新型コロナが発生して中止していた兄弟旅行、今年は問題を抱えてはいたが、何とか行くことになった。昨年もこの時期に計画を立てていたのだが、妻の体調が悪くて行けなくなって、私たち長男夫婦が「行けない」と表明すると、兄弟旅行そのものが中止となった。弟達が遠慮したのだ。だから今年は「妻は行けない」けれど、私は参加することにした。妻は体調は問題無いけれど眼が不自由なので初めての土地は怖くてとても歩けないというので、娘二人に面倒を看てもらうことになった。
今回も計画は3男が立て、10人乗りのバスのレンタルから運転までした。おやじバンドのボーカルを担当し、定期的にコンサートを開いているやり手でもある。クリスマスには5男と二人で老人施設に慰問に行ったときいている。その彼が推奨したのが福岡県南部筑後川温泉で、カラオケがあって楽しいという一泊二日の小旅行だ。
11月19日、9時半、3男が次男夫妻を乗せて迎えにきた。ここで5男夫妻と一緒にバスに乗り込み、防府から新幹線でやってきた4男夫妻を最寄りのモノレール駅で拾って、参加全員が顔を揃えた。総勢9人。私の妻を除いて兄弟夫婦がみんな集まった。元気そうだ。口々に妻が不参加なのが残念と言う。面倒は看るのに、と。
ちょっと寒気が入っていて寒いけれども天気は何とか持ちそうでミニバスは快適だった。いつものように、名所・観光地に立ち寄りながら目的地へ進む。
●最初の停車地は飯塚の伊藤伝右衛門邸
筑豊の炭鉱王で白蓮を妻に迎えた人だ。その邸宅は国の重要文化財に指定されており、庭園も見事に当時の栄華を保っている。
●次に訪れたのは大刀洗平和記念館
戦時中には飛行場があった場所で、特攻隊が特攻機が出て行ったと紹介され、青年飛行兵の日記や遺物と共に零戦や紫電改モデル等が陳列されていて、テーマは「語り継ぐ」と言う。戦争経験を記録するだけじゃなく、語り継ぐことで2度と戦争を起こさないことだと。
●香山昇龍大観音
初日の最後は巨大な観音様のお寺へ。小高い山の上に観音様が赤子を抱いて微笑んでいた。戦争に駆り出され、大変な目に遭ったが奇跡的に復員した男が観音様のお助けに依るものと信じて建立したとのことだ。
秋の日はつるべ落とし、拝観を終える頃には夕闇が近づき、私たちは目的地、筑後川温泉桑野屋を目指した。宿は夫婦で1室、私は一人で1室だ。ノンビリ出来るが、寂しい気もする。遅く着いたので風呂にそそくさと入り、夕食の席へ。兄弟全員と卓を囲むのは親父の13回忌以来か? いや、あのときは新型コロナが猛威を奮っていたから前回の兄弟旅行以来だなと考えていた。
宴会は2時間で終わり、次はカラオケ。3男がノッテい手、私にも歌うように勧める。パーキンソンが進んで声が出にくい私も随分久しぶりに歌ったのだが声は満足に出なくても楽しかった。