金曜日、会社を休んで友人の持ち山にたけのこ狩りに出かけた。本当は5月の連休に行く予定だったが、今年はたけのこが出るのが早かったのと、土日の天候が思わしくないとの予報が出ていたので、急遽予定を変更した。毎年、この時期になると会社の同僚達がたけのこグループと称して参集し、焼肉パーティを楽しみながらたけのこを掘っている。ところが今年は急に思い立ったのでたけのこグループは集まれず、結局友人の姉夫妻とその知人を加えて全5人の集まりとなった。9時過ぎに愛車のミニバンを駆って山村の奥の友人宅に到着。山すそで道が行き止まりなので車の往来が少なく静かなところだ。初夏には蛍が飛び交い、谷川には、はやが見られる。今はやりの里の風景だ。早速知人の軽トラックに道具を乗せ山道に入る。200m程度で竹林に到着。コンテナとたけのこ鍬を担いでけもの道のような道なき道に分け入り、たけのこを探す。あるある。ちょうど時分どきと云っていたが本当で、たけのこの先がここかしこに出ている。ここの竹山は若干小石があるものの赤土で掘りやすい。たけのこの周囲を軽く掘り、根のひげが見え出すとえいっと鍬で地下茎を切り落とす。10年前は要領が分からずに力任せに無駄に掘ったりしたものだが、最近は必要最低限で切り出せるようになった。掘ったたけのこは重いので数本ずつ分かるようにまとめて置いておく。それを女性陣が包丁で半割りにして皮を剥ぎとり、コンテナに入れ込んでゆく。1時間半くらいでコンテナ3つ分が満杯になったので、竹山の入り口の広場に場所を変える。広場の隅においてあったドラム缶とドラム缶を半切りにしたかまどを1年ぶりに取り出して、谷川できれいに洗い、水を汲み入れ、剥いたばかりのたけのこを山盛りまで入れて、火を点ける。灰汁抜きをするのだ。燃やすのは竹林の中の腐った竹と切り出した杉の薪。沸騰するまでの約1時間と灰汁抜きの時間の計2時間が楽しい時間だ。例年はこの時に焼肉をするのだが、今年は準備ができずに、結局お弁当の時間となった。弁当がすむと、年寄り夫妻は夏みかんやつわぶき採りに精を出している。毎年のことながら、夏みかんは木の下にたくさん落ちている。成るままで収穫しないので風などで落ちるのだ。全部で20本以上も植わっているが、知人は会社勤めなので米を作るのが精一杯で、先代のようには山の手入れができず、荒れるままになっている。この他にも、梅やびわ、柿、銀杏など山の幸がたくさんあり、季節に応じてお世話になっている。姉さん夫妻は、あまり無理をしないで、などと互いに声を掛け合い、和気藹々と嬌声を上げながら楽しそうに、木を揺さぶったり、竹の先でみかんを落としたりして収穫している。子供のころに還ったようだ。ほどなくドラム缶が沸騰したので、知人の姉さんに火の当番をお願いし、友人と二人で2度目のたけのこ堀りに向かう。今度は逆方向の竹林。やはり1時間ほどでコンテナ3つが満杯になった。100キロとは云わないが皮を除いた中身で80kg以上は掘ったと思う。煮立ったたけのこをコンテナに入れ、谷川の冷たい水で冷やす。次いで、再び掘ったばかりのたけのこをドラム缶に入れて2度目の灰汁抜きに取り掛かる。その作業が一段落して、私もお土産の甘夏みかんを採ることにする。友人が木に登り、竹で落とす。それを拾い集める。30分ほどで買い物籠2個になったので採集終了。2度目の灰汁抜きもちょうど程よい時間となったので取り出して冷やす。全部の作業が終わったのが4時。友人に礼を述べ、家路へ。車が重い。途中昨年満期退職したたけのこグループの先輩と妻の兄宅に宅急便でたけのこを送る。心地よい疲労でその晩は酒もおいしく頂けた。(毎日酒はおいしいが、格別だった)妻は娘二人やご近所におすそ分けをするのに忙しかったようだ。山の幸を毎年、いやな顔をせずに振舞ってくれる友人に感謝をしている。私と同い年だ。来年も、さ来年も元気で収穫できることを願っている。
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