いろいろ問題を醸したウディ・アレン御大、最新作。
「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」70点★★★★
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ギャツビー(ティモシー・シャラメ)は地方の大学に通う学生。
ニューヨークに住む裕福な両親のもとで育った彼にとって
都会を離れ、さぞやつまらない学生生活・・・と思いきや
キュートな恋人・アシュレー(エル・ファニング)が出来たことで
ギャツビーはもう、ウッキウキ。
カノジョに夢中なのでありました。
そんなある日、アシュレーが学校の課題で
有名な映画監督(リーヴ・シュレイバー)にインタビューをすることになる。
インタビュー場所がニューヨークと聞いて
「僕も行く!」と、がぜん張り切るギャツビー。
高級ホテルをリザーブし、
「あそこでお茶して、あそこでディナーして・・・」と
NYを案内するステキ計画を立てるのだが――――!?
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ウディ・アレンの最新作が、ついに公開!
ティモシー・シャラメにエル・ファニング、セレーナ・ゴメスと
超・旬!なキャストをもって
ひょうひょうと、軽妙に
男女の「永遠のゴタゴタ」を描いた本作。
84歳の変わらぬパッションと技を
十分に堪能できます。
ギャツビーという名もストレートな主人公が(笑)
裕福な家に生まれながら、自分探しでグネグネまがり
ニューヨークの「粋」を自然に身にまといつつ
真実の愛を探してさまよう――――というストーリー。
自身をティモシー・シャラメに映すような
壮大なずうずうしさ(爆笑)も相まって
やっぱりアレン節!という感じで
92分を安定印で、楽しめます。
可憐な風貌ながら、野望を胸に秘めた
エル・ファニングもグー。
なのですが
この映画に絡まったもろもろを思うと
いろいろ複雑になってしまうのも確か。
まあ映画ファンのみなさんはご存じ&ご周知でしょうが
本作の公開前に
ウディ・アレンの28年前の養女にして幼女への性的虐待疑惑が再浮上し、
#MeTooの流れもあいまって
キャストたちが「もうウディとは仕事をしない」とギャラを寄付するなどボイコット。
出資元のアマゾンプライムが全米公開を中止した――――という
いわくつきの作品なんですね。
ワシは
#MeToo には賛同するし、犯罪行為には絶対の罰を!ってのは大賛成。
なのですが
こと、この件に関しては、実に難しい。
だって28年前の話で、一度は無罪になっているし
最近もまた同じ事で逮捕された――とかというのとは、ちょっと違う。
ワインスタイン事件とかとは明かに異なるんですよね。
苦しんでいる人は、声を上げていいし、もちろん助けたいと思う。
でも、なにもかもを断罪し、
すべての才能を、それでなかったことにするのは
果たして公正なのか?
ということに、性差もなにも関係なく、
違和感を覚えているのは確かなのです。
なにより
フレッシュなキャストを起用し、街を愛し、男と女のもろもろを愛し、
作品を作り続けることこそ、
84歳の命をつなぐ糸なのだ、と思う。
だからワシはやっぱり、彼に映画を作り続けてほしい、と思うのです。
★7/3(金)から新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、EBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。