ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

劇場

2020-04-18 14:54:42 | か行

原作もすごくいいです。

 

「劇場」70点★★★★

 

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永田(山﨑賢人)は、その日ボロボロだった。

 

劇作家を目指す彼は

劇団「おろか」を立ち上げ、脚本と演出を手がけているが

上演のたびに酷評され、客足は伸びない。

 

だが誰の助言も聞かず、尊大な態度を取る永田は

劇団員にも見放され、劇団は解散寸前だった。

 

いつまでもつだろうか。劇団も、自分の「才能」を信じ続けることも。

 

――さすがにヘコみかけていたそのとき、

永田は街で

咲希(松岡茉優)を見かけ、声をかける。

 

そして二人は付き合うようになるのだが――?!

 

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又吉直樹氏原作×行定勲監督。

 

才能や自分の限界をのらりくらりとごまかし

自意識だけは過剰で、自己チューで

人のことなど思いやれない。

 

そんなどうしようもない男と、それを甘やかす優しい女の話で

 

――って書いてても

痛い痛い!というか(苦笑)

 

誰にでも、どこか思い当たる

恋愛でやらかす身勝手や、相手への依存。

かなわない才能への嫉妬や焦り。

「自分」を直視できず、逃げ回ったり。

そんなグズグズに、えらく正面から向き合った作品だなあと。

 

 

実際、最初は

主人公・永田を見てるのがしんどいんですわ(苦笑)

こんなやつに付き合う、カノジョもカノジョだ!

咲希ちゃん、こんなやつ、とっととほかしたれ!とイライラする(苦笑)

 

しかし

演じる二人の、役への「情」の込めかたが巧みで

観ながらだんだん引きずられていく。

切ない気持ちになっていく。

 

この二人は

どちらが、どちらに、ではない。

互いにしがみついていたんだ――って。

 

それに恋愛話だけでなく、ジクジクとくるのが

特に表現者において避けられない「才能」という鬼門を

ほじって描いてるところなんですよね。

 

『火花』もそうだけど

おそらく自分にとっても一番痛いところを掘っていく又吉氏は

すごいと思う。

 

ということで

「AERA」にて又吉直樹さん×山﨑賢人さんの対談をさせていただいてます。

やっぱり聞きたかったのは、そこで

ほじくって聞いてます(笑)

 

AERAdot.でも読むことができますので

映画と併せて、ぜひご一読くださいませ!

 

★近日公開。

「劇場」公式サイト

※公開情報は公式サイト、劇場情報をチェックしてください。

よきタイミングでご鑑賞いただけることを願っています。


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