ひゃー!80年代カルチャー&みずみずしさにヤラレタ。
「Summer of 85」71点★★★★
************************************
1985年、フランスの海岸近くに住む
16歳のアレックス(フェリックス・ルフェーヴル)は
進路に悩むシャイな高校生だ。
ある日、一人ヨットで沖に出た彼は
突然の嵐に巻き込まれ、転覆してしまう。
絶体絶命のアレックスを救ったのは
18歳のダヴィド(バンジャマン・ヴォワザン)。
急速に惹かれ合い、愛し合うようになった二人は
「どちらかが先に死んだら、残されたほうは相手の墓の上で踊ろう」と
誓いを立てるのだが――。
************************************
しょぱな、ザ・キュアーの「In Between Days」の軽快なギターが鳴る中、
80年代のフランスの海岸を
自転車に乗ってやってくる
ボーダー&ボタンシャツの少年――
って、ちょっと!フランソワ・オゾン監督!
胸キュンさせすぎですよ!(笑)
初恋ストーリーをみずみずしく、やさしく描きあげ
まさに原点回帰、という感じ。
加えて
そこにサスペンス風味が混じり
回想と現在の時間軸を自然につなぎながら
明るく輝く季節と、暗い告白のあいだに
「いったい、何があったのか?」と引き込まれる。
さすがです。
原作は1982年に発表された
アイダン・チャンバースの小説「Dance on My Grave」。
オゾン監督は17歳のときに読んで胸キュンしたそうで
それから35年。
当時のキュンをいまよみがえらせるのは
楽しかった反面、チャレンジングでもあっただろうなと。
(それにプレス資料などで監督は言及してないけど
に突き動かされたのも、絶対あるだろうなあと思うw
グザヴィエ・ドランみたく)
して
単にみずみずしさ、ではなく
やはり、年を重ねての「真理」がある。
特にうーむ、とうなったのが
ダヴィドの描写。
快活で好奇心旺盛で、ひとたらしで
アレックスをリードしていくダヴィド。
彼でなければ、アレックスは恋に落ちなかった。
しかし、その美点は、諸刃となるわけで
ダヴィドは新しく出現した女の子に好奇心を移し、
アレックスと距離を取り始める。
しかもダヴィドくん、そのことをまったく悪びれない(苦笑)
真っ直ぐなアレックスにとってそれは
死ぬほどショックな裏切りで
そのことでアレックスはダヴィドに詰め寄るんですね。
まあ、よくある痴話げんかにもみえるんだけど
そこでダヴィドが言う
「変化がほしいんだ」は
単に「不実なヤツ」でなく
前のめりに走り、とにかく経験を重ねたい
生き急ぐような性質を持つ人の芯をとらえていて
そこにも、また悲しみがある、と感じさせた。
決して、アレックスを本当に「飽きた」んじゃないけど
あえて振り切った。
ダヴィドもまた、
「人は自分と同じではないんだ」ということを学んでいる途中なのだと。
二人が対峙するこのシーン、
ウッと胸にきました。
ダヴィドの母親役に
オゾン作品「ふたりの5つの分かれ路」(04年)ほか
最近では
「歓びのトスカーナ」(17年)もよかった
ヴァレリア・ブルーニ・デデスキをあてたのもグッド!
★8/20(金)から新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます