今回は、「染付 草木文 四方割 デミタスカップセット」の紹介です。
デミタスカップにつきましては、1点目を昭和61年に買って以来、4年かかって、やっと、平成2年に、器面を分割しないで文様を描いている「染錦 (無分割) 花籠文 デミタスカップセット」を購入することが出来たこと、そして、それを、前々々回に、8点目のデミタスカップとして紹介したこと、また、それを紹介する際に、
「 なお、この8点目の器面を分割しないで文様を描いている「染錦 (無分割) 花籠文 デミタスカップセット」を購入するに至るまでに、「これって古伊万里のデミタスカップ?」というものを3点買っています(><) いわば、デミタスカップ蒐集の過程での授業料のようなものかもしれません(~_~;) それについては、参考までに、次回以降、3回にわたって、紹介したいと思います。」
と、ここ2回ほど同じような文面を記し、3点の内の2点までを紹介してきたところです。
今回は、その3点のうちの最後の第3点目を紹介するもので、それが「染付 草木文 四方割 デミタスカップセット」となるわけです。
これも、東京で、平成元年に買ったものです。
これを最初に見たとき、「随分と薄作りだな~。有田で作られた伊万里焼が盛んにヨーロッパに輸出されていた江戸中期に、有田でこんなに薄いものを焼くことが出来たのだろうか? やはり、これは、中国製なのかな~」と思いました。有田の陶石では薄いものは作れないと言われていましたので、、。
でも、これは、器面を4分割して文様が描かれているんですよね。デミタスカップは、普通、器面を3分割して文様が描かれていることが多いんですね。たまに、2分割して描かれているものもありますが、4分割というのは珍しいわけで、私は、それまでに見たことがなかったわけです。
それで、「中国製でもいいか。参考品ということで買っとくか」ということで購入したものです。
その後、特に調べもせずにそのままにしていましたが、今回、これを紹介するにあたり、もう一度、よく見てみましたら、これは、中国製ではなく、幕末頃の肥前産のものではないかな~と思うようになってきました(~_~;)
と言いますのは、幕末頃になりますと、有田の焼物商社の先駆け的な事業を実践していた「蔵春亭」というような者が現れ、長崎の網代陶石や熊本の天草石を使用して薄手物を得意とした三川内に発注して輸出していたらしいんですね。また、佐賀藩も、他藩での商品の製造やその販売を禁じていましたが、その頃になりますと、国益上の見地から黙認したらしいんですね。
私は、これを買った平成元年の頃には、そのことを知りませんでしたが、その後、知るようになったわけです。
以上のことから、この「染付 草木文 四方割 デミタスカップセット」は、中国産ではなく、幕末の頃、肥前・三川内で作られたものではないかと思うようになったわけです。
では、次に、「染付 草木文 四方割 デミタスカップセット」の画像を紹介いたします。
カップ&ソーサーの立面
カップをソーサーから外したところ
器面を4分割して文様が描かれています。デミタスカップとしては珍しい描き方です。
透けて見えるほど薄作りです。
カップをソーサーから外し、それぞれを伏せたところ
カップの立面(1)
カップの立面(2)
カップの立面(1)を右に45度回転させた面
カップの見込み面
透けて見えるほど薄作りです。
カップの底面(1)
高台内の銘款は、ソーサーの高台内の銘款とは異なります。
カップの底面(2)
カップの底面(1)を右に45度回転させた面
ソーサーの表面
器面を4分割して文様が描かれています。デミタスカップとしては珍しい描き方です。
ソーサーの側面
薄作りのせいなのか、かなりの歪みが見られます。
ソーサーの底面
高台内の銘款は、カップの高台内の銘款とは異なります。
生 産 地 : 肥前・三川内 or 中国・景徳鎮
製作年代: 江戸時代後期(幕末) or 清時代前期
サ イ ズ : カップ ……口径;6.0cm 高さ;4.8cm 底径;2.3cm
ソーサー…口径;10.1cm 高さ;1.5~1.8cm(歪みがあるため) 底径;5.0cm