ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ラブリーボーン

2009-12-12 13:50:58 | ら行
昨日振っといたお題にいきましょうかね。

「ラブリーボーン」69点★★☆


スティーブン・スピルバーグ製作総指揮×
「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督の
超注目作品なんですが

うーん、これは難しい。

話はいわば「千の風になって」なんですわ。


14歳で殺されてしまった少女
天国でも地上でもない“あいだの世界”にとどまり
自分亡き後の家族を見守る、という話。


この映画は
いままで誰もやったことのない
領域に踏み込んでいるのは確か。


死後の世界を美化するだけでもなく
ファンタジックだけにも偏らず
犯人追求のミステリー要素もある。


自分が殺されるまでを淡々と語る少女の目線で
物事を見ている我々は
彼女に迫り来る悪い予感に
胸がつぶれそうになりっぱなし。

犯人憎しの感情もピークに達し
2時間19分、目を離せない。

死後の世界の映像は実に幻想的
視覚的な驚きもあり

ネタ的に閉塞感ある映画界への実験的な意欲も感じる。

そこはすっごく評価したい!

でもねー
これだけ誉めても
いかんせんラストがなあ!


問題なのは何を描いたかではなく
何を言いたかったのかが
不明瞭なところなんですよ。


「千の風になって」の歌詞と世界観は
実際に愛する人を亡くした人のなぐさめになるけれど
この映画ははっきりいってならないと思う。


どちらかといえばスティーブン・キングの世界に近いというか
(いや、S・キング大好きですけどね)
ハートウォーミングを期待していくと危険です。


そこが評価の難しい点です。


意欲と映画的な快楽は買う。
でも、受け取るものは
あなたの期待とは違うかもしれない。

そういうことでした。

間違いなく賛否両論、あるだろうなこれは。

ちなみに犯人役の俳優はよく見る人なんだけど
最後までその人だとわからなかった。
見終わってから、名前と経歴を調べたらピンとくるはず。

えっ?あの人だったの?とびっくりしますよ、絶対。


★2010年1/26から丸の内ピカデリーほか全国拡大公開。

「ラブリーボーン」公式サイト

これ予告映像見せすぎ。映画を楽しみたい人は、見ないほうがいいですよ。

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2 コメント

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予告見ようとしたら (三本毛)
2009-12-13 01:49:35

番長に止められました。
「映画観ないの?」って。
観なくてもいいかな~と思っていたんですが、観た方がいいようなことを言うので、機会があったら観てみようかと思います。

69点で賛否両論分かれる映画でも、どうやら観た方がいいようです。

スピルバーグが関係した映画って、最近観てないんだけどな~。
あんまり、観たくなるような感じではないので……。
返信する
だって (ぽつお番長)
2009-12-13 17:33:28

予告見たら
ほとんど全部だったんだもん。

まあ見てハッピーになれる類の
映画ではないので

見てもいいですよ、予告。

ふと思ったんだけど
なんとなーく
「グリーン・マイル」を
思い出させるんだよねこの映画。

どこが?と言われると

少女が殺されるって話と
ちょっとファンタジックなところ
くらいなんですけどね。
返信する

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