スーパーミドル級とライトヘビー級の2階級を制覇したアンドレ ワード(米)。積み上げてきたプロの戦績は32戦全勝16KOと、KO率は50パーセントと重量級では寂しい数字ですが、戦績自体は素晴らしいもの。6月に、昨年11月に大苦戦を強いられたセルゲイ コバレフ(露)に見事なTKO勝利を収め、今後さらなる活躍が期待されていました。しかし先日、突然の引退を発表しています。
ワードといえば、2004年のアテネ五輪に出場し、ライトヘビー級で金メダルを獲得。その後プロではスーパーミドル級でデビュー。デビューから最初の4年間は五輪金メダリストとしては非常に慎重なマッチメークで下積み生活を経験。2008年にWBOの北米下部組織であるNABO王座を獲得すると、翌年にはWBCの同地域団体であるNABF王座も吸収。その後当時開催されていたスーパーミドル級トーナメント「スーパー6」に出場。初戦で優勝候補筆頭だったミッケル ケスラー(デンマーク)に予想外の11回負傷判定勝利を収めると同時に、自身初の世界王座であるWBAスーパーミドル級王座を獲得。同トーナメントの主力メンバーが、怪我からの理由で次々にトーナメントから消えていく中、アーサー アブラハム(独)、カール フロッチ(英)等当時のスーパーミドル級のトップ戦線を次々に撃破していき同トーナメント優勝を収めることに成功。同時にWBC王座も吸収しています。
(スーパーミドル級で2冠王となったワード)
数年前にはプロモーターとの確執や、自身の怪我などで貴重な時間にプランクを強いられますが、その技術がさび付く事ナシ。キャリアの最後には強豪コバレフに2連勝し、そのキャリアをより華やかなものにしました。
(ライトヘビーでは一挙に3本のベルトを獲得)
正直、そのボクシングは面白みに欠け、マッチメークで守られる過ぎの感がありましたが、ここ数年のボクシング界を代表した選手であったことは確かでしょう。彼が引退することに対し、世間一般があまりにも関心を示していないというのも、ワードらしいといえばそうかもしれませんね。