今から30年前となる1995年2月18日、米国ネバダ州で行われた試合結果です。
WBOライト級戦:
王者オスカー デラホーヤ(米)判定3対0(117-110、116-111x2)挑戦者/IBFジュニアライト級王者ジョンジョン モリナ(プエルトリコ)
*1992年バルセロナ五輪米国唯一の金メダリストとなったオスカー デラホーヤ(米)が、プロ17戦目にして初の本格派/実力者を迎える事になりました。
(強豪モリナを迎える事になったデラホーヤ)/ Photo: Youtube
この日、デラホーヤが対戦したのはIBFジュニアライト級(スーパーフェザー級)王者ジョンジョン モリナ(プエルトリコ)。これまでに3度世界王座に就き、現在(この試合が行われた当時)も世界王者として君臨中で、その王座の7連続防衛に成功。トニー ロペス(米)やグレゴリオ バルガス(メキシコ)等強豪たちと拳を交えながら、36勝(26KO)3敗という素晴らしい戦績を築いてきました。
(一階級下のジュニアライト級で一時代を築いていたモリナ)/ Photo: Facebook
モリナの不幸は、その実力を評価されながら、同じ時代にヘナロ エルナンデス(米)やアズマー ネルソン(ガーナ)といった同階級を代表する選手たちが他団体王座に君臨していたことです。
実力者相手にスーパースター候補生がどのようなボクシングを展開するか。注目がその一点に絞られたこの戦いは、デラホーヤが見事なスタートを切る事になりました。
(序盤戦に明白なリードを奪ったデラホーヤ(右))/ Photo: ESPN
スピーディーで力強い左ジャブで先手を取ったデラホーヤ。初回中盤、目の覚めるような見事な右で先制のダウンを奪います。このままモリナもデラホーヤの勢いに飲まれると思いきやどうしてどうして。歴戦の雄は徐々に本領を発揮していきます。
これまでのデラホーヤの対戦相手のように飲まれる事なく、真正面からデラホーヤとの打ち合いに臨んだモリナ。パンチの的確性では劣るものの、パンチをスイングし新鋭に襲い掛かるなどペースを自分に引き寄せていきます。時には第3のパンチ(頭)で突っ込む形でデラホーヤに肉薄。接近すれば頭を王者に寄せ付け、デラホーヤにフラストレーションを貯めさせていきます。ベテランの巧みなボクシングにはめられたデラホーヤは、クリンチ際にモリナの後頭部にパンチを放ったりとイライラを隠せない様子。この試合後も長いキャリアを築いていくデラホーヤですが、こうも冷静さを失ったデラホーヤは稀としか言えません。
しかしそこはスーパースター。力強い左ジャブを放つことを忘れずに、ポイントは確実に自分のものにしていきます。中盤戦以降クリンチが多い戦いとなってしまいましたが、結局は軍配はデラホーヤに。キャリア最初の難関をクリアしたデラホーヤは、筋金が一本入った事になりました。
ペースは自分のモノにするものの、ポイントでは敗れたモリナ。黒星を喫したとはいえ、その評価が落ちる事はありませんでした。このモリナ戦後、スター街道をひたすら前進する事になったデラホーヤ。ゴールデンボーイ(デラホーヤのニックネーム)が苦しんだ試合の一つといって間違いないでしょう。
20代から既に髪の毛が薄くなっていたプエルトリカン。この試合ではアデランス効果(プエルトリコにアデランスがあるかは知りません)のためしっかりと整っていました。その後キャリアの後半ではスキンヘッドにチェンジ。60歳を目前に控えている現在のモリナが、どのような髪形をしているかは未検索のままです。
(ポスターの右上には以前のモリナの姿が)/ Photo: Wikipedia