DAISPO WORLD BOXING EXPRESS

今年もやってるやってる~

あの試合から30年(2団体ヘビー級:1994年4月22日・その1)

2024年04月22日 05時42分10秒 | ボクシングネタ、その他雑談

今から30年前の今日にあたる1994年4月22日、米国ネバダ州ラスベガスで行われた試合結果です。
2団体ヘビー級戦:
挑戦者マイケル モーラー(米)判定2対0(116-112、115-113、114-114)IBF/WBA王者イベンダー ホリフィールド(米)

*この試合が行われる前年1993年11月、宿敵リディック ボウ(米)に僅差の判定勝利を収め世界ヘビー級王者に返り咲いたホリフィールド。当時、世界ヘビー級王座から転落し、再び世界のベルトを腰に巻くことは非常に稀な事でした。ホリフィールドはフロイド パターソン(米)、モハメド アリ(米)、そしてティム ウィザスプーン(米)に続く僅か4人目という偉業を達成したことになっています。

王座に返り咲いたホリフィールドが迎えたモーラーは、これまでにマイナー団体WBOのライトヘビー級とヘビー級を獲得してきた選手。ライトヘビー級時代には、9度の防衛戦をすべて規定ラウンド内で終わらせてきた(KO/TKO)強打者でした。ヘビー級に転向後は、対格差のアドバンテージが無くなったため、強打に加え技術力もアップ。最重量級に転向後も、積極的に強豪選手たちと拳を交え、全勝記録を35(30KO)に伸ばしていました。

(世界ヘビー級王座に返り咲いたホリフィールド(右)が、サウスポーのモーラーを迎えた一戦)/ Photo: KO Fight Posters

現在はオレクサンデル ウシク(ウクライナ)をはじめ、優秀なサウスポー(左構え)の選手が存在する最重量級。しかし30年前までは、長いヘビー級史上サウスポーの世界王者は存在しませんでした。ジョー フレージャー(米)は左利きでしたが、リング上ではオーソドックス(右構え)で戦っていました。ロッキー バルボア(米)は、アポロ クリード(米)を破り世界のベルトを腰に巻くことに成功しましたが、それは映画の話。そしてサウスポーの世界王者が存在しないに加え、左構えの選手自体希少価値のある存在でした。

(世界ヘビー級史上初(!)のサウスポーチャンピオン ロッキー バルボア)/ Photo: Wikipedia

2階級下のライトヘビー級から乗り込んできたモーラーは、そのサウスポーの選手。ホリフィールドにはプロ、アマを通じて長いキャリアがありましたが、サウスポー選手との対戦となると実に8年ぶりの事。苦手云々以前に、サウスポーとの対戦経験が乏しいというのがどうしてもディスアドバンテージとなってしまいます。

案の定、右構えの選手との対戦時と比べ、どことなくやりづらそうなこの日のホリフィールド。それでも2回、右ショートからの左フックで先制のダウンを奪っています。

(あっさりとダウンを奪ったホリフィールドでしたが...。)/ Photo: BoxRec

序盤戦でホリフィールドがダウンを奪い、モーラーは打たれ脆さで知られた選手。このまま王者がペースを握り、あるいは「早い段階でのKO/TKO勝利もあるのでは?」とさえ思わせるような試合展開になる予感がしました。しかしその予感は大きく外れる事となります。

(攻勢を取るも、中々波に乗れないホリフィールド)/ Photo: the Fight City

中々波に乗れないホリフィールド。体は引き締まっており、普段通りの筋肉で覆われた上体もいつも以上に逞しく見えました。しかしコンディション調整に失敗したのか(オーバーワーク?)、足に全くと言っていいほど力が入っていません。得意のコンビネーションも続かず、バランスの良い選手として知られるホリフィールドが何度もバランスを崩す場面がありました。

この日のホリフィールドは、コンディション云々以前に、元気がありませんでした。ボウとの2連戦を境に、髪の毛の薄さも目立つようになります。また、この試合後に心臓に問題があることが発覚し、「健康状態が悪いのでは?」と危惧されるニュースが飛び交うのもこの時期からです。

不調のホリフィールドを尻目に、モーラーはシャープな右ジャブを丁寧に突き続け、マイペースながらも試合の流れを完全に把握。最後まで安定したボクシングを披露し、僅差の判定ながらも明白な勝利を収め王座奪取に成功。同時に、ヘビー級史上初のサウスポーの世界王者としてそんなを歴史に刻むことになりました。

(丁寧な右ジャブで、ホリフィールドを破ったモーラー)/ Photo: Facebook

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下町、3度倒してV2(日本スーパーバンタム級ほか)

2024年04月21日 05時15分34秒 | 日本ボクシング

今月13日、エディオンアリーナ大阪で行われた試合結果です。
日本スーパーバンタム級戦:
王者下町 俊貴(グリーンツダ)TKO5回1分7秒 挑戦者デカナルド 闘凜生(六島)

*右ジャブを中心としたパンチから、挑戦者を圧倒した下町。5回に3つのダウンを奪い一気にフィニッシュ。昨年10月に行った初防衛戦では、引き分けとすっきりしない結果を残していましたが、今回の2度目の防衛戦で、その鬱憤を晴らす形となっています。

下記は2024年4月21日現在の、スーパーバンタム級の王者たちとなります。

WBA:井上 尚弥(大橋/防衛回数0)
WBC:井上 尚弥(大橋/1)
IBF:井上 尚弥(大橋/0)
WBO:井上 尚弥(大橋/1)
OPBF(東洋太平洋):中嶋 一輝(大橋/0)
WBOアジア太平洋:TJ ドヘニー(豪/1)
日本:下町 俊貴(グリーンツダ/2)

 

OPBF(東洋太平洋)ライトフライ級戦:
挑戦者タノムサク シムシー(タイ)判定(117-110、116-111、115-112)王者ミエル ファハルド(比)

*グリーンツダジムのサポートを受けるシムシー。今回が6度目の日本での試合となりました。これまで行ってきた多くの試合を規定ラウンド内で終わらせてきたシムシーですが、今回初めて12ラウンドを経験。フルラウンドを戦い抜くスタミナがあることを証明すると同時に、OPBFタイトル奪取に成功。戦績を33勝(30KO)1敗(1KO負け)としています。

シムシーの唯一の黒星は、前WBC王者矢吹 正道(緑)に2022年師走に喫したものとなります。

地域タイトルにに新たな王者が誕生したライトフライ級。下記は2024年4月21日現在の、同級の王者たちとなります。

WBA:寺地 拳四郎(BMB/防衛回数3)
WBC:寺地 拳四郎(BMB/4)
IBF:シベナティ ノンティンガ(南ア/0)
WBO:ジョナサン ゴンザレス(プエルトリコ/3)
OPBF(東洋太平洋):タノムサク シムシー(タイ/0)
WBOアジア太平洋:ジェイソン バイソン(比/0)
日本
川満 俊輝(三迫/0)

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今週末の試合予定

2024年04月20日 05時53分38秒 | 世界ボクシング

2024年4月第三週末の主な試合予定です(2024年4月20日から4月26日まで)。

20日 土曜日
エディオンアリーナ大阪
日本スーパーフェザー級戦:
王者原 優奈(真正)対 挑戦者奈良井 翼(RK蒲田)

米国ニューヨーク州
WBCスーパーライト級戦:
王者デビン ヘイニー(米)対 挑戦者ライアン ガルシア(米)

WBAスーパーフライ級戦(暫定王座決定戦):
ジョン ラミレス(米)対 デビット ヒメネス(コスタリカ)

*WBAは、「一階級一王者」体制を目指していたのではなかったのでしょうか?

 

21日 日曜日
大阪市住吉区民センター
WBOアジア太平洋ライトフライ級戦:
王者ジェイソン バイソン(比)対 挑戦者井上 彪(六島)

24日 水曜日
豪州
豪州スーパーウェルター級戦:
王者ニキタ チュー(豪)対 挑戦者ダニロ クリアティ(豪/Danilo Creati)

25日 木曜日
後楽園ホール
日本スーパーフライ級戦:
王者王者高山 涼深(ワタナベ)対 挑戦者古谷 昭男(六島)

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二人の新王者が誕生(日本国内タイトルx2)

2024年04月20日 05時17分23秒 | 日本ボクシング

今月9日、後楽園ホールで行われた試合結果です。
日本ライト級戦:
挑戦者三代 大訓(ワタナベ)判定3対0(97-93、96-94x2)王者仲里 周磨(オキナワ)

*以前からその技術を評価されていた三代でしたが、2018年6月にOPBF(東洋太平洋)スーパーフェザー級王座を獲得して以降、どちらかと停滞したキャリアを続けていました。1年前には韓国のリングで負傷判定負けを喫し、初の黒星を喫する有様。今回、同じ時期に日本王座に就いている仲里から王座を奪取し、再浮上したいところでした。

2017年秋に6回戦時代に対戦している両者。その時は三代が判定勝ちを収めています。お互いを知る同士の一戦は、王者が好スタートを切ります。しかし中盤以降挑戦者がコツコツをポイントを奪い逆転に成功。僅差ながらも明白な判定勝利を収め、自身2つ目のタイトル獲得に成功しています。

下記は2024年4月20日現在の、ライト級王者たちとなります。

WBA:ジャルボンテ デービス(米/防衛回数4)
WBC:シャクール スティーブンソン(米/0)
IBF:空位
WBO:空位
OPBF(東洋太平洋):鈴木 雅弘(角海老宝石/0)
WBOアジア太平洋:保田 克也(大橋/2)
日本:三代 大訓(ワタナベ/0)

 

日本スーパーライト級戦:
挑戦者李 健太(帝拳)判定3対0(97-93x3)王者藤田 炎村(三迫)

*12勝の内、10ものKO/TKO勝利がある強打の藤田と、アマチュアで100戦以上の実績を積んできたサウスポー(左構え)の李の対戦。技術で大きく上回った挑戦者が、左ジャブとフットワークで王者を翻弄。打ち合いでも藤田に引けを取らなかった李が、明白な判定勝利を収めプロ8戦目で初のタイトル獲得に成功しました。

下記は2024年4月20日現在の、スーパーライト級のタイトル保持者たちとなります。

WBA:アイザック クルス(メキシコ/防衛回数0)
WBA(暫定):イスマイル バロス(ベネズエラ/0)
WBC:デビン ヘイニー(米/0)
IBF:スブリエル マティアス(プエルトリコ/1)
WBO:テオフィモ ロペス(米/1)
OPBF(東洋太平洋):永田 大士(三迫/1)
WBOアジア太平洋:永田 大士(三迫/0)
日本:李 健太(帝拳/0)

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野中、大ベテラン対決を制す(OPBFスーパーミドル級)

2024年04月19日 05時24分03秒 | 世界ボクシング

今月6日、大阪堺市産業復興センターで行われた試合結果です。
OPBF(東洋太平洋)スーパーミドル級戦(王座決定戦):
野中 悠樹(ミツキ)判定3対0(118-110、115-113、115-114)サム ソリマン(豪)

*本来ならこの日、野中はロハン マードック(豪)を相手に空位のOPBF王座を争う予定でした。しかしマードックの負傷により、元IBFミドル級王者ソリマンとその王座を賭け対戦する事になりました。

1999年11月にプロデビューを果たした野中が46歳なら、一度は世界の頂点に君臨したソリマンは50歳。そのプロデビューは1997年4月まで遡る事になります。二人合わせると96歳。あと4年足せば三桁となります。ちなみにマードックは32歳で、今年1月に世界1位のクリスチャン エンビリ(仏)と対戦するなど(マードックの6回TKO負け)、油が乗り切っている選手です。

野中は50戦以上の戦績を誇るなら、ソリマンは70以上の実戦を経験してきました。共にピークはとうに過ぎていますが、それぞれにしぶとさという持ち味を発揮。フルラウンドを戦い抜いた結果、野中が判定勝利を収め、自身6つ目の王座獲得に成功。OPBF王座はスーパーウェルター級、ミドル級に続いての3階級制覇達成となりました。

まだまだ頑張る大ベテラン野中。今後もリング上で奮戦してくれそうです。

下記は2024年4月19日現在の、スーパーミドル級のタイトルホルダーたちとなります。

WBA(スーパー):サウル アルバレス(メキシコ/防衛回数7)
WBA(レギュラー):デビット モレル(キューバ/6)
WBC:サウル アルバレス(メキシコ/6)
WBC(暫定):デビット べナビデス(米/2)
IBF:サウル アルバレス(メキシコ/3)
WBO:サウル アルバレス(メキシコ/4)
OPBF(東洋太平洋):野中 悠樹(ミツキ/0)
WBOアジア太平洋:ユン デオクノ(韓国/0)
日本:帝尊 康輝(一力/0)

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飯村、井上を仕留める(日本フライ級ほか)

2024年04月18日 05時15分36秒 | 日本ボクシング

今月6日、後楽園ホールで行われた試合結果です。
日本フライ級戦:
王者飯村 樹輝弥(角海老宝石)TKO9回1分28秒 挑戦者井上 夕雅(真正)

*昨年7月に、プロ僅か5戦で日本の頂点に立った飯村。今回の2度目の防衛戦では、3倍以上のキャリアを持つ井上を迎えました。

2回にダウンを奪うなど、多彩なパンチと機動力で挑戦者を上回っていった飯村。しかし実績で上回る井上も、最後まで粘りを見せ王者に食い下がっていきます。しかし9回、ボディーから右を当てた飯村は、試合を決定づけるダウンを追加。レフィリーはそのままストップの判断を下しています。

技術に加え、力強さも加わってきた飯村。今後の成長が楽しみです。

下記は2024年4月18日時点での、フライ級のタイトルホルダーたちとなります。

WBA:ユーリ 阿久井 誠悟(倉敷守安/防衛回数0)
WBC:フリオ セサール マルティネス(メキシコ/6)
IBF:空位
WBO:ジェシー ロドリゲス(米/1)
OPBF(東洋太平洋):桑原 拓(大橋/1)
WBOアジア太平洋:畑中 建人(畑中/0)
日本:飯村 樹輝弥(角海老宝石/2)

 

WBOアジア太平洋スーパーフライ級戦:
挑戦者大橋 哲朗(真正)TKO10回2分28秒 王者中川 健太(三迫)

*これまでに3度の日本王座に続き、WBOの地域王座も手に入れてきた中川。世界初挑戦も見えてきた矢先に、伏兵大橋に足元をすくわれる形に。

両者共に波に乗れないまま後半戦に突入したこの戦い。大橋がコンビネーションからダウンを奪うと、その後の攻撃で一気にレフィリーストップに持ち込むことに成功。2度目のタイトル挑戦で、念願のベルトを腰に巻くことになりました。

現在、2人の日本人選手が世界王者に君臨しているスーパーフライ級。下記は2024年4月18日現在の、同級の王者たちとなります。

WBA:井岡 一翔(志成/防衛回数1)
WBC:ファン フランシスコ エストラーダ(メキシコ/0)
WBC(暫定):カルロス クアドラス(メキシコ/0)
IBF:フェルナンド マルティネス(亜/2)
WBO:田中 恒成(畑中/0)
OPBF(東洋太平洋):KJ カタラジャ(比/0)
WBOアジア太平洋:挑戦者大橋 哲朗(真正/0)
日本:高山 涼深(ワタナベ/1)

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復帰戦、などなど(色々:04‐17‐24)

2024年04月17日 05時10分42秒 | 世界ボクシング

最近(2024年4月17日ごろ)のニュースです。

1)これまでにミニマム級からスーパーフライ級の4階級で世界王座を獲得してきたローマン ゴンザレス(ニカラグア/帝拳)。一昨年2022年師走にファン フランシスコ エストラーダ(メキシコ)に僅差の判定負けを喫して以来、リング活動から遠ざかっていました。計量級で一時代を築いたロマゴン。7月12日に母国ニカラグアのリングで、対戦相手は未定ですが復帰戦を行います。

2)ライト級で日本、WBOアジア太平洋、OPBF(東洋太平洋)の3つのベルトを獲得してきた吉野 修一郎(三迫)。昨年4月に、敵地である米国ニュージャージー州のリングで現WBCライト級王者シャクール スティーブンソン(米)と対戦しますがまったく歯が立ちませんでした。世界の壁を痛感させられた吉野です。6月17日に後楽園ホールでジュレス ビクトリアーノ(比)を相手に再起戦を行います。

3)昨年9月にWBCウェルター級の暫定王座を獲得したマリオ バリオス(米)。来月4日に行われる4団体統一スーパーミドル級王者サウル アルバレス(メキシコ)とハイメ ムンギア(メキシコ)の一戦の前座に登場。ファビアン マイダナ(亜)を相手に初防衛戦を行います。

4)同じ興行に、WBAウェルター級王者エイマンタス スタニオニス(リトアニア)も登場。元暫定王者ガブリエル マエストレ(ベネズエラ)を相手に、2022年4月に獲得した王座の初防衛戦を、ようやく行えることになりそうです。

5)その才能が早くから評価されていながら、中々ビックマッチへの出場が決まらないIBFウェルター級王者ジャロン エニス(米)。この度、大手マッチルーム社と数試合の契約を結びました。これを機にビックマッチは元より、定期的なリング活動を行っていって貰いたいです。

6)本来ならエニスをはじめ、スタニオニスやバリオスと拳を交えてもいい立場にいる3団体統一ウェルター級王者テレンス クロフォード(米)。WBOからは、同団体のスーパーウェルター級王座への挑戦を確約されたり、ミドル級のクリス ユーバンク(英)との対戦話が上ったりと話題はそれなりにあります。しかしいずれも正式発表はされておらず。実力は超ピカ一なだけに、もう少し頻繁に試合を行ってほしいですね。

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あの試合から30年(WBCバンタム級:1994年4月16日)

2024年04月16日 05時53分18秒 | ボクシングネタ、その他雑談

今から30年前となる1994年4月16日、愛知県稲永スポーツセンターで行われた試合結果です。
WBCバンタム級戦:
王者薬師寺 保栄(松田)KO10回2分21秒 挑戦者ホセフィーノ スアレス(メキシコ)

*この試合の前年師走に、辺 丁一(韓国)を僅差の判定で破り世界王座の座を射止めた薬師寺。11ヵ月前に辺が保持していたWBC王座に挑戦し、超大差の判定負け(0対3:104-120、106-120、109-119)を喫しているフアレスを迎え初防衛戦を行いました。

フアレスは18勝(12KO)9敗1引き分けと、世界王座へ挑戦する選手としては黒星の多い選手です。しかしそれまでに対戦してきた選手には、後のWBCスーパーフェザー級王者ガブリエル ルエラス(米)や、3階級制覇を達成した暴れ者ジョニー タピア(米)、そして軽量級から中量級にかけ一時代を築いたマルコ アントニオ バレラ(メキシコ)等が含まれています。敗戦は多いものの、その中から実力を蓄えてきた実戦派と言っていいでしょう。

スピードは無いものの、中々のパンチ力を持つスアレス。技巧派サウスポー(左構え)の辺に対しては、全くと言っていいほど手も足も出ませんでした。しかし相性の良い薬師寺を相手に、時折その強打で王者を追いつめるなどそれなりの善戦を見せました。

薬師寺から見ても、辺と比べるとやり易い相手となったスアレス。時折メキシカンのパンチでピンチにさらされるなど、まだまだ不安定な面も見せました。しかし世界王者になった自信からでしょうか、常に落ち着いたボクシングを展開していきます。

(落ち着いた表情で、初防衛戦に臨む薬師寺)/ Photo: Youtube

中盤以降、一方的な試合展開に持っていった薬師寺。しかし10回、フアレスの右を頭部に貰いピンチに陥ります。しかしその場面でも冷静にクリンチで対処。ダメージからの回復後、今度はお返しの右でメキシカンを極地に追い込みます。最後は左ボディーで止めを刺しゲーム終了。見事なワンパンチで初防衛に成功しました。

当時、日本には勇利 アルバチャコフ(WBCフライ級)、鬼塚 勝也(WBAジュニアバンタム級=現スーパーフライ級)、グッシー ナザロフ(WBAライト級)、そして薬師寺と4名の世界王者が君臨していました。その中で薬師寺は一番評価の低い王者でした。しかし一戦ごとにその戦力を増していった薬師寺。まだまだ安定王者には程遠いものの、一戦ごとに確実に成長していることを誇示しています。

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ムルタザリエフが新王者に(IBFスーパーウェルター級)

2024年04月15日 05時42分19秒 | 世界ボクシング

今月6日、ドイツで行われた試合結果です。
IBFスーパーウェルター級戦(王座決定戦):
バフラム ムルタザリエフ(露)TKO11回 ジャック クルカイ(独)

*21戦全勝(15KO)のムルタザリエフと、元WBA王者クルカイの実力者同士による王座決定戦。戦前の予想通り、試合開始のゴングと同時に一進一退の攻防が繰り広げられていきます。

10回終了時の採点でも、2対1(99-91、96-94、95-96)とロシア人が若干のリードを保っていましたが、最後の最後まで勝敗の行方が予想出来ないまま後半戦に突入。そして11回、ムルタザリエフが連打からの左フックでクルカイからダウンを奪います。カウント中に立ち上がったクルカイでしたが、ドイツ人のダメージを考慮しそこで試合をストップ。米国を拠点としているムルタザリエフが、無敗のままで世界のベルトを腰に巻くことに成功しました。

ジャーメル チャーロ(米)が保持してた4つのベルトを様々な理由で手放していったスーパーウェルター級戦線。チャーロの後継者筆頭とされていたティム チュー(豪)が敗れるなど、戦国時代の様相を呈しています。下記はそのスーパーウェルター級の、2024年4月15日時点での王者たちとなります。

WBA:イスラエル マドリモフ(ウズベキスタン/防衛回数0)
WBC:セバスチャン フンドラ(米/0)
WBC(暫定):セルヒイ ボハチュク(ウクライナ)
IBF
:バフラム ムルタザリエフ(露/0)
WBO:セバスチャン フンドラ(米/0)
OPBF(東洋太平洋):井上 岳志(ワールドスポーツ/1)
WBOアジア太平洋:井上 岳志(ワールドスポーツ/3)
日本:出田 祐一(三迫/2)

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堤の後釜に富施(日本バンタム級)

2024年04月14日 05時37分11秒 | 日本ボクシング

今月2日、後楽園ホールで行われた試合結果です。
日本バンタム級戦(王座決定戦):
富施 郁哉(ワタナベ)TKO5回1分38秒 杉本 太一(勝輝)

*堤 聖也(角海老宝石)が空位となっていた日本バンタム級タイトル。1位にランキングされていた富施が、明確なパンチと安定した距離感で杉本を圧倒。5回に2度のダウンを奪い、一気にケリをつけています。

17戦目にして日本の頂点に立つこととなった富施。現在、同級では2人の日本人選手が世界のベルトを巻いていますが、まずは今回獲得した王座の足固めといきたいところです。

今後1ヶ月の間に、3つの世界戦が日本国内で予定されているバンタム級。2024年4月14日現在の、同級の王者たちは下記の通りとなります。

WBA:井上 拓真(大橋/防衛回数1)
WBC:中谷 潤人(MT/0)
IBF:エマヌエル ロドリゲス(プエルトリコ/0)
WBO:ジェイソン マロニー(豪/1)
OPBF(東洋太平洋):栗原 慶太(一力/0)
WBOアジア太平洋:西田 凌佑(六島/3)
日本:富施 郁哉(ワタナベ/0)

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