Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

染付 萩唐草文 徳利

2021年10月06日 11時33分22秒 | 古伊万里

 今回は、「染付 萩唐草文 徳利」の紹介です。

 

立面(1)

肩部に描かれた花文が右、胴部に描かれた花文が左の面

 

 

立面(2)

肩部に描かれた花文が左、胴部に描かれた花文が右の面

 

 

斜め上から見たところ

 

 

底面

 

生 産 地 : 肥前・有田

製作年代: 江戸時代中期

サ イ ズ : 口径;4.2cm 胴径;8.5cm 底径;4.5cm 高さ;13.3cm

 

 

 ところで、この「染付 萩唐草文 徳利」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しておりますので、次に、その時の紹介文を再度紹介することをもちまして、この「染付 萩唐草文 徳利」の紹介とさせていただきます。

 なお、その文章の中には、この「染付 萩唐草文 徳利」の紹介とは直接関係の無い部分も含まれておりますが、その部分は無視してお読みいただければ幸いです(^_^)

 

 

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        <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー198  伊万里染付萩唐草文徳利       (平成26年11月1日登載)

 

 

 この手の文様のものは、

① 伊万里染付牡丹唐草文
② 伊万里染付菊唐草文
③ 伊万里染付みじん唐草文
④ 伊万里染付萩唐草文

などと呼称されているところである。

 私は、この徳利を、「伊万里染付萩唐草文徳利」と呼称したい。

 この徳利、玉壺春形の端正な作りで、文様も丁寧に描かれており、上手の部類に属するであろう。

 当時は、とても庶民が使えるような物ではない。

 それが、今は、こうして、私のような庶民が使用出来るのが嬉しい(*^_^*)

 全面びっしりと「萩唐草文」で描き埋めてしまっていたならば、かなり窮屈感が漂うであろう。
 ちょっと余白を残し、そこに菊(牡丹?)の花を4個(肩に2個、胴に2個)散らして窮屈感を和らげているところが憎い演出である。

 

  江戸時代中期   口径:4.2cm 胴径:8.5cm 高台径:4.5cm 高さ:13.3cm

 

 

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*古伊万里バカ日誌127  古伊万里との対話(萩唐草文の徳利)(平成26年11月1日登載)(平成26年10月筆)

登場人物
  主  人 (田舎の平凡なサラリーマン)
  萩徳利  (伊万里染付萩唐草文徳利)

 

 

・・・・・プロローグ・・・・・

 主人は、前回、伊万里染付萩唐草文の猪口と対話をしたが、その際、押入れの中にその猪口の文様と同じような文様が描かれた徳利がその猪口のすぐ脇に置いてあることに気付いていたようである。
 その時、主人は、次回は是非その徳利と対話をしようと考えていたようなので、今回は、躊躇なく、その徳利を押入れから引っ張り出してきて対話を始めた。

 

 


 

 

主人: 前回は、伊万里染付萩唐草文猪口と対話をしたが、その際、次回には是非お前と対話をしたいと考えていたので出てもらった。
 ただ、お前の名称を「伊万里染付萩唐草文徳利」とすると、ちょっと季節が現在とは合わないんだよな~。「萩」はもうとっくに終わってしまって、季節外れだものね。
 でも、染付文様の中に四つほど「花」が描かれているが、肩の辺りに二つ、胴にそれよりも大きな「花」が二つで合計四つの「花」が描かれているわけだが、その「花」を、或る人は「菊」と見、或る人は「牡丹」と見るんだよね。それで、その「花」を「菊」と見れば、まんざら季節外れとも言えないよね・・・・・。

萩徳利: この「花」を「菊」と見る人は多いんですか?

主人: 「唐草」といえば「牡丹」と結びつくし、また、「牡丹」といえば「唐草」と結びつくね。「唐草」と「牡丹」はセットになっている感が強く、古来から「牡丹唐草文」と言ってるね。先入観みたいなものかね・・・・・。
 しかし、よく見ると、お前の場合は「菊」にも見えるよね。否、「牡丹」よりは「菊」に近いかな・・・・・。
 そんなことから、「菊唐草文」と言う人は少なく、「牡丹唐草文」と言う人が多いんじゃないかなと思うけれども、ここは、敢えて、季節に合わせる意味でも「菊唐草文」としてみたいわけよ、、、。

菊徳利: はい、わかりました。それでは、わたしの「花」は「菊」ということにしてください。そうすれば季節外れにならないですみますから・・・・・。

主人: ありがとう。そういうことにさせてもらうよ。
 ところで、前回対話をした「伊万里染付萩唐草文猪口」は、5年程前の暮れの骨董市で買ったんだが、実は、その際、お前も同時に買っているんだよ。

萩徳利: そうでしたか。前回対話をした「猪口」と「徳利」である私とでは、本当は、どちらが欲しかったんですか?

主人: どちらも欲しかったね(笑)。
 コレクターというものは変な人種で、「猪口」だから好きだとか「徳利」だから好きということではないんだよね。自分の琴線に触れ、「いいな~」と感じたものは全部欲しくなってしまうんだよね(爆)。「器」の形ではないんだよね。何が自分の琴線に触れるのかは、とても説明は出来ないけれどね・・・・・。表現は出来ないけれどね・・・・・。

萩徳利: そんなもんですか。

主人: そんなもんだよ。頭の中で考えて、「これは、こことここが良いから佳い物にちがいないから欲しい」というように論理的に考えて行動するんではないんだよね。第一印象で、見た瞬間に決まるんだよね。
 そんなことで、見た瞬間、猪口も徳利のお前も両方欲しくなったんだけど、どちらかというと、私は、猪口にはあまり執着しないので、強いて言えば、お前の徳利の方が欲しかったかな。猪口については、「そば猪口愛好家」という者が多くいるために、一般的には人気が高いんだけれどもね・・・・・。

萩徳利: ともかく、両方買えたんですね。 

主人: そうなんだ。幸い、その時、持ち合わせがあって、両方買うことが出来たんだ。ラッキーだった。
 そうそう、その時、業者としては、そば「猪口」は人気が高いから、当然、そば「猪口」の方を高く買ってくれるだろうと思ったようだね。ところが、私は、それほどそば「猪口」には興味はないので、「徳利の方は買いたいけど、そば「猪口」の方は無理に買わなくてもいいんだよ。もし、そば「猪口」を安くしてくれるなら、そば「猪口」の方もついでに買ってもいいけどね」と言ってやった。
 そうしたら、業者としては、そば「猪口」の方で儲けようと思っていたらしいので、当てが外れたのか、ちょっと考え込んでいたな。でも、歳の暮れでもあり、お金が欲しかったのか、かなりの値引き額を提示してきた。もっとも、「徳利と猪口の2点を一緒に買うけど、2点まとめて買うといくらにしますか」というふうに聞いたから、徳利を値引きしたのか、猪口を値引きしたのかの真相はよくはわからないけどね・・・・・。

萩徳利: そんなことがあったんですか。両方買えて、しかも、安く買えてよかったですね。

 

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追 記 (令和3年10月7日)

 これをインスタグラムでも紹介しましたところ、echizanyaheitaさんから、次のような趣旨のコメントが寄せられました。

「 伊万里には、このようにハッキリと玉壺春形を意識して作った形のものは存在しないのではないでしょうか。また、高台部の写真を見ると新しいようにみえます。そのようなことから、これはレプリカではないかと思われます。」

 確かに、このコメントは的を射ているように思います。

 ただ、私は、11年程前、明治大学博物館(東京神田駿河台1-1)で、これに似た徳利の残欠を見たような気がするんです。

 明治大学博物館は明治大学の校舎ビルの地下にありますが、その博物館の一角には、その校舎ビルを建てる際に、そこの土地から発掘された遺物も展示されているわけですけれど、そこに、これに似た徳利の残欠も展示されていたような気がするんです。

 従いまして、この徳利が本物なのか、レプリカなのかの結論は、明治大学博物館に展示されているこれに似た徳利の残欠をもう一度みてから出したいと思います。