先月末30日、米国ネバダ州で行われた試合結果です。
2団体スーパーウェルター級戦:
元WBC暫定王者セバスチャン フンドラ(米)判定2対1(116-112、115-113、112-116)WBO王者ティム チュー(豪)
*本来ならこの日、チューは元WBAウェルター級王者キース サーマン(米)と無冠戦で対戦し、フンドラはセルヒイ ボハチュク(ウクライナ)と空位のWBC王座を争う予定でした。しかしサーマンの負傷により、急遽対戦カードが変更。チューとフンドラが、チューの保持しているWBO王座と、空位のWBC王座を賭け拳を交える試合に大昇格することになりました。
以前より、将来性のある選手として注目されていたチューとフンドラの対戦。試合内容も勿論のこと、両者の対格差にも関心が寄せられた一戦でもありました。チューは174センチと同級では標準的な身長の持ち主。対するフンドラは、驚くことにあと3センチで2メートルに届く超長身選手。その分、細すぎで耐久力に常に疑問視が持たれています。
実力拮抗者同士による一戦は、予想通りに競った試合内容になりました。チューがその強打でフンドラを威嚇すれば、長身パンチャーはコンビネーションでそれに対抗。両者の激しい攻防がフルラウンドに渡り続くことになりました。
しかし、この試合の大きな分岐点は序盤2回に起こります。その回終盤、フンドラの肘がチューの頭部に直撃し負傷。その後チューは自身の大量出血に悩まされ続ける事になりました。試合が行われたネバダ州は、健康管理に非常に厳しい場所として知られています。しかしよくもまあチューが怪我を負ってから10ラウンドも試合を継続を許したものです。
結局はその負傷のため100パーセントの力を出せなかったチュー。僅差の判定でプロ25戦目にして初黒星を喫してしまいました。しかし傷を負わずとも、フンドラのボクシングの前には苦戦を強いられていたことでしょう。
全勝記録が途絶え、昨年3月に獲得した王座から転落したチュー。しかしこの敗戦により、評価は落ちていないようです。逆にあの状況で、12回戦い抜いた事に賞賛の声も多く聞かれます。
そういえばチューの実父で、元統一スーパーライト級王者だったコンスタンチンも(170センチ)、初の世界王座IBFスーパーライト級の2度目の防衛戦で、身長185センチのコロンビア人ウーゴ ピネダと対戦し、11回TKO勝利を収めました。コンスタンチンはその王座を、6度目の防衛戦で失っています。しかしその後同級の実力者たちを連破し、僅か1年半で世界王座に返り咲きを果たしています。
WBCスーパーウェルター級戦(暫定王座決定戦):
セルヒイ ボハチュク(ウクライナ)判定3対0(118-110、117-111x2)元WBC暫定王者ブライアン メンドサ(米)
*本来ならこの日、フンドラとWBCの正規王座を争う予定だったボハチュク。格下げとなった王座決定戦に出場に、一年前にフンドラにKO勝利を収めているメンドサに大差判定勝利。暫定ながらも世界のベルトを腰に巻くことに成功しました。
メンドサはフンドラに勝利を収めた後、フンドラから奪取した暫定王座を放棄。10月に渡豪し、チューの保持していたWBO王座に挑戦するも判定負けを喫しています。
大きな変動が起こったスーパーウェルター級戦線。下記はこの試合が終わった時点(2024年3月30日)での、同級の王者たちとなります。
WBA:イスラエル マドリモフ(ウズベキスタン/防衛回数0)
WBC:セバスチャン フンドラ(米/0)
WBC(暫定):セルヒイ ボハチュク(ウクライナ)
IBF:空位
WBO:セバスチャン フンドラ(米/0)
OPBF(東洋太平洋):井上 岳志(ワールドスポーツ/1)
WBOアジア太平洋:井上 岳志(ワールドスポーツ/3)
日本:出田 祐一(三迫/2)