2020年2月最終週末の主な試合予定です。
29日 土曜日
米国・テキサス州
ウェルター級12回戦:
ミゲル アンヘル ガルシア 対 ジェシー バルガス(共に米)
WBAスーパーフライ級戦:
王者カリド ヤファイ(英)対 挑戦者ローマン ゴンザレス(ニカラグア/帝拳)
WBCフライ級戦:
王者フリオ セサール マルティネス(メキシコ)対 挑戦者ジェイ ハリス(英)
3月3日 火曜日
タイ
WBAミニマム級戦:
王者ノックアウト CP フレッシュマート(タイ)対 挑戦者田中 教仁(三迫)
2020年2月最終週末の主な試合予定です。
29日 土曜日
米国・テキサス州
ウェルター級12回戦:
ミゲル アンヘル ガルシア 対 ジェシー バルガス(共に米)
WBAスーパーフライ級戦:
王者カリド ヤファイ(英)対 挑戦者ローマン ゴンザレス(ニカラグア/帝拳)
WBCフライ級戦:
王者フリオ セサール マルティネス(メキシコ)対 挑戦者ジェイ ハリス(英)
3月3日 火曜日
タイ
WBAミニマム級戦:
王者ノックアウト CP フレッシュマート(タイ)対 挑戦者田中 教仁(三迫)
先週末22日、米国・ネバダ州で行われた試合結果です。
WBOスーパーバンタム級戦:
王者エマヌエル ナバレッテ(メキシコ)TKO11回2分20秒 挑戦者ジェオ サンティシマ(比)
*戦うチャンピオン・ナバレッテ。2018年の師走に王座を獲得後、昨年1年間で4度の防衛に成功。そのすべてを規定ラウンド内で終わらせています。
今回ナバレッテが迎えたのは、19勝(16KO)2敗という好戦績+強打の持ち主サンティシマ。そんな危険な相手にスローな立ち上がりを見せた王者ですが、回を追うごとにペースアップ。試合は11回まで伸びましたが、最期はきっちりと挑戦者を仕留めたメキシカン。5度目の防衛戦も判定にもつれ込む前に終わらせています。
減量苦が囁かれるナバレッテ。近い将来に、一階級上のフェザー級に転向する計画もあるようです。
1990年代初頭からこれまでの約四半世紀、それぞれの階級で印象に残った選手を各階級3人ずつ挙げていっています。記載上のルールは各選手、登場するのは1階級のみ。また、選んだ選手がその階級の実力№1とは限りません。個人的に思い入れのある選手、または印象に残った選手が中心となります。
前回から、全階級でヘビー級の次に重いクルーザー級となっています。元IBF同級級王者で、『カザフの虎』のことワシリー ジロフ(カザフスタン/Vassiliy Jirov)に続くのが、今回の主人公オーリン ノリス(米)。ノリスは、1990年代中盤、スーパーウェルター級で一時代を築いたテリー ノリスの実兄となります。
(今回の主人公はオーリン ノリス)
アマチュアの全米王者の座を獲得し、プロに転向したノリス。プロでのデビュー戦は1986年の6月まで遡ることになります。そしてノリスが行ったプロボクサーとしての最終戦は2005年の11月。そのキャリアは何と20年にも及びます。ノリスはちょうど70戦のプロキャリアがありますが、実をいうとそのほとんどをクルーザー級ではなく、ヘビー級で行っていました。しかし世界王座を獲得したのはこのクルーザー級で。しかもノリスが世界王座を獲得した時の同級は、非常に地味な階級として、今以上に世間一般に知られていない階級でした。それに加えて、1990年代初頭のスーパースターだったテリーの実兄として、非常に印象深い選手として記憶に残っています。
(兄オーリン(右)と弟テリー(左)のノリス・ブラザーズ)
スーパースターであったテリーを実弟に持ったオーリンですが、その実力は決して弟に劣るものではありませんでした。プロデビューから5年間、ヘビー級で戦っていたノリス。元ヘビー級王者や、その後に最重量級のベルトを腰に巻く選手、またはヘビー級王座に挑戦した経験を持った選手たちを拳を交えていきます。それらの選手の名前を挙げていくと、元WBAヘビー級王者グレグ ページ(米)、後にリディック ボウ(米)の保持していたヘビー級王座に挑戦したジェシー ファーガソン(米)、その後レノックス ルイス(英)を大番狂わせのKOで下し、WBCヘビー級王座を獲得したオリバー マッコール(米)等には勝利。東京ドームでマイク タイソン(米)に秒殺されたトニー タッブス(米)、その後イベンダー ホリフィールド(米)からダウンを奪うも、逆転KO負けを喫したバート クーパー(米)、そしてIBF王座をタイソンにより吸収されたトニー タッカー(米)には敗戦を喫しています。早い話がキャリア前半のノリスは、世界王座挑戦に最も近かった世界ランカーの内の一人。紛れもなく実力者だった事が分かります。
タッカーに敗れ、2度目のNABF王座を失ったノリスですが、その僅か2ヶ月後にはクルーザー級の同王座を獲得。徐々に新しい階級に体を慣らしながら、1993年11月にようやく世界初挑戦の機会を得ました。当時空位だったWBAクルーザー級王座を、南米の雄マルセル フィゲロア(亜)と争ったノリス。ほぼワンサイドの試合内容の末、6回KOで勝利。プロ42戦目で念願の世界のベルトを腰に巻くことに成功しました。
この王座を後のIBF王者アドルフォ ワシントン(米)や、こちらもIBFタイトルを獲得したアーサー ウィリアムス(米)を破りながら4度の防衛に成功したノリス。しかし1995年7月、英国で行われたネート ミラー(米)との防衛戦では、体調不良のためか、いいところなく8回でKO負け。そのキャリアで唯一の世界王座から転落してしまいました。
ノリスが獲得した王座(獲得した順):
NABFヘビー級:1987年11月25日獲得(防衛回数5)
NABFヘビー級(2度目):1991年4月30日(0)
NABFクルーザー級:1991年8月17日(3)
WBAクルーザー級:1993年11月6日(4)
IBAスーパークルーザー級(!?):1998年5月22日(1)
弟のテリーは3度スーパーウェルター級の王座を獲得しました。オーリンの方はというと、世界王座への返り咲きはありませんでしたが、ヘビー級に再転向し、世界トップレベルとの対戦を続けていきました。1997年の師走には、WBOヘビー級王座に就いた経験のあるヘンリー アキンワンデ(英)とWBA王座への挑戦権を賭け対戦し大差判定負け。1999年10月には、リングに復帰していたあのマイク タイソン(米)と拳を交えています。初回終了後にタイソンが放ったパンチでノリスがダウン。ノリスがダウンと同時に膝を痛め、試合継続が不可能となり試合は無効試合に。2001年にはWBOとWBCでヘビー級王座に就いたビタリ クリチコ(ウクライナ)に69秒でKO負け。一線級が相手となると黒星が先行しましたが、トップクラスの選手以外に負けを喫することなく2005年末まで戦い続けました。
(タイソンとの大一番を控えたノリス(左)と、試合途中で膝を痛めたノリス(右))
ノリスの終身戦績は57勝(30KO)10敗(4KO負け)1引き分け。身長177センチとクルーザー級でも小型の部類に入ったノリスですが、体格差を厭わずクルーザー級とヘビー級のトップ戦線で20年も戦い続けたのですから大したものです。また、ノリスをKO/TKOにしたのは、強打のバート、ミラー、クリチコとノリスの引退試合の相手を務めたオラ アフォラビ(英)の僅か4人。それはノリスの防御技術が如何に優れていたかを物語ったものと言っていいでしょう。
今も昔と変わらずに非常に地味なクラスであるクルーザー級。その階級の存在を教えてくれたのがオーリン ノリスでした。Youtubeで最近の姿を見かけました。トレーナーか何か、ボクシングに携わる仕事をしているようですが、元気そうでしたよ。
いまだに勢いを衰える事なく拡大している新型コロナウィルス。ボクシング界にも大きな影響を及ぼすことになってしまいました。この度、日本プロボクシング協会と日本ボクシングコミッションは、3月に日本国内で予定されていたすべての興行を中止、または再来月(4月)以降に延期することを発表。4月以降の興行は、3月の中頃にその時の状況をみて判断するとしています。
今回の決定はしょうがないとはいえ、やはり残念ですね。
3月3日、タイで予定される試合です。
WBAミニマム戦:
王者ノックアウト CP フレッシュマート(タイ)対 挑戦者田中 教仁(三迫)
*昨年1月、3度目の王座挑戦で念願に日本王座を獲得した田中。これまで日本人選手が25度の世界戦のリングに立ち、一度も勝利を収めた事のない鬼門タイのリングでの世界初挑戦が決定しました。
王者は2014年10月に、まずは暫定王者としてWBAの最軽量級王座につき、その後正規王者、そしてスーパー王者に昇格していった選手。これまでに11度の防衛に成功してきた安定感のある選手です。王者の圧倒的有利が予想される一戦ですが、このタイ人は決して難攻不落な絶対王者ではありません。最軽量級の田中の王座奪取に期待しましょう。
先週末22日・土曜日、米国・ネバダ州で行われた試合結果です。
WBCヘビー級戦:
挑戦者タイソン フューリー(英)TKO7回1分39秒 王者ディオンティー ワイルダー(米)
*2018年師走に大激戦を行った両雄による再戦。体格を生かしながら素晴らしい左ジャブで試合をコントロールしていったフューリー。3回には右クロスで、5回には左ボディーでダウンを奪うなど、試合を通じてワイルダーを圧倒。最後は7回、フューリーがワイバルをコーナーに追い詰めたところでワイルダー陣営が試合ストップを要請。英国人が一方的な試合内容で、王座交代劇を演じる事に成功。
2015年11月にウラジミール クリチコ(ウクライナ)から奪取した3団体のベルトは戦わずして放棄したフューリー。今回は世界ヘビー級王者として、どのような防衛ロードを歩んで行くのでしょうか?2015年1月に獲得し、10度守ってきた王座と決別することになったワイルダー。前王者がどのような再起路線を進んでいくのかにも注目です。
今月15日、米国・テネシー州で行われた試合結果です。
IBFスーパーミドル級戦:
王者カレブ プラント(米)TKO10回2分23秒 挑戦者ビンセント フェイゲンブッツ(独)
*昨年1月に現在保持している王座を獲得したプラント。今回迎えたのは、指名挑戦者で、以前WBAの暫定王座を獲得した経験を持つフェイゲンブッツ。31勝(28KO)4敗という素晴らしい戦績の挑戦者でした。しかしプラントはそんな強豪を相手に、10回終盤にレフィリーが試合を止めるまでワンサイドの試合を展開。防衛記録を2に伸ばすことに成功しています。
地味な存在ではありますが、堅実なボクシングで防衛記録を伸ばしたプラント。そのプラントが一角と占める、2020年2月23日現在の、スーパーミドル級の王者たちの顔ぶれを見てみましょう。
WBA(スーパー):カラム スミス(英/防衛回数4)
WBA(レギュラー):サウル アルバレス(メキシコ/0)
WBC:デビット べナビデス(米/0)
IBF:カレブ プラント(米/2)
WBO:ビリー ジョー ソーンダース(英/1)
OPBF(東洋太平洋):ジェイド ミッチェル(豪/2)
WBOアジア太平洋:アブダラ パジワパジ(タンザニア/0)
*同級の注目はやはり、次戦を5月に予定しているアルバレスの動向でしょう。最近の情報では、ソーンダースとの対戦の確率が大きいとか。果たして!?
2020年2月第四週末の主な試合予定です。
22日 土曜日
米国・ネバダ州
WBCヘビー級戦:
王者ディオンティー ワイルダー(米)対 挑戦者タイソン フューリー(英)
WBOスーパーバンタム級戦:
王者エマヌエル ナバレッテ(メキシコ)対 挑戦者ジェオ サンティシマ(比)
27日 木曜日
後楽園ホール
OPBF(東洋太平洋)ウェルター級王座決定戦:
クドゥラ 金子(本多)対 長濱 陸(角海老宝石)
今月14日、米国・カリフォルニア州で行われた試合結果です。
ライト級12回戦:
ホルヘ リナレス(ベネズエラ/帝拳)TKO4回2分9秒 カルロス モラレス(米)
*慎重な立ち上がりを見せた両選手ですが、3回にリナレスがダウンを奪うと、試合は一気にフィナーレに。4回にダウンを追加した元世界3階級制覇王はそのまま勝利。リナレスが47度目の勝利(内29KO)を収めると同時に、同じ興行で初回KO勝利を収めているライアン ガルシア(米)との対戦が7月にも予定されています。
リナレスはこれまでにフェザー級、スーパーフェザー級、そしてライト級で世界王座を獲得。戦績は47勝(29KO)5敗(全KO負け)の34歳。対するガルシアはリナレスより一回り以上若い21歳で、20戦全勝(17KO)の持ち主。リナレスには打たれ脆さという欠点がありますが、まだまだ若手の踏み台になるには早すぎるでしょう。リナレスには是非ガルシアを撃退してもらい、世界王座への返り咲きに向け前進して貰いたいものです。
4月4日、後楽園ホールで予定される試合です。
WBOフライ級王座決定戦:
中谷 潤人(MT)対 ジャーメル マグラモ(比)
*以前から評価の高かった中谷。昨年は日本王座奪取、元世界王者撃退など順調に階段を上ってきました。その中谷が4月4日に、田中 恒成(畑中)が返上したWBOフライ級王座の決定戦に出場することが決定。こちらも以前から注目されているマグラモと空位の王座を争う事になりました。
王座決定戦とはいえこのマグラモは、危険度が非常に高い選手。これまで25度の実戦を行い、24勝(20KO)1敗の好戦績を残してきた実力者。これまでにWBCインターナショナル、WBOオリエンタル、WBOインターナショナル王座を順次獲得してきた選手です。20戦全勝(15KO)という素晴らしいレコードを築いてきた中谷も、気を引き締めて試合に臨まなければ、比国人の軍門に下る事になるのではないでしょうか。この戦い、好試合になることは確実でしょう。