この、あたたかい手触り。
「ライオンは今夜死ぬ」72点★★★★
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南仏で映画の撮影中の俳優ジャン(ジャン=ピエール・レオ―)は
死にゆく役をどう演じればいいか悩んでいた。
あるトラブルで撮影が休みになり、
彼はかつて愛した女性が住む街へと足を延ばす。
だが、そこで彼が出会ったのは
地元のわんぱくな子どもたち。
アマチュア映画を撮ろうとしている彼らは
ジャンに「自分たちに映画に出てほしい」と頼むのだが――?
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「不完全なふたり」などで知られる
諏訪敦彦監督、8年ぶりの新作です。
死をテーマにしているのに
南仏のひだまりに置かれて温まった石に触れたような
ぬくもりと、やさしさがあって
観終わると
得も言われぬ、幸福感に包まれるような
とてもいい映画です。
主人公は「死をどう演じるか」に悩む老俳優(ジャン=ピエール・レオ―)。
「大人は判ってくれない」(1959年)で10代で大注目され
御年73歳のジャン=ピエール・レオーが
自身を照らしたような役を演じるのがまたおもしろい。
「死とは出会いだ。70歳から80歳はその出会いを待つ準備をする大事な時期だ」なんて
サラッと、いいセリフがあるんですが
監督によると
実際にジャン=ピエールとの会話で生まれたセリフそうです。
で、そんな老境にある俳優が
アマチュア映画を撮ろうとする子どもたちに出会い
なぜか彼らに映画指南をすることになる。
子どもたちの登場で
映画が一気にユーモラスに加速するのがいい。
子どもたちにせがまれて
彼らの映画に出演することになったジャン=ピエールですが
いざ撮影が始まると
この人、まったく言うことを聞かなかったりする(笑)
わずか1分ほどのシーンで
「ここで、外に出てください」みたいな指示も
まったく無視!(笑)
そんな彼と子どもたちの絡みが
ブッと吹き出すほど可笑しい。
即興芝居を取り入れることで知られる諏訪監督、
実はジャン=ピエールと子どもたちのシーンも、アドリブだったそう。
幽霊も登場し、
夢と現実のあわいのようなお話なんだけど
すべてが自然。
南仏の陽光のもと、
ちょっとしたマジックが起こるさまを
ぜひ体験していただきたいです。
そして、映画にプラスしてお知らせ。
ダイナーズクラブカードの会員誌「シグネチャー」で
諏訪監督インタビューをさせていただきました。
こちらは映画に寄り添った内容。
さらに20代の転職サイト「Re就活」で
「お仕事」に特化した、諏訪監督のインタビューもさせていただいています。
こちらは来週あたりからアップされます。
監督の意外な職歴(!)が明らかになったりもしますので
ぜひ、映画と合わせて読んでみてくださいませ~!
★1/20(土)からYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開。
「ライオンは今夜死ぬ」公式サイト
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