今回は、「女性文 デミタスカップセット」の紹介です。
デミタスカップにつきましては、1点目を昭和61年に買って以来、4年かかって、やっと、平成2年に、器面を分割しないで文様を描いている「染錦 (無分割) 花籠文 デミタスカップセット」を購入することが出来たわけですが、それを、前々回に、8点目のデミタスカップとして紹介する際、
「 なお、この8点目の器面を分割しないで文様を描いている「染錦 (無分割) 花籠文 デミタスカップセット」を購入するに至るまでに、「これって古伊万里のデミタスカップ?」というものを3点買っています(><) いわば、デミタスカップ蒐集の過程での授業料のようなものかもしれません(~_~;) それについては、参考までに、次回以降、3回にわたって、紹介したいと思います。」
と記したところです。
その3点のうちの第2点目として紹介するものが今回の「女性文デミタスカップセット」です。
これは、昭和63年に、東京で買ったものです。
売っていた業者さんは、これをオランダのハーグで仕入れてきたものだと言ってました。
私は、これを見たとき、「はて、これは何処で作られたものなのだろうか? 伊万里でもなさそうだし、かといって、伊万里を写したヨーロッパ製でもなさそうだし、、、。文様からいって、中国の宮廷の女官を描いたようなので、中国製なのだろうか?」と悩みました。
というのも、「中国においても、だんだんと伊万里写しを作ってヨーロッパに輸出するようになったようだから、これがオランダのハーグにあったとしてもおかしくはないな。伊万里写しの中国製なのかもしれないな。そうであったとしても、今後の参考資料となるから、買っとくか!」ということで購入に及んだものです。
ところで、私は、このデミタスカップを買うに至った時から約半年前、10日間ほどヨーロッパに行っていて、その際、パリのルーブル美術館の近くの古美術店から1枚の古伊万里の皿(口径23.4cm)を買ってきた経験があるんです。
ヨーロッパに旅立つ前から、この際、是非、1点は古伊万里を、自らの手で里帰りさせたいなと思っていましたので、その思いが叶い、当座は大変に満足し、帰国後、毎日のように眺めていました。
ところが、だんだんと、「どうも、これは、古伊万里ではないんじゃないかな~。ヨーロッパでの古伊万里写しなんじゃないかな~。或いは、中国の古伊万里写しなんじゃないかな~」と思うようになってきたわけです。
ルーブル美術館の近くの立派な古美術店で「古伊万里」として売られていましたから、何も知らないでいた私は、すっかり信用していたんですね。
しかし、それ以来、世の中には、相当な量、ヨーロッパの古伊万里写しが存在するし、中国の古伊万里写しも存在することを知ったわけです。
そんな体験があるものですから、このデミタスカップを買う時点で、このデミタスカップが本歌の古伊万里であるとは、スンナリとは信じなかったわけです(~_~;)
以上のような話はさておき、今回、この「女性文 デミタスカップセット」を紹介するに際し、買ってから32年ぶりに改めて見てみて、これは、やはり、本歌の古伊万里なのではないのかな~との思いが強まりました(~_~;)
と言いますのは、このデミタスカップに描かれている女性の左袖が長く描かれていることから、これは、中国の宮廷にいる女官を描いたものなのだろうと思っていたからです。
しかし、今、写真を撮っていて、人物を拡大してみますと、これまでは、長い袖が描かれているものとばかりに思っていましたが、それは、袖ではなく、背景の「山」のようなものを描いていることに気付いたからです。
そうは言いましても、32年が経過した今でも、やはり、このデミタスカップが、本歌の古伊万里なのか、或いは中国製なのかはハッキリとは分からないことを白状いたします(><) 古伊万里の判定には難しいものがありますね(~_~;)
またまた、前置きが長くなりました。今回紹介する「女性文 デミタスカップセット」の写真は次のようなものです。
カップ&ソーサーの立面
カップをソーサーから外したところ
このデミタスカップは、デミタスカップとしては一般的な、器面を3分割して文様を描いている部類に属すると思われます。
カップをソーサーから外し、それぞれを伏せたところ
カップの立面(1)
カップの立面(2)
カップの立面(1)を右に45度回転させた面
カップの見込み面
カップの見込み面の人物部分の拡大画像
女の人の右下に描かれた動物は兎のようです。
女の人の左腕は赤い長い袖に覆われているのではなく、左腕のところの赤い袖のように見えるものは、背景の山並みを表現したもののようです。
カップの底面(1)
カップの底面(2)
カップの底面(1)を右に45度回転させた面
ソーサーの表面
ソーサーの表面の人物部分の拡大画像
女の人の右下に描かれた動物は、犬のようにも見えますが、カップの見込み面に描かれた動物は兎のようですから、それと対比しますと、やはり、兎が描かれているものと思われます。
女の人の左腕は赤い長い袖に覆われているのではなく、左腕のところの赤い袖のように見えるものは、背景の山並みを表現したもののようです。
生 産 地 : 肥前・有田 or 中国・景徳鎮
製作年代: 江戸時代中期 or 清時代前期
サ イ ズ : カップ………口径;6.0cm 高さ;3.7cm 底径;2.8cm
ソーサー…口径;10.6cm 高さ;2.0cm 底径;5.4cm