まだまだ家族ドラマには
描く“ひだ”が残ってるんだな。
「WISH I WAS HERE/僕らのいる場所」70点★★★★
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ロサンゼルス。
二児の父となっても役者の夢を追い続け
実際あまり仕事のない
35歳のエイダン(ザック・ブラフ)。
自分を理解してくれる妻(ケイト・ハドソン)に支えられ、
今日もオーディションに行っては、落ちる日々。
そんなある日、エンダンは父親から
ガンになったと告げられる。
迫り来る父との別れを前に
彼は自分の人生を、家族を、もう一度見つめ直すことに――?!
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役者の夢を追う主人公に、生意気な息子、しっかり者の長女、
大黒柱である働き者で美人な妻の4人家族。
学者である父親は主人公にも
オタクな弟にも失望している。
しかし、そんな父がガンに冒されて……というところから
物語が転がり出す。
「子どものころは、将来ヒーローになると思ってた……」
と、平凡なモノローグから始まり、
話も割と“ありそうな”要素の集積ではあるんですが
「何かを変えなければ!」となったとき、
「じゃあ、旅に出よう!」と冒険に出るとかでなく
逆にこの主人公は、自分の半径数百メートル圏内に
意識を集約させていくというか
自分の足元を徹底的に見直すというか
小さな範囲で物語を転調させたのがおもしろい。
そう、これはそんなに大きい冒険じゃないんです。
おざなりにしてきた子どもたちの勉強を
家庭で見てやることにしたり
(ここで大騒動が起こるのがおかしいんだ。笑)
やろうやろうと思って放置してた
庭の塀を直さなきゃ、とか(笑)
疎遠になってた弟に会ったり、とか。
そんな小さな変化もが、しかし自分にも家族にも
思い掛けず大きく作用していく。
その様子と、
「父親(母親)になれば、いや、単にいい歳になれば、
“大人”になれると思ってたのに!」という中年モラトリアムに
やはり世代的にも共感してしまいました。
(てか、プレス資料見るまで、主人公は40過ぎ男だと思ってた。笑)
子役のキャラ分けもハマり、
脚本も爽やかに、まとまっているので
だいたい想像に近い、気持ちよい鑑賞後感が得られると思います。
★6/12(金)から新宿シネマカリテほか全国順次公開。
「WISH I WAS HERE/僕らのいる場所」公式サイト
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