Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

金襴手 鳳凰文 蓋付鉢

2021年10月31日 14時23分49秒 | 古伊万里

 今回は、「金襴手 鳳凰文 蓋付鉢」の紹介です。

 

側面(1)

鳳凰が描かれている面

 

 

側面(2)

花が描かれている面

 

 

斜め上方から見ところ

 

 

蓋を開けたところ

 

 

蓋を開け、蓋を裏返したところ

 

 

蓋を開け、本体を伏せたところ

 

 

生 産 地 : 肥前・有田

製作年代: 江戸時代中期

サ イ ズ : 蓋口径;6.0cm 本体口径;12.5cm 高さ(蓋共);9.0cm 底径;6.7cm

 

 

 ところで、この「金襴手 鳳凰文 蓋付鉢」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところですので、次に、その際の紹介文を再度掲載することをもちまして、この「金襴手 鳳凰文 蓋付鉢」の紹介とさせていただきます。

 

 

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         <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー223  伊万里金蘭手鳳凰文蓋付鉢      (平成28年12月1日登載)          

 

 

 絢爛豪華である。また、鳳凰尽しであり、高台内と蓋の中央にも「富貴長春」の文字を入れ、おめでた尽しである。

 もとは20客、30客と揃っていたものであろう。それが、だんだんと散り散りになり、我が家には1客のみで入ってきた。しかも、蓋の口縁に2か所、本体の口縁に1か所のソゲを伴ってやってきた。
 この蓋付鉢のたどってきた遠い遠い道のりをしのばせる。

 かつては、大名屋敷や豪商の屋敷での晴れの場に登場し、華やかさを演出していたのであろう・・・・・。

 

江戸時代中期   口径:12.5cm   高さ(蓋共):9.0cm   高台径:6.7cm

 

 

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*古伊万里バカ日誌151  古伊万里との対話(鳳凰文の蓋付鉢)(平成28年12月1日登載)(平成28年11月筆)

登場人物
  主  人 (田舎の平凡なご隠居さん)
  蓋付鉢  (伊万里金襴手鳳凰文蓋付鉢)

 

  

・・・・・プロローグ・・・・・

 主人は、例によって、「押入れ帳」を開き、今日の対話の相手の古伊万里をどれにしようかと思案していたようであるが、これまた例によって、比較的に古く主人の所に来た古伊万里を選び出し、押入れから引っ張り出してきて対話を始めた。

 


 

主人: お前のことは平成24年の4月に購入したんだが、購入してすぐ押入れに入れてしまったので、約4年半ぶりでの再会だね。 

蓋付鉢: そうですね。お久しぶりですね。
 ところで、私の名前は、「蓋付鉢」となっていますが・・・・・?

主人: うん。約4年半前に購入した際には「蓋物」と思っていたらしいんだ。「押入れ帳」にもそのように記入してあるからね・・・・・。
 しかし、今、久しぶりに再会したら、「あれっ・・・?」と思ったんだ。

蓋付鉢: どうしてですか?

主人: 普通、「蓋物」という場合、本体の口径と蓋の口径が同じか、本体の口径よりも蓋の口径の方が大きい場合が多いよね。改めていろんな図録を眺めてみたが、やはりそのようだね。
 辞書などで調べると、「蓋物とは、陶器・漆器などで蓋のあるもの」とあるから、お前のことを「蓋物」と呼ぶことは、国語的には間違いではないんだろうけれど、古伊万里等の名称としてはシックリこないようだね。

蓋付鉢: どうして「蓋付碗」とはしなかったんですか?

主人: 確かに、「蓋付碗」なら、よく市場でみかけるし、図録にも多く登場してくるものね。
 でも、「碗」というものは、普通、半球形の容器だろう。そして、「蓋付碗」は、その半球形の容器の口縁の直径よりも若干小さく作られた蓋が半球形の容器の内側上方でとまるように作られているよね。
 ところが、お前は、容器の口縁の直径よりも若干小さく作られた蓋が容器の内側上方でとまるようには作られてはいるが、本体の形がね・・・・・。半球形ではないんだよね。胴長、筒形で、しかも、中央付近が絞られ、若干くびれているんだものね。半球形という形からはほど遠いよね。
 そのような理由から、約4年半前に購入した際には、「押入れ帳」には「蓋付碗」とはしなかったんだろうね。

蓋付鉢: なかなかに器形の表現というのは難しいんですね。

主人: まぁ、それほど深刻に考える必要はないんだろうけれどね・・・・・。どのように表現しても、大きく誤っているわけではないんだろうけれど・・・・・。結局は、その表現が多くの人に賛同してもらえるかどうかということなんだろうけれど・・・・・。
 ところで、ちょっと興味を抱いたので、インターネットで調べてみたら、「蓋物碗」という表現もあったね。これなら、「蓋物」にも「蓋付碗」にも使えるというメリットはあるが、器形の表現としては曖昧だし、多くの方の賛同は得られないかもしれないね。 

蓋付鉢: どうして「蓋付鉢」としたんですか?

主人: 「蓋付鉢」というのは聞き慣れない表現だけれど、私の独断で決めたわけではないよ。図録で調べていたら、少数ながら載っていたからだよ。
 半球形に近い容器の「碗」に蓋が付いたというよりは、半球形からはちょっとはずれた形の容器の「鉢」に蓋が付いたとみた方がより正確な表現かなと思ったからだよ。
 なお、ちょっと調べてみたら、「鉢」というのは、皿よりは深く、壺よりは浅い、口の開いた容器のことを言うらしいね。一般的には、上面が広く開いている食器のうちで深い形状のものを鉢といい、浅い形状のものは皿、中間的な形状のものは皿鉢というらしいね。
 そんなこんなで、お前の場合は、「鉢」に蓋が付いたと考えたほうがより正確な表現なのかなと思って「蓋付鉢」としたんだ。「押入れ帳」の表記も「蓋物」ではなく、「蓋付鉢」と訂正したよ。

蓋付鉢: なるほど、そういう理由から「蓋付鉢」としたんですか。

主人: そういうことだ。これでも少しは気を使って表記しているんだよ。
 今日は、内容のない、とりとめもない話で終わってしまったね。まっ、四方山話だから、こんなもんだろう・・・・・。

 

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