加山到のハマッ子雑貨飯店

おもちゃ箱をひっくり返したような楽しい雰囲気が伝われば嬉しいなっと。08年11月6日開店!

最近読んだ文庫本

2012-07-31 | あ、これ見ました

暑いですねぇ。ちょいとバテ気味です。暑さのせいでしょうか、後頭部に軽い頭痛をちょくちょく感じる日々です

世間は五輪熱 ブログやつぶやき系ではどこもかしこも五輪ネタなので敢えてここではアップしません。ひねくれモンの私です(大汗) でもね、晴れの舞台に上がるまでに何年もかかって奮闘して来たその軌跡にアツいモノを感じてます。そして、この大舞台には来る事ができなかった多くの選手たちがいるんだな、と。
間もなく甲子園も始まります。そこでも熱いドラマが生まれる事でしょう

ここのところ読んだ文庫本。



『永遠のジャック&ベティ』(清水義範/講談社文庫)
中学生の時に教科書で習う英語は、非常に基本的な文法による会話であるものの、実際の英会話ではほとんど聞く事のない、あるいは使う事のない事例が多かったですよね。そんな英語教科書に登場した“ジャック”と“ベティ”。懐かしいですね。
彼らが50歳にして再会したという設定の本書。会話がおかしくてたまらない

「あなたはジャックですか?」
「はい、私はジャックです。あなたはベティですか?」
「はい、私はベティです。」
「おー!一杯のコーヒーかまたは一杯のお茶を飲みましょう。」
「(店に入って)これはテーブルですか?」
「はい、そうです。」
「これは椅子ですか?」
「いいえ、これは椅子ではありません。これはソファです。」

そんな他愛のない会話から始まって、お互いの身の上を話すくだりでは少々ブラックジョーク的な内容も。

「あなたのお母さんは元気ですか?」
「いいえ、彼女は2年前に死にました。」
「あなたのエンジニアをしていたお父さんは元気ですか?」
「はい、彼は養老院で元気に生きてます。」
「あなたには子供がいますか?」
「はい、私にはひとりの息子がいます。」
「彼は野球かフットボールをしますか?」
「彼は野球もフットボールもしません。」
「彼は何をしますか?」
「彼は時々麻薬と強姦をします。」(沈黙の2人)
「私はあなたの姉を覚えています。」
「はい私の姉はノイローゼになり自殺しました。」(沈黙の2人)

僕たちはあの教科書で学び、テストで悩み、いざ英語を話そうとすると通じないかもしれないような笑える言い回しを身につけていたのであります



『小さき者へ』(重松清/新潮文庫)
最近舞台で共演している先輩役者から「おもしろいよ」と戴いた一冊
応援団出身の不器用な親父、引きこもりがちやお年頃の息子や娘と会話ができない親父、両親の離婚に巻き込まれながらも一生懸命に明るくそして切なく毎日を過ごす小学生、夢を持って自営業を果たすものの半年ほどで閉店に追い込まれた悲しき店主・・・彼らを取り巻く妻や子供、或いは親や同級生たちとの葛藤、心の奥底に良くも悪くも潜んでいる思いやエゴ・・・。

50歳を間近に控えた僕ら世代だけではなく、家庭や仕事における環境、家族や友人・仲間との関係で一度は悩んだ事のある人であれば共感できる「日々の出来事」を綴った短編が6話。描写が細かいだけにクドイと感じる面もあるけど、何よりも「そうだよなぁ、こういうとき悩んじゃうよなぁ・・・」ってな具合で共感できる自分を見て、「俺もふつーの小市民なんだなぁ」と振り返る事ができる一冊です



『カーテンコール』(佐々部清・麻井みよこ/角川文庫)
2005年に公開された同名映画のノベライズ。
昭和30年代から40年代にかけて存在した幕間芸人(映画館で上映の合間に歌ったり喋ったりする芸人)の「今」を訪ねて、地方情報誌の若い編集員が奔走する姿を描いた作品
映画全盛期の田舎の映画館に勤務していた修平の奮闘ぶりや、映画館の支配人や従業員の思い、彼の恋模様、そして生まれて来た娘の現在の生活・・・昭和時代の一片を垣間見る事の出来る温かくも切ない物語。

「ALWAYS~三丁目の夕日」第一作とほぼ同じ時期に公開された映画。共に同じ時代を扱った内容ではあるものの、圧倒的な宣伝力に押されていまいち目立たなかった感のある映画でしたが、CGで昭和30年代の街並みを再現してしていた「三丁目」に対し、「カーテンコール」は実存していた古い映画館や町で撮影をしていました。それだけに“素敵な雰囲気”が漂っています。僕は「三丁目」よりも「カーテンコール」に心を動かされました。畳の香りがする・・・そんな気がしています
若い編集員を伊藤歩、芸人を藤井隆。その芸人の「今」を演じていたのが井上堯之。「太陽にほえろ!」の音楽を演奏していたギタリスト。これにはビックリしました

コメント
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