ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

WISH I WAS HERE/僕らのいる場所

2015-06-10 23:45:38 | あ行

まだまだ家族ドラマには
描く“ひだ”が残ってるんだな。


「WISH I WAS HERE/僕らのいる場所」70点★★★★


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ロサンゼルス。

二児の父となっても役者の夢を追い続け
実際あまり仕事のない
35歳のエイダン(ザック・ブラフ)。

自分を理解してくれる妻(ケイト・ハドソン)に支えられ、
今日もオーディションに行っては、落ちる日々。

そんなある日、エンダンは父親から
ガンになったと告げられる。

迫り来る父との別れを前に
彼は自分の人生を、家族を、もう一度見つめ直すことに――?!


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役者の夢を追う主人公に、生意気な息子、しっかり者の長女、
大黒柱である働き者で美人な妻の4人家族。

学者である父親は主人公にも
オタクな弟にも失望している。

しかし、そんな父がガンに冒されて……というところから
物語が転がり出す。


「子どものころは、将来ヒーローになると思ってた……」
と、平凡なモノローグから始まり、
話も割と“ありそうな”要素の集積ではあるんですが


「何かを変えなければ!」となったとき、
「じゃあ、旅に出よう!」と冒険に出るとかでなく

逆にこの主人公は、自分の半径数百メートル圏内に
意識を集約させていくというか
自分の足元を徹底的に見直すというか

小さな範囲で物語を転調させたのがおもしろい。


そう、これはそんなに大きい冒険じゃないんです。

おざなりにしてきた子どもたちの勉強を
家庭で見てやることにしたり
(ここで大騒動が起こるのがおかしいんだ。笑

やろうやろうと思って放置してた
庭の塀を直さなきゃ、とか(笑)

疎遠になってた弟に会ったり、とか。


そんな小さな変化もが、しかし自分にも家族にも
思い掛けず大きく作用していく。

その様子と、
「父親(母親)になれば、いや、単にいい歳になれば、
“大人”になれると思ってたのに!」という中年モラトリアムに
やはり世代的にも共感してしまいました。
(てか、プレス資料見るまで、主人公は40過ぎ男だと思ってた。笑

子役のキャラ分けもハマり、
脚本も爽やかに、まとまっているので
だいたい想像に近い、気持ちよい鑑賞後感が得られると思います。


★6/12(金)から新宿シネマカリテほか全国順次公開。

「WISH I WAS HERE/僕らのいる場所」公式サイト

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