ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢

2019-12-12 23:08:13 | さ行

驚いた!本当にあるんだ、この宮殿。

 

「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」72点★★★★

 

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1863年、フランス南部の田舎に住む

郵便配達人シュヴァル(ジャック・ガンブラン)。

 

人付き合いが苦手で寡黙だが

マジメに働き、妻と幼い息子と暮らしていた。

 

だが、妻が病で亡くなり、

幼い息子とも別れさせられてしまう。

 

数年後。

傷心の彼は、若き未亡人フィロメーヌ(レティシア・カスタ)に出会い

恋をし、新たな家庭を築き出す。

 

そんなある日、シュヴァルは奇妙な石につまづき

崖から転がり落ちる。

 

それをきっかけに彼は

家の前に、巨大な建築物を造り始めるのだが――?!

 

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1879年から33年間にわたり

郵便配達人のシュヴァルが

たった一人で石を拾い集めて作った宮殿。

 

ピカソらが絶賛し、いまも実在するこの宮殿は

仏政府の重要建造物に指定され、観光名所になっているそうで

 

いや~こんなスゴイ人がいるんだ!と、まず驚いた。

 

対人は苦手だけれど、勤勉で寡黙なシュヴァルは

妻を病で亡くし、

「お前には育てられないだろう」と、幼い息子を手放さねばいけなくなる。

 

傷心な彼を郵便局の同僚がさりげなく案じ、

やはり夫を亡くした若き未亡人・フィロメールの家の担当にしてくれ

(なんと気の利くことよ。笑)

そこで彼は、彼女に恋をする。

 

全体的に展開はサクサクで

さっぱりしていて、そこも好感。

 

で、フィロメールとの間に娘も生まれ、

よりいっそうマジメに郵便配達をする彼は、

しかし、あるとき、神の啓示を受けたように、

庭に石で宮殿を作り始めるんです。

 

これが尋常じゃないスケールと、美しさの建造物で、

マジですご過ぎる。

 

建築の専門知識もなく、見聞も決して広くなかった彼が

バリかインドネシアの宮殿か

いやガウディか、はたまた?!というほどの超絶クオリティの建造物を造る

その驚きとともに、

 

小さな村で「変人」扱いされながら

取り憑かれたように宮殿造りに励むシュヴァルの味方をし

見守る妻フィロメール、そして娘アリスとの関係がやさしくて

いい話だなあ、と感じました。

 

ひたむきに、ひたすらに、なにかを成し遂げる。

市井の人のいち人生に、光が当たる話は、大好きです。

 

★12/13(金)から公開。

「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」公式サイト


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