「雨のアムステルダム」(1975年/ポリドール)
萩原健一・岸恵子・三国連太郎/監督 藏原惟繕/東宝映画
シングル盤は以前中古店で見つけて持っていたんです。ショーケンだし井上堯之だし。やはり気になりますからね
タンゴ調のイントロから始まる大人びた感じの曲調。ジャケットには井上堯之とケニー・ウッド・オーケストラと書いてあるものの、井上氏のギターはどこ? あ、プロデュース作品だから音の面では控えめなのかなぁ。
お。B面の「明のテーマ」で弾かれているガットギターは井上氏だろうな
裏面の名前はひらがなになってる(笑) そういえば「東村山音頭」の志村けんは”ケン”だったな。再販盤ではひらがなに戻っていたけど。チェックが厳しくなかったのかな
ちなみにケニー・ウッド・オーケストラとは、作曲家・森岡賢一郎が率いていた楽団で、沢田研二のシングル盤には演奏者としてそのオーケストラ名が記されています。
最近、都内の中古店でアルバムを見つけまして購入しました。ジャケット全面にちらちらと”剥がされ傷”があるのは残念ですが、これまた中古だからこその味ってことで。
シングルでは味わえなかった臨場感・・・劇中のセリフがちょいちょい入っています。これぞサンドラ盤。あ、メインテーマの頭に教会の鐘の音が入ってる。シングルとは違う構成だ
全体を通して聴くと、アムステルダムを舞台にしているだけあって、やはりヨーロッパ的な落ち着いたムードを意識して作られ、その素敵な世界観を感じることができ、ストリングスとホーンの多用が、その世界観に奥行きを持たせていますね。映像を見ていなくてもスーッと入り込んでいけます。ギターが入っていたとしてもほとんどがガットギターによる優しいストローク奏法ですが、B面の”ジュークボックス”という曲がアップテンポでもあり、エレキギターの心地よいソロサウンドが聞けます
ジャケット上部に「井上堯之 映画音楽の世界」と銘打ってあるように、このアルバムには「青春の蹉跌」(1974年/萩原健一・桃井かおり/監督 神代辰巳)から2曲、「蔵王絶唱」(1974年/高橋洋子・織田あきら/監督 山本邦彦)から1曲が収められています
「青春の蹉跌」は、アムステルダムから一転して四畳半のアパートを匂わせてくれる、それこそ青春ドラマを彷彿させるメロディです。「蔵王絶唱」は雄大でありながらも切なく物悲しいストーリーの世界観が繰り広げられてきます。
「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」など一連のドラマ音楽で、井上堯之は疾走するカッコいいギタリストという印象しか持っていなかった私なのですが、この1枚のアルバムで作曲家・アレンジャーとしてとてつもなく大きい人、何か・・・包み込んでくれるような温かさを持った音楽人と思うようになってしまいました。陳腐な表現で申し訳ないのですが、とにかくすげぇ!と感じた1枚でした。
「井上堯之 映画音楽の世界」。この冠でシリーズ化して欲しいなぁ