ブルース・リャン主演の映画『ドラゴン世界を征く~無敵のゴッドファーザー~』(1974年香港)の中古ビデオを入手しましたぁ~。
念願でしたねぇ~。ブルース・リー出現によってもたらされた70年代中期の“ドラゴンブーム”。リー亡きあとの2番手のカンフースターとして君臨したリャンの代表的日本公開作品がこれと「帰って来たドラゴン」。
いずれも香港で活躍中だった倉田保昭が悪役ゲストとして出演していたために、日本では“倉田の作品”ってな感じで宣伝されていたようですが、リャンの名前も日本の映画ファンに浸透していました。
いいねぇ、リャンの足蹴り。素敵です。劇中でもいかんなく蹴り続けています。カッコ良過ぎ。
蹴り以外でも、瞬きする間もないほどの早技に見入ってしまいます。
監督はウー・スゥユァン(呉思遠)。娯楽大作を作る監督として名を馳せていましたが、突っ込みどころ満載です(笑)。
例えばリャンと倉田との死闘。街中で暴れまくっていたかと思えば、場面が変わっていきなり雪山。まぁ、こういった“瞬間移動”は香港映画の十八番なのでいいとしても、その街中での死闘では、スタッフによるロケ現場での通行人整理をしていないのか、普通に歩いている人たちがあっちこっちに写っていて、2人のアクションに驚きまくっています。ある意味「リアル」です。
現金と宝石の取引の場面だって、真昼間のふつうに人が散歩している住宅街や公園で行なわれるんです。それも拳銃を持って何丁も持って。
冒頭すぐ後のシーンで、実兄がギャングに殺されたと言うのに、その翌日ぐらいにはリャンと弟役のマンホイ(孟海)は嬉しそうにローマ観光をしちゃってるし、緊張感全くなし。
当時の香港映画は台本そのものが存在せず、監督が頭に入っているシーンやセリフをその場で役者に伝えて撮影している・・・との逸話を実践しているかのごとく、行き当たりばったりで撮影をしていると思えるほど。更に外のシーンではこれまた照明もほとんど焚いていないんじゃないかと思えるぐらい、逆光だったり表情が影っていて見えなかったり(笑)。
流れるBGMもリーの「燃えよドラゴン」だったり、「ドラゴンへの道」の効果音だったり。思わずニヤニヤしてしまいました。いえいえ、大爆笑しちゃったのが上の場面。
リャンと弟が金髪美人と3人デートをしているバックで流れて来た音楽がアリスの「今はもう誰も」。女性のスキャットによるカバーとはいえ腹を抱えてしまいました。
上の2枚はパンフレットより。
リャンを襲うイタリア人ギャングたちのアクションはにわか仕込みで、見ているうちに鬱憤がたまって来ますが、その分ラストの倉田との一騎打ちはさすがです。
しかし・・・なんて言うかな・・・。カメラワークとか編集とか照明とか、細かいところに気を配って作っていれば素敵でカッコいいアクション映画になっていたと思うんですけどね。