Dr.K の日記

日々の出来事を中心に、時々、好きな古伊万里について語ります。

染付 竹梅文 徳利

2021年10月09日 11時42分45秒 | 古伊万里

 今回は、「染付 竹梅文 徳利」の紹介です。

 

 

竹文の面

 

 

梅文の面

 

 

底面

 

 

生 産 地 : 肥前・有田 不明

製作年代: 江戸時代中期 不明

サ イ ズ : 口径;4.7cm 胴径;11.8cm 底径;6.7cm 高さ;20.1cm

 

 

 この「染付 竹梅文 徳利」につきましては、生産地は「肥前・有田」なのだろうか、製作年代は「江戸時代中期」なのだろうかとの疑問を感じているところではありますが、当面、「生 産 地 : 肥前・有田」、「製作年代: 江戸時代中期」として紹介いたします。

 なお、この「染付 竹梅文 徳利」につきましても、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で紹介しているところです。

 参考までに、その紹介文を次に掲載いたしますので、宜しかったらご覧ください。

 

 

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         <古伊万里への誘い>

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*古伊万里ギャラリー201  初期伊万里様式染付竹梅文徳利     (平成27年2月1日登載)

 

 

 染付文様の滲みが酷い。
 梅を描いた部分など、はなから、「梅を描いたに違いない」と思い込んで見つめないと、梅とは分からないほどである。
 高台の付け根部分には一重圏線が施されたようであるが、その一部分がうっすらと残るのみで、そのほとんどが消失しているほどであり、滲みの酷さを物語っている。

 古伊万里には松竹梅文が描かれている場合が多いので、私は、てっきり、松竹梅が描かれているものとばかりに思っていたが、先日、よ~く見てみたら、松は描かれてなく、竹と梅のみが描かれているにすぎないことに気付いた。

 作振りは堂々たるもので、3.5合くらい入るようである。茶席で使用するお預け徳利として作られたものであろうか。
 染付文様の滲みが酷いにもかかわらず、大切にされてきたようで、無疵・完品である。

 江戸前期に作られた初期伊万里としたいところであるが、最近では、この手の物は江戸中期にも作られていることが指摘されている。
 最近、あまり勉強しておらず、自信がないので、一応、江戸中期の作としておきたい。

 

江戸時代中期   高さ:20.1cm 口径:4.7cm 胴径:11.8cm 高台径:6.7cm

 

 

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*古伊万里バカ日誌130  古伊万里との対話(竹梅文の徳利)(平成27年2月1日登載)(平成27年1月筆) 

 

登場人物
  主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
  竹 梅 (初期伊万里様式染付竹梅文徳利)

 

 

 

・・・・・プロローグ・・・・・ 

 本来だと、主人のところにやってきた順番に従えば、前回(平成27年の元旦)に登場させるべきものであったが、前回に登場させるのは適切ではないと判断して保留していた古伊万里を押入れから引っ張り出してきて対話をはじめた。

 

 


 

 

竹梅: どうして、前回の平成27年の元旦に登場させてくれなかったんですか。

主人: うん。順番から言えば、お前が前回の、平成27年の正月に登場すべきだったんだよね。それに、お前の文様は「松竹梅文」とばかりに思っていたから、正月に登場させるにはちょうどいいと思っていたんだ。
 ところが、いざ登場させるとなって良~く見てみたら、「松」が描かれていないように思えたんだ。「松竹梅文」ではなく、「竹梅文」ではないかと思えるようになったんだ。それでは正月に登場させる意味がないものね。それで、正月に登場させることは急きょ取り止めにして、保留することにしたんだ。2月になれば梅も咲き出すので、2月に登場させればちょうどタイミングとしては良いかなと思い、今回登場してもらったわけさ。

竹梅: ご主人は、私を「松竹梅文」と誤解していたんですか。

主人: そうなんだ。古伊万里には「松竹梅文」を施したものが多いんだよ。それで、お前も、「梅文」の所に、てっきり、「松文」も含まれているものと思っていたんだよ。誤解していたんだな。
 だいたい、私がそのように誤解するには、お前の方にも原因があるんだぞ。お前の文様は滲んでいるだろう。特に「梅文」なんか酷いね。古伊万里には「松竹梅文」が多いという前提がなければ、「梅文」なのかどうかさえわかりゃしないんじゃないの。
 でも、まっ、「梅文」が描かれているのはまちがいないと思うけど、「梅文」がはっきりしないんだよね。「松文」も含まれているかどうかが・・・・・。無理にこじつければ、「松文」も含まれていると言えないこともないかもしれないけど、それは、ちょっと、強引すぎると思うんだよね。

竹梅: 古伊万里には「松竹梅文」が多いという先入観を捨てて素直に見れば、私は、「竹梅文」なんでしょうね。

主人: それが素直な見方だと思えるようになったものだから、前回に登場させなかったんだ。
 「松竹梅文」は、季節に関係のない吉祥文だが、「竹梅文」なら季節に関係してくるし、梅が咲き出す今月にふさわしい登場だと思ってね。

竹梅: そうですね。
 ところで、「松竹梅文」は吉祥文ということですが、それにはどんな由来があるんですか。

主人: 私も、急に問われても返答に窮するね。
 そうそう、今は便利なインターネットというものがあるから、それでちょっと調べてみよう・・・・・。

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 いろいろと出てくるな~。代表的なものを1、2拾ってみると、次のようなところかね。

 

「松竹梅は、慶事・吉祥のシンボルとして松・竹・梅の3点を組み合わせたもののことで、日本では祝い事の席で謡われたり、引出物などの意匠にも使われてきた。もともとは中国の「歳寒三友」が日本に伝わったものである。(ウィキペディア)」
「「歳寒三友」が「松竹梅」の元になってはいるが、「歳寒三友」には日本の「松竹梅」のように、めだたいものの象徴といった意味は含まれていない。日本で「松竹梅」が吉祥の象徴とされるようになったのは、松が常緑で不老長寿に繋がるとして平安時代から、竹は室町時代から、冬に花を咲かせる梅が江戸時代からである。(語源由来辞典)」

 

竹梅: そうですか。やはり、松・竹・梅の3点が揃っていないと、吉祥文としての「松竹梅文」にはならないんでしょうよね。私のように竹と梅だけで、肝心要の「松」が抜けていては・・・・・。

主人: そうかもしれないね。でも、「古伊万里に「松竹梅文」=吉祥文」というパターンはかなり定着してしまっていて、「松竹梅」のうちの一つが欠けても、吉祥文を表すことになるのかもしれないよ・・・・・?

竹梅: 「松竹梅」のお話が出たついでにお伺いしますが、お寿司屋さんのメニューや鰻料理屋さんの鰻重のメニューでは、松が最上級で、次いで竹、その次が梅となっていますよね。それから言いますと、私には松がないですから、最上級とは言えないんですね。

主人: そうね、確かに、寿司や鰻重では、松・竹・梅の三種類を等級名として使っている場合が多いよね。もともとは「特上・上・並」だったんだろうけれど、値段の安い「並」では注文しずらいだろうということで、縁起物に言い換えて、「特上」を「松」に、「上」を「竹」に、「並」を「梅」にしたんだろうね。
 でも、そもそも瑞祥としての松竹梅には明確な優劣があるわけではないようだね。梅を最上級とする場合もあるようだよ。だから、案外、お前は、最上級かもしれないね。
 でもね、器物としてみた場合は、お前の絵付けは滲んでいて、どうひいき目にみても、最上級とはいえないね。やはり、「並」というところかね。

 

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追 記 (令和3年10月10日)

 これをインスタグラムで紹介しましたところ、或る方から、これは偽物であろうとのコメントが寄せられました。

 従いまして、この「染付 竹梅文 徳利」の生産地を「不明」と、製作年代を「不明」と訂正いたします。