前回のブログで利用者の一人当たり入館料が際限なく低下していることが業績悪化の大きな要因となっていると指摘しました。その一つの原因に年間利用券があります。年間利用券とは年間4万円で1年間温泉施設を自由に利用することができるという制度です。
こうした年間利用券を利用されている方々の利用実態はこれまで明らかにされることはありませんでした。私は以前各施設ごとの年間利用券利用者数をお聞きする機会がありました。そこでこうしたデータをもとに年間利用者の温泉施設の利用実態を調べてみました。
上記の表をご覧ください。湯楽館では入館者の3割、入館料の13%が年間利用者となっています。ゆうふる田中では入館者の5割、入館料の2割が年間利用者であり、御牧乃湯では入館者の5割、入館料の24%が年間利用者となっています。
私が思っている以上に年間利用者の温泉施設利用が進んでいることがわかりました。私がお聞きした方は銭湯代わりにほとんど毎日温泉を利用しており、年間利用日数は300日にも及ぶとおっしゃっていました。しかし入館料はいくら利用しても年間4万円です。
4万円を300日で割ると一回あたり133円となります。すなわち500円かかる温泉の利用が133円で利用されていることがわかりました。こうした利用者が全利用者の半分に及べば経営が厳しくなることは自明の理です。
たとえばゆうふる田中の場合年間利用者数は27万5千人です。この方が全員500円の入館料をお支払いいただけるのならば1億3750万円が収入になります。しかしこのうち半分の方が年間利用者とすれば8700万円にしかなりません。一人当たり入館料に直せば316円となります。
年間利用者 27万5千人÷2×133円=1828万円
一般利用者 27万5千人÷2×500円=6875万円
入館料 1828万円+6875万円=8703万円
一人当たり入館料 8703万円÷27万5千人=316円
温泉施設の経営問題の原因がどこにあるのか見据えてしっかりとした対応策を立てる必要があるのではないでしょうか。