を与えていると思います。
シマノの川原さんに第一の山と第二の山の谷間について以前うかがいましたが、
キャッチ後の漕手の体重移動による艇の蹴り戻しとおっしゃっていました。

他にも、下記の文献に加速度のカーブ分析があります。
http://www.biorow.com/RBN_en_2012_files/2012RowBiomNews11.pdf
1ページ目
上記文献は、以下の文献を引用しています。
http://www.biorow.com/rbn_en_files/2008rowbiomnews.pdf
Julyのページ

これらを総合すると、腕を主体としたキャッチの初期段階から、
脚が主体となるドライブの前半・中盤で、
艇と漕手の重量の関係や、ストレチャーの押し方でロスが発生するため、
第一の山と第二の山の谷間ができると読み取れます。

シマノの川原さんもこの事象を蹴り戻しと言っていたのかもしれません。
このあたりのロスをシマノRowing Dynamicsで解決しようということなんだと思
いますが。
http://rowing.shimano.co.jp/content/rowing-japan/jp/landing.html

中間の谷ができるのは色々な要因が絡んでいて、単に一つではないようです。

話が飛びましたが、計測データについてですが、
参考文献はMX1のデータなので、漕手の体重と艇の重量の差が小さく、谷の深さ
が小さいですが、おおよその特性は表しているのではないかと思います。
ガジェットでの計測データもほぼ同じような波形になっています。
ということで、測定機器の振動ではないと思います。

余談ですが、最初の文献では、D5として第三の山があると記載されています。
この山は、trunk(上体)とarm(腕)によるmicro-phaseと言っています。
第二の山と第三の山の間には谷はなく、なだらかな上りですね。

キャッチが叩き込み気味で、フィニッシュを強調した漕ぎになっていたころ、
ガジェットでも第二の山が双子のようになっているデータがあります。

また、最初の文献のデータでは、R1(recovery)の初期で、
ボートの加速度が増加しています。これはMX1ならではと思います。
(漕手の体重と艇の重量の差が小さく、リカバリ・フォワードで艇が加速する)

> ついでに、フィニッシュの所でもとんがり山がありますが、これは何でしょう?
はっきりとは分かりませんが、ブレードが水中から離れる際に、
水を引きずりいったん減速し、完全に離れて、反動で加速しているのではと思います。
渡利さん紹介のスカルのデータでもフィニッシュの所で
同じようになっています。(catched_.png)
ということで、こちらも測定機器の振動ではないと思います。

知加良

【大野 2014/12/12】

知加良さん

■知加良さんの添付の15~17ページを見ると、

> http://www.biorow.com/rbn_en_files/2004rowbiomnews.pdf

脚(Leg)と上体(Trunk)に分解した加速度表があります。(1)の漕手は「脚⇒上体」型、(2)の漕手は「脚と上体同時」型。(2)型の上体の加速度カーブでは「第1の山」が明確に現れ、したがって脚+上体のトータルの加速度カーブでも「第1の山」が現れています。(1)型は「第1の山」があまりはっきりとは現れません。

∴脚と上体の組合せ、が第1、第2の山の原因のひとつかと。
われわれ(および多くのクルー)はどちらかというと(2)型ですね。

■また、同じ資料の1ページ最後の段落で、"arms grabbing"について書かれています(12ページにも関連記事)。
キャッチの瞬間に腕を素早く曲げる(引き付ける、引き締める?)ということだと思いますが、この動作によって加速度をまず高める(「第1の山」の一因?)ことがその後の艇の加速にも有利に働く(のでは?)ということのようです。ただ、これには両論あって、一流選手でこの動作をする者もいるし、しない者もいるということです。C60の先輩から"arms grabbing"をやっていたという話を聞いたことがありますが、われわれの頃は(たぶん今も)、やってませんでした。

(追記です)
・「第1の山」は「キャッチで水を固定しろ」に相当する部分、と考えればいいのでは?

・筑波漕法は「第1の山」がすごく高くなりそうです。

大野

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