今回は、「染付 鮎藻文 輪花形中皿」の紹介です。
表面
鮎の頭部付近の拡大
裏面
生 産 地 : 肥前・有田
製作年代: 江戸時代中期
サ イ ズ : 口径;18.3cm 底径;12.0cm
なお、この「染付 鮎藻文 輪花形中皿」につきましては、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところです。
つきましては、その際の紹介文を、次に、再度掲載することをもちまして、この「染付 鮎藻文 輪花形中皿」の紹介に代えさせていただきます。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー195 伊万里染付鮎藻文輪花形中皿 (平成26年7月1日登載)
表面には、大きな降り物が2個ほどある。造形は、少々厚作りで、ボテッとしていてシャープさに欠ける。土も白さに欠け、高台内の目跡も大きく多く目障りである。
義理にも上手とは言えまい。
でも、一応、文様は、痩せても枯れても、大変に人気の高い「鮎文」である。
しかしながら、せっかく「鮎」が描かれているというのに、その「鮎」たるや、口というか、口先というか、その部分が長すぎ、サメ、特にチョウザメのように見える。
しかも、ピチピチとした躍動感に欠けるし、特に右側の鮎など、のんびりと、目を細めて昼寝でもしているかのようだ(~_~;)
まっ、上手の「鮎文皿」に比べれば、レベルは落ちるだろうが、一応、人気の高い「鮎文皿」の仲間入りをさせていただこう。
江戸時代中期 口径:18.3cm 高台径:12.0cm
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*古伊万里バカ日誌124 古伊万里との対話(鮎文の皿)(平成26年7月1日登載)(平成26年7月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
鮎 (伊万里染付鮎藻文輪花形中皿)
・・・・・プロローグ・・・・・
鮎が解禁されたこともあって、あちこちのホームページやブログに鮎文の皿が登場しているようである。
相変わらず季節に鈍感な主人だが、それらを見て、主人も鮎文の皿と対話をしたくなったようで、押入れの中から引っ張り出してきて対話を始めた。
主人: この辺では、鮎の解禁日は6月1日からという所が多いようだが、全国的に見ると、7月1日からという所も多いようだね。
それで、まだ季節外れでもないなと思い、お前に登場してもらった。
鮎: そうでしたか。まだ間に合いましたか。なんとか間に合わせて登場させてくれてありがとうございます。
主人: 鮎文の古伊万里は、昔から人気があったね。それで、数も多かったが、値段も高かったな。バブルの頃は、最上手の場合、鮎1匹百万円なんていう相場が付いていたな。
鮎: 私の場合、2匹描いてありますから、二百万円だったでしょうか(嬉)。
主人: バカ言え! それは最上手の場合の話だ。お前など、上手の部類にも入らないぞ!
鮎: 何を根拠にそんなことが言えるんですか(ムッとする)。
主人: 一番簡単に、はっきり言えることは、お前には降り物があることだよ。上手の場合、1点、1点、ちゃんとサヤに入れて焼いているから、表面に降り物がないんだよ。
鮎: なるほど。降り物がありますと目障りでもありますし、使用の際、お箸が引っかかったりして邪魔になるかもしれませんものね。
主人: そうだろう。
それに、お前の鮎の絵だが、ちょっと迫力に欠けるね。
普通、2匹描いてあれば、少なくとも1匹は口を大きく開けていて、獰猛な感じに描かれているんだけれど、2匹とも口も開けずにおとなしい。それに、右側の鮎なんか、目なんか細めちゃったりして、眠っているんだか、笑っているんだかわからないね。よく、「若鮎のごとし」と言うくらい、鮎を見れば、ピチピチと元気な様を思い浮かべるんだけれど、お前を見ていると、どうも、それが感じられない。
だいたい、口と言うのか口先と言うのかが長すぎて、サメみたいだね。昔の鮎はそんなに長かったのかな~。まるでチョウザメだ。
鮎: そうですか(シュンとなる)。
主人: ところで、鮎といえば子供の頃を思い出すな~。夏休みになると近くの川原へ行き、よく鮎釣りをしたもんだよ。
鮎というのは、貪欲なのか、バカなのか、餌なしで釣れたんだ。もっとも、手品ではないから、何もなしでは釣れるわけがないんで、餌は付けないが「毛針」というものを使って釣ったんだ。今じゃ、鮎釣りには「毛針」なんていうものは使用しないんだろうけれど・・・・・。
とにかく、「毛針」というものは便利だったね。餌の準備も何もいらないで、そのまま、すぐに、ドボンと糸を投げ入れると釣れたからね。
そういえば、かつて、渡辺ミッチーとかいう政治家が、「毛針」発言を何度も繰り返し、野党や野党支持者から反発されたな~。「毛針」にひっかかるということは、釣る方としては元手なしで手軽に釣り上げることが出来るということだし、釣られる方は餌もないのに釣られるということで、「バカ」だと言うことだものね。渡辺ミッチーさんも「毛針」釣りを経験したことがあるんだろうね。
そうそう、私の子供の頃は、鮎を釣ってきても、それを食べた記憶がないね。遊びで釣るだけで、その後は捨てちゃったのかな~。昔はけっこういたんだよね。今のように貴重品という感じではなかったな~。もっとも、「毛針」で釣れる鮎は小さかったから、それを調理して食べるのが面倒だったのかもしれないね~。
鮎: 昔はいたんですか。
主人: けっこういたね。天然物が。江戸時代にはもっといたんだろうね。鮎は、今よりももっと身近な存在だったと思うよ。
そういえば「うなぎ」だってそうだね。川に天然物がけっこういた。やはり、子供の頃、夏休みになると「フナ」等も釣りに行ったんだけれど、たまに「うなぎ」も釣れたね。もっとも、川に行くといっても、鮎が釣れる川と、たまに「うなぎ」が釣れる川とでは違うんだよ。鮎が釣れる川は、流れも速い清流だが、「うなぎ」の釣れる川は流れも遅い、どんよりとした川なんだ。なにも、「うなぎ」を釣るのが目的で行ったんではなく、「フナ」等を釣るのが目的で行ったんだが、たまに「うなぎ」も釣れたんだよ。ただ、大きな「うなぎ」が掛かった時は、力が強いから、簡単に糸を切られてしまって釣り上げることは出来なかったが、小さな「うなぎ」の場合は釣り上げることが出来たんだ。
だけど、その場合は最悪だったね。糸にぐるぐるからみついてしまって、釣り糸が使いものにならなくなってしまうんだよ。歓迎しない獲物だった。なるべく掛からないことを祈ったものだが、案外、「フナ」等が釣れない時に限って掛かってくるんだよ(><)
この「うなぎ」の場合も、釣ったものを食べた記憶がないな~。家に持ち帰っても、母親がそれを調理しないことを知っていたので、その場で捨てちゃっていたね。今なら、天然物「うなぎ」の貴重品として、大事に食べるんだろうね。
鮎: もったいないですね。
昔は、天然の「うなぎ」も結構いたんですね。
主人: いたね。「うなぎ」の稚魚の「シラス」なんかだって、川の堰なんかに行ってみると、そこを登ろうとする「シラス」がびっしりとはりついていたもんだよ。
鮎: 今では夢のような話しですね。
主人: そうだね。「今は昔」という話しだね。
今日は、私の子供の頃の昔話になってしまったね。それに付き合ってくれてありがとう。
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