日曜日、朝8時。我が家に和音君と奏汰君が勢ぞろい。今から山口に行くのだ。目的はSLやまぐち号乗車。汽車好きの和音君にバァバがSLを体験させようと企画したもの。可愛い桃太郎と金太郎のお供は当然、雉と犬と猿。(妻と長女とケンさんです) 小さいながらも奏汰君はキビ団子(お握り)をリュックサックに詰めてもらって背負っている。
<o:p></o:p>
この計画、実は妻と長女と和音君の3人だけで行くつもりだったようだ。ところが私が行きたいそぶりを見せたのと、高速道路の千円乗り放題の記事を読んで、私にお供役を命じたのだ。となると、次女も安心だと思ったのだろう、「奏汰君も連れて行って!」
<o:p></o:p>
ETCカードを間違いなく挿したことを確認して、次女の見送りの中、我が家を出発。高速を経由してJR新山口へ。低気圧は東へ去って天気は快方に向かっている筈なのだが、空は曇り空。念のために雨傘を車に積んではいたのだが。
<o:p></o:p>
SLやまぐち号は貴婦人と愛称されているようにC57系の優雅な蒸気機関車。土、日の休日のみ新山口と津和野間を走っている。1日に1往復だけだ。日本各地でSLやトロッコ電車が復活しているようだが、ここもすごい人気と聞いていた。全席指定券が必要だが、妻が準備した。
<o:p></o:p>
高速道を無事に走って、目指す新山口には10時に着いた。途中、小雨が降ったのが唯一の気懸かり。まさか雨じゃないだろうな! 発時間まで40分もあると思いながらも駅舎に入ると、ちょうどSLがホームに滑り込むところだった。ラッキー! 私達は慌てて改札口を抜けた。
<o:p></o:p>
ホームには私たちと同じように子連れの客と高年層のお客がひしめいていた。なるほど!人気の高さが伺われる。乗車記念に写真を撮ろうと思って先頭の機関車のところへ駆け出したが、皆同じ思いなのだろう、写真スポットは人、人、人。もくもくと煙や蒸気を吐き出している貴婦人の雄姿をカメラに収めようと人混みを掻き分けての記念撮影だった。孫たちは始めてみる機関車の圧倒的な迫力に押されたのか、人混みに恐れをなしたのか、意外と大人しくしていた。(和音君はSLやまぐち号のミニモデルが欲しいと騒いでいた)
<o:p></o:p>
列車は5両編成。客車は、明治・大正・昭和・欧州・展望車とそれぞれ装いが異なっている。私達は昭和の車輌。昔懐かしい車輌だった。欧州の車輌は豪華な背もたれで、じゅうたんまで敷いてあってまるで宮殿のような雰囲気。同じ料金だったら、欧州車輌の方が良かった!
<o:p></o:p>
<o:p></o:p>
やがて定刻になり、長い汽笛を発して動き出した。私にとっては40年ぶりくらいのSLだ。窓を開けて前方を見ると、白い煙をもくもくと吐いて懸命に進んでゆく機関車がなぜか愛おしく思えた。孫たちも大人しくしていたのは最初のうちだけ。妻に連れられて展望車に行ったり、明治の車輌を見学に行ったりと、じっと座ってはいない。私だけが荷物番。
<o:p></o:p>
急勾配の山道をやまぐち号はあえぐように進んだ。沿線には各所で3脚を立ててカメラを構えている人たちや、笑顔で手を振っている人達がいて、地元の人たちにも愛されているのが判って嬉しかった。ただ、煙や蒸気が沿線の家屋に吹き付けられているので、列車が走る休日には洗濯物が干せないなと思ったりもした。
<o:p></o:p>
津和野に着いたのが定刻の12時40分。ところが雨が降っていた。晴れていたら、自転車を借りて小京都津和野を散策しようと思っていたのが、思惑が外れてがっかり。小雨ではあったが気温は低く、肌寒い。とりあえず昼食を、と駅前を見渡すが、何にも無い! タクシーが数台溜まっているだけだった。駅舎の横にテントが張られて、津和野案内のボランティアが居たので、妻が食事が出来るところなどを教えてもらった。
<o:p></o:p>
紹介された駅から200mくらい離れた和風レストランに駆け込んだ。長女は薄着だったのでかなり寒そう。ここの名物がサバ寿司だった。山の中なのにサバ? 後で判ったことだが、津和野は江戸時代から4時間も掛けて日本海の新鮮な魚を運んでいて、そのルートをサバ街道と呼んでいたのだった。だから駅前の通りを新サバ街道と称して、サバ寿司が名物として売られていたのだった。
<o:p></o:p>
<o:p>津和野駅</o:p>
<o:p></o:p>
お勧めメニューに、サバ寿司1200円と大書されていたが、私はサバに弱い。100%、蕁麻疹が出る。だから私は無難に『カツどん』、妻と長女が遠慮せずに「サバ寿司」と「焼きサバ寿司」を頼んだ。
<o:p></o:p>
程なく出されたサバ寿司は脂が乗っていて美味しそう! それにサバが大きくて長さが30センチ程で量も多い。それを見て思わず生唾が湧いてきた。焼きサバなら当たらないでしょ、と妻が云うので私も焼きサバ寿司に手を出した。 実に美味しい。 脂が滴り落ちるような感じだ。 数切れ食べた後で、自分のカツどんまで食べたので、もう満腹。昨日に引き続いてお腹が悲鳴を上げていた。
<o:p></o:p>
食事が終わって時間を見ると、帰りの特急電車にちょうど間に合う時間だった。電車は1時間に1本しかないし、相変わらずしとしと雨が降り続いているので、帰ることにした。孫たちが風邪引くかもしれない。電車は3両編成。自由席は1両しかなかったが、運よく席が空いていた。孫2人は妻と長女がそれぞれ抱きかかえて座った。孫たちも疲れたのと眠たかったのか、2人ともすぐに眠ってしまった。私も満腹だったので、まぶたがお腹に引き寄せられて、うとうと。電車の中は暖かくて快適だった。
<o:p></o:p>
新山口駅前に駐車していたマイカーに無事に乗り込んで一安心。安全運転で帰り着いたのが4時過ぎ。雨で残念でしたが、孫たちのSL体験でした。次はSL人吉号。のんびりと人吉温泉に泊る旅をしたいものだ。
<o:p></o:p>