今から30年前の1993年1月31日、韓国で行われた試合結果です。
WBCストロー級戦(ミニマム級):
王者リカルド ロペス(メキシコ)TKO9回2分38秒 挑戦者呉 光洙(韓国)
*この試合が行われた前年にあたる1992年には、後楽園ホールでロッキー リン(ロッキー)を左フックで撃退した試合を含め、3度の防衛に成功したロペス。その3試合とも、質の高いパフォーマンスをリング上で披露しています。
リン戦から3ヶ月後、ロペスは極寒の韓国に渡り呉の挑戦を受けました。挑戦者呉は、この試合がプロ僅か7戦目(6戦全勝3KO)の選手。しかしアマチュア時代には、1988年のソウル五輪にライトフライ級で出場し、2回戦で後にプロのライトフライ級で一時代を築いたマイケル カルバハル(米)にポイント負けを喫しています。
(極寒の韓国で、大柄のサウスポー(左構え)の呉と対峙するロペス。)
数字上では165センチ同士の両者。しかしリングで対峙すると、ガッチリとした体格からでしょうか、呉の方が大きく感じられました。ロペスには珍しく少々強引な攻めを見せ、最終的には終盤TKO勝利を収め防衛記録を伸ばしたロペス。「完璧なボクサー」として名を残すロペスからすれば、普段よりもたついた感のあったこの試合。それでも極寒の敵地で対戦相手を圧倒した点は流石です。
打たれることを極端に嫌う繊細なボクサーと知られたロペスでしたが、アウェーでもその強さを見せ続け、精神的タフさも一戦ごとに増していきました。
しかしこの試合の大きな焦点は、呉の大量出血と言っていいでしょう。初回に両者の頭がぶつかってしまい、呉が頭部から出血。その後呉の出血は止まりませんでした。そしてロペスも呉の返り血を浴び続け血まみれ状態に。少々グロテスクな試合となってしまいました。
この試合を最後にリング生活から決別した呉。確かなアマチュア歴を持ち、強豪ロペスとも30分近く拳を交えた経験を活かせば、プロでもそれなりの結果は残せたのではないでしょうか。少々残念というかもったいないですよね。ちなみに、この試合の4年半前の五輪で呉に僅差の判定勝利を収め、銀メダルを獲得しカルバハルはプロで成功を収めています。1993年1月末の時点で、27戦全勝(15KO)という素晴らしい戦績を保持。IBFライトフライ級王座の6度の防衛に成功していました。プロでの活躍はその後も続き、最終的にはライトフラ級で5つもの世界王座を獲得し、同級、そして軽量級史にその名を刻んでいます。