驚いた!本当にあるんだ、この宮殿。
「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」72点★★★★
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1863年、フランス南部の田舎に住む
郵便配達人シュヴァル(ジャック・ガンブラン)。
人付き合いが苦手で寡黙だが
マジメに働き、妻と幼い息子と暮らしていた。
だが、妻が病で亡くなり、
幼い息子とも別れさせられてしまう。
数年後。
傷心の彼は、若き未亡人フィロメーヌ(レティシア・カスタ)に出会い
恋をし、新たな家庭を築き出す。
そんなある日、シュヴァルは奇妙な石につまづき
崖から転がり落ちる。
それをきっかけに彼は
家の前に、巨大な建築物を造り始めるのだが――?!
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1879年から33年間にわたり
郵便配達人のシュヴァルが
たった一人で石を拾い集めて作った宮殿。
ピカソらが絶賛し、いまも実在するこの宮殿は
仏政府の重要建造物に指定され、観光名所になっているそうで
いや~こんなスゴイ人がいるんだ!と、まず驚いた。
対人は苦手だけれど、勤勉で寡黙なシュヴァルは
妻を病で亡くし、
「お前には育てられないだろう」と、幼い息子を手放さねばいけなくなる。
傷心な彼を郵便局の同僚がさりげなく案じ、
やはり夫を亡くした若き未亡人・フィロメールの家の担当にしてくれ
(なんと気の利くことよ。笑)
そこで彼は、彼女に恋をする。
全体的に展開はサクサクで
さっぱりしていて、そこも好感。
で、フィロメールとの間に娘も生まれ、
よりいっそうマジメに郵便配達をする彼は、
しかし、あるとき、神の啓示を受けたように、
庭に石で宮殿を作り始めるんです。
これが尋常じゃないスケールと、美しさの建造物で、
マジですご過ぎる。
建築の専門知識もなく、見聞も決して広くなかった彼が
バリかインドネシアの宮殿か
いやガウディか、はたまた?!というほどの超絶クオリティの建造物を造る
その驚きとともに、
小さな村で「変人」扱いされながら
取り憑かれたように宮殿造りに励むシュヴァルの味方をし
見守る妻フィロメール、そして娘アリスとの関係がやさしくて
いい話だなあ、と感じました。
ひたむきに、ひたすらに、なにかを成し遂げる。
市井の人のいち人生に、光が当たる話は、大好きです。
★12/13(金)から公開。
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