今回は、「染付 萩唐草文 猪口」の紹介です。
立面
見込面
底面
生 産 地 : 肥前・有田 中国
製作年代: 江戸時代中期 現代
サ イ ズ : 口径;8.7cm 高さ;5.9cm 底径;4.9cm
なお、この「染付 萩唐草文 猪口」につきましても、かつての拙ホームページの「古伊万里への誘い」の中で既に紹介しているところです。
つきましては、その際の紹介文を次に再度掲載することをもちまして、この「染付 萩唐草文 猪口」の紹介とさせていただきます。
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<古伊万里への誘い>
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*古伊万里ギャラリー197 伊万里染付萩唐草文猪口 (平成26年9月1日登載)
この手の文様の猪口は、「伊万里染付花唐草文猪口」(「伊万里染付牡丹唐草文猪口」又は「伊万里染付菊唐草文猪口」)、「伊万里染付みじん唐草文猪口」或いは「伊万里染付萩唐草文猪口」とかと呼ばれている。一番多称されているのは「伊万里染付牡丹唐草文猪口」であろう。私は、「伊万里染付萩唐草文猪口」と呼称することとした。
また、この手の文様の猪口は、よく図録などに登場してくるので、人気が高かったのであろう。
柴田コレクション総目録2468(柴田コレクションⅠー401)にも同じようなものが掲載されている。柴田コレクションに登場しているものは口縁に口紅が施され、型紙摺りで文様が施されている。型紙摺りの古いものは珍しい。
これに反し、この猪口は、口縁に口紅はなく、文様も手描きである。
なお、文様は4面施されている。また、見込みには、銀杏文が大きく描かれている。
江戸時代中期 口径 :8.7cm 高さ :5.9cm 高台径 :4.9cm
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*古伊万里バカ日誌126 古伊万里との対話(萩唐草文の猪口)(平成26年9月1日登載)(平成26年8月筆)
登場人物
主 人 (田舎の平凡なサラリーマン)
萩モドキ (伊万里染付萩唐草文猪口)
・・・・・プロローグ・・・・・
猛暑をもたらしたこの夏もここのところ急に鳴りを潜め、涼しさをもたらすようになった。
主人もほっとし、涼をもたらしてくれそうな古伊万里との対話をしたくなったようで、それらしい古伊万里を押入れから引っ張り出してきて対話を始めた。
主人: ここにきて急に涼しくなった。助かるよ。秋を感じさせるね。
秋といえば「秋」に「草かんむり」の「萩」だよね。「萩」はやはり秋を代表する花の一つだね。それで、今日は、お前に出てもらった。
萩モドキ: あの~、私は、何故、「萩唐草文」なんでしょうか? 普通は「牡丹唐草文」と言ってると思うんですが、、、、、。
主人: そうね。普通、図録なんかでは「牡丹唐草文」と言っているものが多いね。でも、真ん中に描かれた花を良く見ると、牡丹の花よりは菊にも似ているようにも見えるよね。それで、人によっては、「菊唐草文」なんて言ってるね。
まっ、名称の付け方なんてものは、はっきり決まっているわけじゃないものね。必ずこうしろというような決まりがあるわけじゃない。要は、その物の特徴をよく表せればいいわけだ。
真ん中の花が牡丹だか菊だかよくわからないとすれば、その「花」に着目した名称の付け方は放棄すればいいんであって、今度は別な角度に着目して名称を付ければいいんだよ。真ん中の花を除いたその周辺の唐草に着目すれば、「萩唐草文」という名称がピッタリくるね。それで、これを、人によっては「萩唐草文」とも言ってるわけだ。私も、この方が、その特徴をよく表していると思うので、通常の名称の付け方に逆らって、「萩唐草文」としたわけさ。
萩モドキ: わかりました。そうすると、この季節にもピッタリです(*^。^*)
主人: そうだろう。そうすれば、この季節に登場させられるしね。もっとも、強引にこの季節に登場させるために、屁理屈を付けて名付けた感をぬぐえないけれども、、、、、(~_~;)
ところで、お前を買ったのは、5年程前の暮れの骨董市でのことだった。
萩モドキ: 高かったんですか?
主人: そうなんだ。暮れでもあり、業者も年越しのためのお金が欲しいのか、かなりふっかけてきた。「このソバ猪口は、よく図録などに載っている有名なもので名品ですよ! めったに出ない物ですよ! 今日は、暮れでもあり、特別に勉強しときますから、是非買っておいた方がお得ですよ!」などと言い寄ってきた。
それに対して、「私は、あいにくと、ソバ猪口コレクターではないんでね。ソバ猪口にはあまり関心がないんだよ! それだけの金額だったら、もっと他に良い古伊万里の皿が買えるよ!」と故意にソラゾラシイ態度をとってやった。
そうしたら、その業者さん、ここで売れなかったら年を越せないとでも思ったのか、今度は、かなり値引きした額を提示してきた。私としても、その辺が妥当なところかな~、と思って手を打ったわけさ。けっこう高い値段ではあったけれど、以前よりは安く感じたね。
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追 記 (令和3年10月10日)
これをインスタグラムで紹介しましたところ、ある方から、これは中国の現代作の偽物であろうとのコメントが寄せられました。
従いまして、この「染付 萩唐草文 猪口」の生産地を「中国」と、製作年代を「現代」と訂正いたします。